shallm、夢のステージへ “好き”を詰め込んだ初めての単独公演『liliana』をレポート
自ら作詞作曲を手掛ける19歳のボーカル・liaによるバンドプロジェクト shallmが、12月11日に代官山UNITにて『shallm 1st Live - liliana -』を開催した。この日はshallmにとって初となるワンマンライブ。かねてよりliaが「ライブをしたい」と思いを抱いていた同会場で、夢への第一歩を踏み出した。
開演すると幻想的なサウンドが流れ出し、バンドメンバーがステージに登場。遅れてliaがギターを担ぎながらマイクの前に立った。1曲目は「夢幻ホログラム」。勢いよく演奏がスタートすると、同時にliaの力強いボーカルが響きわたった。liaは「ご来場ありがとうございます!」「一緒に素敵な時間を作りましょう!」と呼びかけると、次の「白魔」ではグルーヴィーな演奏の上でファルセットを多用し、その抜群の歌唱力を見せつける。
shallmの魅力のひとつが、このliaによるハイレベルなボーカルだ。YouTubeチャンネルに投稿されている“歌ってみた”シリーズでは、liaがさまざまな歌をカバーしている。そこで発揮されている彼女の引き出しの多い豊かな表現力に魅せられた人も多いだろう。そんなliaの歌声は、バンドであるshallmにとって欠かせない要素だ。
次に披露したのはボカロP・バルーン(須田景凪)の「シャルル」のカバー。本公演ではshallmのオリジナル曲のほかに、こうしたカバーの披露も目立った。ボカロカルチャーに強く影響を受けたliaにとって、バルーンやハチ(米津玄師)はルーツのひとつ。初ワンマンの地をこの代官山UNITに選んだのも、米津が最初にライブした場所だからだという。だからなのか、カバーのパフォーマンスでも愛の深さゆえに、完全に自分のものとして昇華している姿が印象的だった。
観客に向けて少し挨拶し、その後に歌ったのは、人生における選択がテーマとなった“もしも”の世界を描いた曲「if 1/2」。繊細なピアノと疾走感のある演奏のなかで、liaによるエモーショナルな歌声が会場に放たれた。そして、米津玄師による「灰色と青( +菅田将暉 )」のカバーと、シャッフルビートに思わず体が揺らされる「ハイドレンジアブルー」を披露。バンドメンバーたちとのコンビネーションもよく、演奏中に時折顔を合わせながら笑顔を見せる様子も見受けられた。
ここでliaはバンド始動からの一年間を振り返った。この代官山UNITでのワンマンライブを目指し、「ひたすら走ってきた一年で、あっという間だった」と語る。そうして丁寧にファンへ向けて感謝を述べると、次の曲「サマータイムレコード」へ。季節外れの夏の曲だが、それがかえって焦燥感や寂寥感を生んでいたように思う。