トンボコープ、悔しさをバネに辿り着いた“最高の夜” 満員の渋谷WWW公演を観て

 トンボコープが、1stライブツアー『トンボコープ pre. 1st LIVE TOUR 「むしのしらせ」』の追加公演を行った。

トンボコープ

 今回の追加公演は、9月に開催された同ツアーが完全ソールドアウトしたことを受け、12月14日に大阪・梅田Shangri-La、12月18日に東京・渋谷WWWにて開催されたもの。大阪はブランデー戦記、東京はリュックと添い寝ごはんを招いた対バン形式で行われた。本稿では、東京編のトンボコープのライブの模様を振り返る。

 この日もチケットはソールドアウト。後方までぎっしり人が埋まった会場にSEが流れ、雪村りん(Vo/Gt)、そらサンダー(Gt)、でかそ(Ba)、林龍之介(Dr)がステージに登場した。1曲目は、10月にリリースされたアッパーチューン「風の噂」。序盤から一気に爽快なサウンドが会場を満たし、フロアからも熱い手拍子が送られる。

 「今日は最高の夜にすることを約束します!」ーーそう宣言した後は「過呼吸愛」をプレイし、会場のギアをまた一段と上げていく。そこから林の力強いドラムが響く中、雪村は「次の曲はサビで一緒に手振ってほしいんですけど、いけますか?」とフロアへ呼びかけ、サビで手を左右に振る動きをレクチャー。続く楽曲は、12月20日配信リリースの最新曲「独裁者」だ。練習の成果もあり、ピタリとそろったフロアの手の動きを見て、雪村も「マジ最高だ!」と一言。間奏ではそらサンダーが熱いギターソロで沸かせ、会場が一体感に包まれた。

 最初のMCでは、でかそが最近開発したというお決まりのポーズ(ピースサインを掲げて「イェーイ」と叫ぶ)を観客と一緒に行い、終始和やかなムードに。そんなあたたかい雰囲気の中、「あたたかいを越えたアツい曲やります!」と前置きして披露されたのは、夏の恋を歌った「信号花火」だ。続いて4人は「サンポリズム」で軽快な演奏を届け、フロアを揺らしていく。にぎやかな雰囲気から一転、バラードナンバー「鼾」では、厚みのあるバンドサウンドがドラマチックに会場を彩った。

 次に届けられた「夢の10年後」には、明日を生きようと思える勇気を少しでも与えたいという想いが込められているという。オレンジ色のライトが灯る中、私たちにそっと寄り添うような、力強くも優しい演奏が響きわたる。自分たちの音楽や言葉が、目の前のあなたに届いて欲しい。そんな彼らの想いがストレートに伝わってくるような、熱のこもったパフォーマンスだった。

 今回の対バン相手であるリュックと添い寝ごはんとは、メンバー同士が高校時代からの付き合いだという。まだトンボコープが結成される前、でかそはリュックと添い寝ごはんの音楽活動がどんどん広がっていくのを見て、嬉しいと同時に、何もできていない自分に不甲斐なさを感じていたと明かした。だからこそ、今日こうして一緒にステージに立てたことで、「俺にとってはめちゃくちゃ大事な日!」と喜びを露わにし、メンバーも感慨深い様子を示した。

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