PSYCHIC FEVER、表現したいものを対話の中で作る姿勢 アジア各国を回りながら見つけたもの

 PSYCHIC FEVERが10月23日、デジタルシングル「Temperature (Prod. JP THE WAVY)」をリリースした。

 今作は、今世界中から熱い視線を注がれているヒップホップアーティスト JP THE WAVY(以下、WAVY)がプロデュース。WAVYはPSYCHIC FEVERのプレデビューシングル「Hotline」に惚れ込み、同楽曲のリミックスに参加した背景もあることから、彼が作詞作曲を担当した「Temperature」はグループの歌、ラップ、ダンスの特徴や強みが細部まで存分に活かされた楽曲となっている。さらに、ジャージークラブといった海外の音楽シーンの最新トレンドも意識してサウンドが作り込まれており、その奥深さに、PSYCHIC FEVERのファンだけでなくコアな音楽ファンも楽しめる楽曲となっている。

 今回はそんな「Temperature」の制作過程について話を聞くべく、PSYCHIC FEVERの剣、中西椋雅、JIMMY、半田龍臣、WEESAの5名にインタビュー。同楽曲のサウンドやダンスの特徴、楽曲を聴き込んだファンにこそ注目してほしいポイント、アジアを中心とした海外での活動について語ってもらった。(市岡光子)

話し合いの中で進んだWAVYとの楽曲制作を振り返って

剣・WEESA

——「Temperature (Prod. JP THE WAVY)」のコンセプトを教えてください。

剣:「Temperature」は、PSYCHIC FEVERとして初めてJP THE WAVYさんにプロデュースしていただいた楽曲で、僕たちがいつも表現している“等身大の恋愛”からは少しムードを変えて、“大人の恋愛”をテーマにしています。楽曲の中では僕たちも少し背伸びをしていて、ちょっと強引というか、僕たちの中にある“理想の男らしさ”の部分をより一層引き出した楽曲になっていると思います。

——WAVYさんのプロデュースは初ですが、コラボレーションは今回で2回目です。

剣:そうなんです。僕たちがプレデビューシングル第1弾としてリリースした「Hotline」をWAVYさんが気に入ってくださり、リミックスに参加(デビューアルバム『P.C.F』収録 曲「Hotline (Remix) feat. JP THE WAVY」)してくださったことがすべての始まりで。それがあったからこそ、今回のプロデュースに繋がったんですよね。「Temperature」では、WAVYさんにガッツリ楽曲制作の部分から入っていただいて、一から一緒に作りました。

——楽曲制作の過程では、WAVYさんとどのようなコミュニケーションをとったのでしょう?

剣:本当にいろいろなお話をしましたね。会話を重ねる中で、WAVYさんが僕らの人柄や「バラバラなスタイル」というグループの武器を汲み取ってくださって。リリックや歌詞の一つひとつにPSYCHIC FEVERらしいカラーが表れていて、今回のデジタルシングルは、僕たちにしか出せないような楽曲になっていると思います。

——楽曲の方向性は、どんな風に決まっていったのでしょうか。

中西椋雅(以下、中西):今回の制作は、WAVYさんからリファレンス曲をいくつか出していただくところから始まりまして。WAVYさんは僕たちの「Hotline」をすごく気に入ってくださっていたので、激しい楽曲というよりも、シンプルなコード進行でアナログシンセが入ったような、チルな落ち着いた楽曲がリファレンスで出てきたんですよね。そういったイメージをベースに作り上げていく中で、WAVYさんがPSYCHIC FEVERらしさを磨いてくださって、洋楽っぽさのある楽曲に仕上がりました。

中西椋雅・JIMMY・半田龍臣

——楽曲制作を得意とする中西さんとJIMMYさんから見て、今作の特徴はどんな部分にあると思いますか?

