手越祐也、失敗や挫折も経験して磨いた表現力とステージに向かう意識 2024年は“ジャンプ”の年に

 2021年7月7日のデジタルシングル『シナモン』でのソロデビューを皮切りに、シングルやアルバムのリリース、ライブ開催と積極的な音楽活動を続けている手越祐也。今回、手越にインタビューを行い、2023年の振り返り、そして自身がステージに立つ上で大切にしていることなどについて話を聞いた。(柚月裕実)【記事最後にプレゼント情報あり】

大切なのは常に自然体でいること

ーー2023年は手越さんにとってどんな1年でしたか?

手越祐也(以下、手越):僕がやりたいことはほぼ全部やらせてもらったし、なかなかのスケジュールで動いていたので、僕だけじゃなく、ファンの皆さん、周りのスタッフも、それはそれは忙しい1年だったと思います。でもこの1年間走り続けたからこそ、今まで見えなかった景色や手応えがあって、2024年への勢いをつけられた最高の1年でした。なので今年はかなり自信に満ち溢れた年になると思っています。

ーー中でも印象に残っているのはどんなことでしょうか?

手越:たくさんありますけど、ずっとやりたかったシンフォニックコンサート(『手越祐也 Symphonic Concert 2023』)ができたことですね。

ーーそれは手越さんが企画、提案されたのですか?

手越:はい、そうです。前の事務所にいた頃からなので10年くらい考えていたことですね。時は来たって感じです。

ーー実際に企画して開催するまでにどれくらいの準備期間があったのでしょうか。

手越:まず最初にシンフォニックコンサートを仕切っているコンサートチームが僕の単独コンサートを見に来てくれたんです。というのも、シンフォニックコンサートができる実力なのかっていうところを見定めないといけなくて。それで、ライブ終わりにスタッフのみなさんとお会いして、間違いなくオーケストラで活きる声とボーカル力だからやりましょうと言っていただいて、やることが決定して、そこから会場決めだったりチーム集めが始まりました。実現までは1年もかかってない気がする。半年とか7、8カ月くらいじゃないかな。

ーーとんとん拍子具合に縁を感じますね。自信に繋がったんじゃないですか。

手越:そうですね。ある意味ステージを見てもらうのが一番早いじゃないですか。オーケストラチームも、錚々たるメンバーとお仕事をしている人たちなので、僕のライブを観た上でぜひやりましょうって言っていただけたのは嬉しかったですね。

ーーそして2023年は立教大学の学園祭にも出演されました。初めてのことで思い入れもあったかと思います。10代、20代の学生との交流でどんなことを感じましたか?

手越:大学生っていいなって(笑)。楽屋まで一生懸命にアテンドとかしてくれるじゃないですか、みんなかわいいんですよね。この子たちが夢を追って社会人になったときに、それぞれの夢を叶えやすくしたり、何か人と違うことをやっても叩かれることがなく、のびのびと夢に向かって羽ばたいていけるような社会や風潮にする責任が先輩の僕らにはあるなって改めて思いました。

ーーなるほど。

手越:今はコンプライアンスが厳しくなりすぎて、生きづらくて、何かやったら叩かれて……自由にのびのびとできなくなっている。それは間違いなく諸先輩方、僕らの代のせいだと僕は思うので、ちゃんと価値観も変えていかないと。だって、若者たちは決められたそのときのルールでしか道を通れないわけだから。僕らからしたらあの大学生たちは一回りぐらい後輩なわけですよね。いまの環境はちょっと嫌だな、この子たちの夢を摘みたくないなって改めて思いました。

ーー2023年、ファンの皆さんからはどんな声が聞こえてきましたか?

手越:僕のファンにはこの数年を応援してくれている人もいれば、もう昔から十年以上応援してくれている人もいるけれど、今まで応援してきた中で、一番思い出になる最高の1年でしたって言ってくれる方が多かったですね。

ーー手越さんといえば歌唱力と表現力が魅力ですが、ステージに立つ上での美学、意識していることを教えてください。

手越:それはどうかわからないですけど(笑)。でも、ステージに限らず、常に自然体でいることですかね。自然体で歌った方が伝わると思うんです。本当にそういうことを考えているし、そういう思いを伝えたいと思って歌う人の歌の方が伝わる。僕は歌が上手いことが正義だとは思わないので、別にピッチを外そうが、歌が上手くなくても、心に響く歌を歌う人もたくさんいると思っています。

ーーそうですね。

手越:カラオケの点数で100点をとる人がなんでプロで歌って売れないの? っていったら、伝わらないからなんですよ。やっぱり届けたいメッセージ、思いが常にあること。テクニックだけじゃなくて、何を目的にどういう人に伝えたいかを、常に感情と熱と心を込めて歌うようにしています。あとはステージで力を抜くことです。もう確固たる自信がつくぐらいの、リハーサルと練習量を積んで、絶対に本番は余裕だ、どうとでもなるだろうって思ったら勝手に力が抜けるんです。それは適当に歌うのではなくて、体も心も常にどこにでも動ける状態にしておく。体がガチガチだと速く走れないじゃないですか。

ーー言われてみれば確かに。

手越:スポーツ選手が走っているときも、力を入れているけど力を抜いているんです。ぐわーって力を入れまくって走っているわけじゃない。面接でも、試験でも、コンサートとか、人前で話すときとかも、「よっしゃー!」って思うから、カッチカチになって緊張するけど、例えばスピーチとかを「噛んでもしょうがないよね」、「準備もしてきたし噛んだら嚙んだでいいや」っていうぐらい、力を抜いた方が絶対に人間は力が出る。大切なのはルーティンを変えないこと。いきなり試験の前日だけ違うルーティンにしたらそりゃ緊張しますよ。22時に寝てるなら22時に寝る。朝起きてゲームしてから何かやってるならゲームをする。リラックスして「なんとかなるっしょ」っていう状態が人間は一番パワーが出ます。

ーー様々な場面で参考になりそうなライフハックですね。

手越:よくいろんなアーティストから「緊張しない方法ってありますか?」って聞かれるんです。それで後輩とかがステージ袖に見に来るんですけど、本当に本番のステージに出る5秒ぐらい前まで雑談してますからね(笑)。あははって笑いながら、じゃあ行ってくるわーって。だから「え? 本番前ってあんな感じなんですか?」って言われます。

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