『BTS Monuments: Beyond The Star』が映し出すARMYとBTSの絆 天国と地獄を経験した10年

 BTSメンバーの10年間の軌跡を収めたドキュメンタリーシリーズ『BTS Monuments: Beyond The Star』がディズニープラスで本日12月20日から毎週水曜に2話ごと、全8話で独占配信となる。

 12月11日にBTSのRMとVが、そして12日にはJIMINとJUNG KOOKが入隊した。BTSは2022年12月にJINが、2023年4月にJ-HOPEが入隊し、SUGAは9月から社会服務要員として代替服務にあたっており、メンバー7人全員が軍白期(軍と空白期を合わせた新造語)に入った。

 コロナに疲弊していた2020年、BTSの「Dynamite」の明るさは世界に希望を与えた。80年代ディスコを彷彿させるレトロポップな楽しい曲調とキャッチーな振付、そしてBTSにとって初の試みとなる全英語詞というわかりやすさもあいまって、MVは公開24時間で1億110万回再生され、YouTubeにおける24時間最多再生回数を記録。Billboard Hot 100では初登場1位からロングヒットを続け、「most weeks on the US Hot 100 by a K-pop track(K-popトラックによるUS Hot 100ランクイン最長期間)」を記録。デジタル・ソング・セールス・チャートでは18週間連続トップとなり「most weeks at No.1 on Billboard’s Digital Song Sales Chart(ビルボードのデジタルチャート1位ランクイン最長期間)」を記録するなど、数々のギネス世界記録を更新し、世界的トップスターの座を手に入れた。

 7人揃っての来日公演は、コロナ前に遡る2019年末の『BTS JAPAN OFFICIAL FANMEETING VOL.5 [MAGIC SHOP]』が最後。ZOZOマリンスタジアムと京セラドームでファンミーティングを行った彼らだが、その初来日『防弾少年団 1st JAPAN SHOWCASE』(2013年)は、キャパわずか600人の渋谷O-WESTだったなんて、今の姿からは全く想像できないだろう。とはいえ「Dynamite」でBTSにハマったというファンの多くは、7人そろったBTSを未だ生で見ることが叶っていないのではないだろうか。完全体での復帰は早くても2025年頃となる。次の来日を待ちわびるファンにおススメしたいのがこの『BTS Monuments: Beyond The Star』だ。BTSの10年間の歴史を、彼ら自身があまり語ってこなかった本心に迫るインタビューと、当時の貴重映像で振り返ることができる。

 『BTS Monuments: Beyond The Star』初週配信となる第1、2話の内容をレビューしながら、ここで語られているBTSの歴史を振り返ってみよう。BTSは、JYPエンターテインメントから独立した作曲家のパン・シヒョクが立ち上げたBig Hit Entertainment(現HYBE)初の男性アイドルグループとして、2013年6月13日に「NO MORE DREAM」でデビュー。ドキュメンタリーの中で彼らの生みの親でもあるパン・シヒョクも語っているが、BTSは元々、RMと現在も彼らのプロデュースを手掛けるPdoggを中心としたヒップホップグループとなるはずだった。しかし途中でアイドルグループに方向転換したために、ラッパーであるRMとSUGAにダンスを得意とするJ-HOPEが加わり、その後に多くの練習生の中からJIN、JUNG KOOK、V、JIMINが選ばれて7人グループとなった。第1話では、パン・シヒョクの語るメンバー評も秀逸だったが、彼がJIMINの加入を渋っていたというエピソードも興味深かった。

 ドキュメンタリーには、デビュー前の練習生時代の映像や、「NO MORE DREAM」でのデビューステージ、そしてデビューステージ後に、ファンを公園に集めて行ったミニファンミーティングなどの懐かしい映像も収録されている。また、SUGAがグループを「家族」と例えているが、JUNG KOOKの高校入学式やRMの高校卒業式、J-HOPEが号泣したサプライズ誕生会などまさに家族のようなオフでの姿も観ることができる。

 デビュー曲「NO MORE DREAM」のサウンドのベースは、ギャングスタラップ。デビューからの通称「学校三部作」は、他のアイドルグループとは毛色の違うヒップホップ色の強い、いかつ目なサウンドとファッションを打ち出していた。デビュー年に新人賞こそ受賞しているが、EXOがブレイクし、BIGBANGのG-DRAGONがソロ活動を行うなど、SM、YG、JYPといった3大事務所隆盛の時代に、小さな新興事務所からデビューした彼らは、なかなか音楽番組で1位になる人気を得るには至らず、彼らにすべてをつぎ込んでいた会社の経営も危うくなり、ドキュメンタリーの中でJ-HOPEも「一番辛かった時期」だと語っている。

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