中西:「Temperature」は、個人的には「Hotline」の名残も少しある楽曲かなと思っています。「Hotline」はエッジの効いたベース音がすごく印象的な楽曲なんですけど、「Temperature」もイントロの部分にそういう特徴があったりして、どちらの曲を聴いても共通点があるサウンドを感じられるんですよ。そういったところに注目して聴いていただけると、WAVYさんの楽曲が好きな方にも、僕らの楽曲が好きな方にも、サウンド面ですごく楽しんでいただけるのかなと思います。

JIMMY:今回の楽曲はドリルやジャージークラブといったビートを使っているんですけど、どちらも今USですごく流行っていて、トップチャートに入ってくるようなものなんですね。そのビートにプラスして、日本でも聴きなじみのあるトップライン(メロディ)が乗っているので、PSYCHIC FEVERのことを知らない人でも「このビートかっこいい!」と感じる楽曲になっていると思います。

 むしろ音楽好きな方にとっては、ドリルもジャージークラブも入った楽曲を日本のボーイズグループがパフォーマンスしていることに面白さを感じてもらえるかもしれません。たぶん、こういう楽曲をやったのは日本では自分たちが最初だと思いますし、3つのジャンルがすごく絶妙なバランスで1曲の中に詰まっているので、曲の展開を楽しみながら、自分の好きなポイントを見つけていただけたらなと。

——レコーディングにはWAVYさんも同席されたのですか?

中西:はい、WAVYさんにも一緒にスタジオに入っていただき、かなり密にコミュニケーションを取りながらレコーディングを進めていきました。なので、歌い方や歌詞、リリックも途中で変えた部分が結構あって。デモ音源からは全然違ったものに仕上がっていますね。

——レコーディングで皆さんの意見が反映されたり、逆にWAVYさんから指摘されて学びになったポイントはどんなところでしたか?

WEESA:歌い方に関しては、メンバーの意見が反映されている箇所も多いんじゃないかと思います。メンバー一人ひとりが、声の出し方やカッコよく聴こえる歌い方をWAVYさんと何度も話し合って録ったので。

半田龍臣(以下、半田):WAVYさんがもともとダンサーということもあって、今回は音楽だけでなく、ダンスの部分でもプロデュースしていただきました。なので、普段僕たちがやっていなかったことを吸収できましたし、「Temperature」ではいろいろな面で新しい僕たちを表現できたのかなと思っています。僕たちのことを応援してくださる皆さんにも、また違ったPSYCHIC FEVERを見せられるかもしれません。

リリックに反映されたメンバーの個性

——楽曲を聴き込んだ方に注目してほしいポイントは何かありますか?

WEESA:リリックに関しては、ぜひ注目して聴いていただきたいですね。それこそ椋雅くんのリリックで〈首都高飛ばしすぎて取れそうになってる免許とまつ毛〉という部分があるんですけど、あれはWAVYさんの楽曲の歌詞から引用されている言葉なんですよ。あとは、サビも〈君以外今考えれない全然〉とダイレクトな言葉を何回も歌ったりしていて、2つの意味が重なっている言葉があったりもしますし、歌詞を見て、その中に隠された仕掛けを探しながら聴いていただけると、すでに聴き込んでくださったファンの方にも発見があると思います。

剣:たしかに、リリックに関してはすごくこだわりがあって。歌詞をよく見ていただくと、描かれている男女の片方が僕らになっていて、もう片方が聴いてくださっている皆さんという構図になっているんですよ。剣と向き合っている彼女の気持ちになっていただけるというか(笑)。例えば、僕が担当している〈ちょっとだけする背伸び/追い付く為に君も履いてるヒール〉というリリックでは、「君」が皆さんで、「背伸びをして目線を合わせたい彼氏」が僕なんです。僕は身長が高いので、ヒールを履くというリリックが出てくるのも「たしかに剣くんと目線を合わせたいなら、そうなるよな」と思えますよね。

 あとは〈目立ってしょうがない隠れなきゃpaparazzi〉の部分も、僕らが彼氏だったら、たしかにパパラッチを気にしないとだめだよねとちょっと楽しくなってくると思います。いろいろな楽曲制作に携わっているWAVYさんがそういうリリックを引き出してくださったので、聴けば聴くほど、イヤホンの中でまた新しい世界ができ上がるんじゃないかなと思います。

JIMMY:龍臣が担当している歌詞にも面白いところがあるんですよ。〈てか wait ちょっと待って/さっきからずっとそれ俺の真似?/なんか口癖仕草も似てね?〉ってリリックがあるんですけど、龍臣って笑い方とか癖がすごく強くて、真似しやすいところがあるので、「それ俺の真似っしょ」って言葉が妙に説得力が出る(笑)。龍臣だからこそ言える歌詞だなと思います。

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