チョーキューメイ、ブレイク果たしても“初心”は忘れず 渋谷WWWに刻んだアイデンティティ
「今年になってから、いろんな人に聴いてもらえるようになりました。けれども、活動するなかで『忘れちゃいけない』という気持ちがあって。音楽をはじめたときの『やってやる』『負けたくない』という気持ちを思い出す必要があるなって。初心に戻りたいと思うことが何回もありました」というMCから始まったのは、ライブで一度も演奏されたことがないという「狩人」。れんぴがシンバル、空閑はジャンベ、藤井がスレイベル・チャフチャス・トライアングルを鳴らし、弾き語りで披露されたこの曲――エキゾチックな旋律のなかに「空に羽ばたきたい」という願いを込めた「狩人」は麗の原点であり、チョーキューメイの核なのかもしれない。
そして、ライブ中盤のピークを生み出したのは、新曲「promise you」だった。「なぜ生きるのか?」という答えの出ない、根源的な問いを掲げたこの曲は、ギターのアルペジオからはじまる。ピアノ、ベースの緊張感に溢れたフレーズが加わり、さらに〈君の鼓動が代わりに叫ぶ〉というラインをきっかけにリズムが変化し、ボーカルの力強さが増す。ドラマティックな展開、普遍的なテーマ性もそうだが、チョーキューメイの本質が詰まった楽曲と言えそうだ。
クリスマスイブ、麗の誕生日ということで、「メンバーがプレゼントをくれたんですけど……」というワチャワチャしたトーク、TVアニメ『ゆびさきと恋々』のエンディングテーマとして制作された愛らしいポップチューン「snowspring」の初披露、麗がバイオリンで主旋律を奏でた「ジングルベル」カバーからライブは後半へ。アイルランド音楽の雰囲気を感じさせる「君は一人だ」に続いたのは、チョーキューメイの存在を世に知らしめた「貴方の恋人になりたい」。超ストレートなラブソングによって、オーディエンスの間で心地よい幸福感が広がっていった。さらに麗のエモーショナルな歌声に心を打たれた「心を照らせ!」、チョーキューメイのポップサイドを象徴する「故のLOVE」(両手でハートマークをつくる振付がかわいい)と代表曲を重ねる。愛らしさとエモさが同時に押し寄せてくる感覚もまた、このバンドの大きな魅力だろう。
「空想次第で存在することができる“十三月”に、待つんじゃなくて、会いにいこうよ。まだ燃えてない君の夢! ここがはじまり」(麗)というMCにリードされた本編の最後は、宇宙空間を映し出す映像とともに披露された「十三月の銀河」。まさに銀河のように広がっていくメロディ、メンバー全員の感情が一つになった演奏、そして、〈ここが始まりだ〉と宣言する歌によって、ライブはクライマックスを迎えた。
アンコールでは、まずメンバーそれぞれがライブの感想を語り合う(要約すると「楽しかった」)。麗は今回のライブを「チャレンジが多かった」と総括。さらに「なんといってもWWW初挑戦。こんなにたくさん来てくれるとは思っていませんでした。本当にありがとう」と改めて感謝を口にした。
さらにライブのタイトルについて、「星が爆発して、破片になって。それが融合して惑星になる。そういう現象があるみたいなんだけど、私たちのバンド活動にも同じことを感じるなと思って『超新星』をタイトルに入れました」「『教えて』というワードはいちばん最初に作ったCD。『超新星は教えてくれる』は、始まっても終わっても、終わっても始まっても、どんどん続いて輪廻していけるような、次につなげていけるライブにしたいと思って、こういう名前にしました」と説明。バンドを続けることの意思をオーディエンスに直接伝えようとする姿勢にも感銘を覚えた。
続いて演奏されたのは、シングル『教えて』の収録曲「孵卵」。「これからもこの4人で音楽を作っていきます!」というシャウトからアッパーチューン「涙と羽根のピアス」を放ち、ライブは終了した。
『超新星は教えてくれる』の追加公演として、2024年2月から3月にかけて愛知、大阪、宮城、東京でツアー『銀河、離れ離れにならないで』を開催。4月3日には台湾でのイベント『台日爆音BORDERLESS 2024』に出演するなど活動の規模はさらに拡大し続けている。2024年はチョーキューメイにとって、まちがいなくブレイクの年になるはず。4人が繰り広げるストーリーを多くの音楽ファンと一緒に共有したいと思う。
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