THE LAST ROCKSTARS、大きな困難の中で得たパワー PATAと共演果たした日本公演ファイナルを振り返る
ここからは各メンバーのソロパートへ。SUGIZOとMIYAVIによるギターバトルは、まるでギターで会話をしているかのようなスリリングなフレーズの応戦から始まり、気づけば互いに背を預けて共にハーモニーを奏でる展開に。超絶技巧のギタリストによるエキサイティングなステージに、観客も沸き立つ。続いてSUGIZOによるヴァイオリンソロが始まると空気は一変。クラシックの荘厳な雰囲気とLEDライトによるSF的な演出が混ざり合い、別世界へと誘われる。ステージに現れたHYDEと共に妖艶に届けた「Folly」、MIYAVIのアコースティックギターによるソロパートから始まり、全ての苦しみを癒すようなサウンドで包み込んだ「Hallelujah」など、多彩なアプローチでライブを展開していく。
暗闇の中、しばらくの間沈黙が続き、張り詰めた雰囲気に会場が飲まれたところで、YOSHIKIが登場。神々しく光るクリスタルのドラムセットに立つと、背後のスクリーンによる演出で、YOSHIKIの背に巨大な翼が生える。怒涛の勢いでドラムを叩き始めると、ドラム台がどんどんとせり上がっていき、最終的にはまるで巨大なタワーの上でドラミングをしているかのような光景に。爆音と共に花火が飛び散るラストを迎えると、割れんばかりの歓声が響いた。間髪入れずにピアノへ向かうと、「ENDLESS RAIN」を奏で始めるYOSHIKI。観客は自然と歌い始め、YOSHIKIはその声を求めるように客席を見つめていた。
YOSHIKIの呼び込みで3人のメンバーが再びステージに登場。そして最後に姿を現したのは、X JAPANのギタリスト・PATAだった。絶叫にも似た歓声が響き渡る中、「俺たちTHE LAST ROCKSTARSは、あらゆる壁を取り払うという意味で集まった。バンドの壁を取り払って気合い入れていくぞ!」とYOSHIKIが叫ぶと、「Rusty Nail」を披露。5人が同じステージに立って音を鳴らすという貴重な光景は、観客の興奮を掻きたてた。
演奏後は、ステージセットの階段に座り込んでトーク。今回のPATAとの共演について、YOSHIKIが「メンバー一人ひとりに話してOKをもらった。やめることはいつでもできるけど、僕らは今生きているから。ファンのみんなの顔を見て、(このメンバーに)集まってもらって良かったと思った」と涙声で話すと、客席からは「ありがとう!」と感謝の声が飛び交う。その後、最近誕生日を迎えたYOSHIKIとPATAのバースデーを祝いつつ、ワインで乾杯。最後にYOSHIKIが「PATA、長生きしてね」と声をかけると、PATAは「(この後も)ちゃんとライブやれよ、お前!」と発破を掛け、笑顔のままステージを後にした。
和やかな空気から、「HONEY」で再びエンジンをかけると、「UP 'N DOWN」「Bang!」とアッパーなナンバーを続けて投下。観客が一斉に飛び跳ねてアリーナが大きく揺れたり、曲中にHYDEがステージを降りて客席へと歩み寄る場面も。
いよいよラストスパートへ差し掛かったところで、HYDEが今回のツアーについて改めて話し始める。「一度は日本公演も含めて全部キャンセルしようと提案しました。(YOSHIKIさんの)身体が大事なので。でもやるからには俺は全力で援護するしかない。俺が歌うことで賛否あるのはわかっていたけど、今思いきりやらなくてどうするんだよって」。その言葉を受けたYOSHIKIは、「俺って生きてていいのかな、誕生日を祝っていいのかなって考えることもあった。ずっとギリギリのところで綱渡りしている気分だった。もう落ちてしまいたいと思ったこともある。でも一緒に歩こうよと言ってくれるメンバー、ファンのみんながいる。もし落ちたとしても翼を広げて飛べる。ボロボロでもいい。誰かが風を送ってくれれば飛び立てる。一緒に血だらけの翼を広げる?」と語り、本編ラストの「Red Swan」へ。HYDEがピアノの傍へ歩み寄り、YOSHIKIを優しく見つめながら歌い始める。そこへMIYAVI、SUGIZOの音も加わり、4人で重厚なバンドサウンドを奏でると、観客のペンライトで真っ赤に染まったアリーナに銀テープが飛び、盛大な盛り上がりと共に本編は終わりを迎えた。
アンコールでは、3D対戦格闘ゲーム『鉄拳8』の公式イメージソングとなった新曲「MASTERY」、THE LAST ROCKSTARS唯一のバラードソング「Shine」を披露し、彼らの始まりの曲「THE LAST ROCKSTARS」で遂にフィナーレへ。YOSHIKIはCO2噴射機を持ってステージの下を走り回り、SUGIZOはそんなYOSHIKIに代わってドラムをプレイ。HYDEとMIYAVIはマイクスタンドを振り回したり、床へ叩きつけたりと、まさにカオスなステージに。観客のボルテージも最高潮に達したところで真っ赤な紙吹雪が舞い、鮮烈な光景を作り上げた。
轟音の中、全ての感情を解き放つように、ドラムセットを執拗に破壊するYOSHIKI。そしてステージの中央へ4人全員が集まると、互いの絆を確かめ合うように力強く肩を組む。YOSHIKIは涙ぐむMIYAVIの頭を抱き寄せ、掠れた声で何度も「ありがとう!」と叫んだ。3日間をやりきったという大きな達成感と感動が伝わってくるフィナーレだった。
バンドリーダーYOSHIKIの体調面での不安を抱えながら駆け抜けた3日間だったが、一人ではなく誰かと共に爆音を鳴らせるバンド形態でのライブが、今このタイミングで開催できたことは、他の何にも代えがたいパワーをTHE LAST ROCKSTARSに与えたのではないだろうか。声が枯れるまで叫び続け、誰よりも高くジャンプをして無邪気に笑う、まさに少年のようなYOSHIKIの姿を見ていると、そう思えてならなかった。
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