Mrs. GREEN APPLE、Ado、Rockon Social Club……『紅白』初出場組、見逃せない注目ポイントを総括
TikTokからの踊れるヒット曲で年末年始もダンス
anoの「ちゅ、多様性。」は、アニメ『チェンソーマン』第7話のEDで話題になり、後にano本人のダンスで、TikTokを中心にSNSでバズを起こした。同アニメは、全12話のEDが映像、楽曲とも毎週変わる斬新な試みと、アーティストのラインナップの豪華さで、アニメファンのみならず音楽ファンにも放送前から注目された。第7話では、主人公・デンジの初キスが“ゲロチュー”という大惨事になるエピソードがあるが、それをモチーフにした歌詞をサビで繰り返しているのが「ちゅ、多様性。」だ。
同曲のMVでanoはサビに合わせてキュートなダンスを披露しており、同曲のデジタルリリースに合わせてTikTokで「#ゲロチューダンスコンテスト」を開催。シンプルで覚えやすいダンスだったこともあり、コンテスト開催期間は約2週間と短いながら、同ハッシュタグの動画は1億2670万視聴を突破(2023年12月現在/以降のTikTok再生数はすべて同時期)している。コンテスト終了後もダンス動画の投稿は止まらず「#geroチューダンス」では550万視聴超え、「#ゲロチューダンス」で256万視聴を記録。他にも“ゲロチューダンス”関連のハッシュタグが多数あり、いかに大きなバズを起こしたのかがわかる。
アーティスト本人がMVでダンスを披露し、TikTokでのバズに繋がったのはMrs. GREEN APPLE「ダンスホール」も同様だ。2018年にリリースされた「青と夏」が、2019年以降も毎年夏になるとTikTokやInstagramのリール動画のトレンドにランクインしてくるなど、元々SNSとの親和性が高いバンドであったが、2022年5月発売の「ダンスホール」から、自らの発信も含み、その親和性をさらに強化している。
「ダンスホール」は、同年7月にメンバー3人による1番サビ部分のダンス動画がTikTokに投稿されると、ヒット中だった曲がさらに「#踊ってみた」動画で拡散。そのほか、TikTok LIVEでの「ダンスホール」ダンサーをTikTokで募集したほか、ハロウィンの時期も相まって多方面へのアプローチに成功した。結果、年をまたぐロングヒットとなり、TikTokで「#ダンスホール」は2億7780万視聴を突破している。また「#ダンスホール歌ってみた」が260万視聴を突破するなど、大森大貴のハイトーンのボーカルが、ユーザーのチャレンジ精神を刺激し、投稿に至る一因にもなっているようだ。きっと『紅白』のステージでも大きな注目を集めるパフォーマンスになるだろう。
「オトナブルー」で『TikTok上半期トレンド大賞2023』を受賞した新しい学校のリーダーズも、TikTokのバズをきっかけに知名度をあげたグループ。2022年年末に『SONGS OF TOKYO Festival 2022』で披露した「オトナブルー」のライブ動画の“首振りダンス”がTikTokで話題となり、踊ってみた動画でバズを起こす。3月に同曲のMVが公開されると、このバズはさらに加速。TikTokフォロワー数が国内女性アーティスト1位となったほか、芸能人やインフルエンサーが“首振りダンス”を投稿する動画も多く見られた。TikTok上で「#首振りダンス」は2億4720万回視聴を突破。「#オトナブルー」は9億186万回視聴という驚異的な数字を記録している。また、「ユーキャン新語・流行語大賞2023」においては「新しい学校のリーダーズ/首振りダンス」がトップテンに入賞している。楽曲自体のキャッチーさはもちろんだが、大人から小さい子どもまでマネすることができるダンスは、年末に賑やかな風景を運んでくれそうだ。
Ado「唱」は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのハロウィンイベント「ハロウィーン・ホラー・ナイト」とのコラボ楽曲で、ダンスショー「ゾンビ・デ・ダンス」の主題歌に起用された。このダンスショーの振り付けが「#ゾンビダンス」「#ゾンビでダンス」というハッシュタグとともに、TikTokの踊ってみた動画でバズを起こす。Perfumeが自身のオフィシャルTikTokで「#踊ってみた動画」を投稿したのも話題に。Billboard Japan「Hot 100」並びにオリコン「週間デジタルシングル(単曲)ランキング」「週間ストリーミングランキング」で首位を獲得した。前述した2つのハッシュタグの視聴回数は、合計で1億1340万回を超えている。加えて、12月2日に放送された『ベストアーティスト2023』(日本テレビ系)に出演し、初のテレビパフォーマンスとして「唱」を披露した。その圧倒的な声量と歌唱力に度肝を抜かれた人も多いのではなかろうか。『紅白』でのパフォーマンスにも期待が高まる。
再ブレイクのアーティストも
また、初出場のベテラン勢の注目株はRockon Social Clubだろう。同バンドは、2022年に再始動し、2023年8月に日比谷公園大音楽堂のラストライブを行った男闘呼組メンバーを中心とし、プロデュースを寺岡呼人が担当。『紅白』ではMISIAとのコラボ曲「傷だらけの王者」を披露するという。男闘呼組の再始動まで約30年のブランクがありながらも、活動再開後は瞬く間に注目を集める存在となり、約1年半で『紅白』出場まで至るというのは、非常に稀有なケースと言えるだろう。それだけ彼らのことを待ち望んでいたファンがいたことを示している。2年連続トリのMISIAは2021年、藤井風とコラボパフォーマンスを行い話題をさらったが、今年はどんなパフォーマンスを見せるのだろうか。
アニメ主題歌やTikTokでのヒット曲が多数並ぶラインナップは若者層が楽しめる一方、Rockon Social Clubをはじめ、クイーン+アダム・ランバート、ポケットビスケッツ&ブラックビスケッツ、11人の盟友と共に出演するYOSHIKIなどのベテラン勢は同時代を生きた世代にはたまらないものがあるだろう。近年の『紅白』の出演アーティストには賛否両論の声が上がることも珍しくないが、“ボーダーレス”という今年のテーマの通り、様々な世代で楽しめる『紅白』になるのではないだろうか。
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