PEDRO アユニ・Dが暮らしに向ける温かな眼差し 優美な進化を遂げた2度目の武道館公演
MCで集まったオーディエンスへの感謝を告げたアユニは、「私も、ここにいる皆さんも、それぞれが何かしらを抱えて、何かしらと戦って、何かしらを守って、日々生きていると思います」と語る。「逞しく今を生きている皆さんの心のお洗濯の源になるような時間になっていたら、とても嬉しく思います。そんな祈りを込めた新曲を作りました」と、続けてはこの日のライブタイトルにもなっていた「洗心」を披露した。シンプルなエイトビートに、透明感ある打ち込みのエレピのフレーズが映える曲。〈泣きたい時に泣かなければいつ泣くの〉と歌うアユニのボーカルがグッとくる。
ちなみに、PEDROはこの日の翌日となる11月27日にチケット代100円の単独公演『赴くままに、胃の向くままに』を同じく武道館で開催し、その日にサプライズで配信スタートしたニューアルバム『赴くままに、胃の向くままに』の楽曲を披露。“生活”をモチーフに、聴き手の暮らしに寄り添うような響きを持った新作の楽曲群の中でも「飛んでゆけ」と「洗心」は核になっているように思う。
終盤はパンキッシュな「吸って、吐いて」と重心の低いストーナーロック「魔法」でグッとオーディエンスを盛り上げ、本編ラストはPEDRO随一のシューゲイザーナンバー「雪の街」。轟音ギターが壁のように鳴り響き、大きな余韻を残して3人はステージを降りた。
アンコールに応えて再びステージに登場したアユニは「今は本当に音楽が大好きだなって気持ちでPEDROをやっています。PEDROの存在があなたの暮らしの、ほんの少しでも何かのきっかけになったり、日々の煌めきになっていたいという気持ちで、今日はここで歌を歌いました。ここにいる皆さん全員が、安心して、安全に暮らせますように、そう強く祈っています」と語った。
アンコールで披露したのは「人」と「感傷謳歌」の2曲。改めて強く感じたのは、アユニ・Dの“暮らし”というものに対しての、真っすぐで、誠実で、嘘のない思い。それが今のPEDROが鳴らす音楽の血液のようなものになっているということだった。新生PEDROのバンドとしての充実が伝わってくる武道館公演だった。
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