『日プ女子』で話題、LASによる名曲の数々 アイドルだけではないK-POPの魅力的なサウンド

 11月13日から19日までの7日間、SpotifyからSNSやメッセージアプリでシェア・再生された回数などをベースに同社が独自に指標化したランキング「Daily Viral Songs Japan」で、一般的にあまり知られていない楽曲が1位をキープした。タイトルは「RUN RUN」、アーティスト名はPROWDMONとLAS。前者は女性パフォーマンスグループ、後者は男性音楽ユニットで、ともに韓国出身の新進気鋭のアーティストだ。

#6 ハイライト┊PROWDMON, LAS ♫ RUN RUN [ポジションバトル]

 この楽曲がトップに輝いたのには、もちろん理由がある。人気オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』が現在、Leminoで放送・配信中だが、「RUN RUN」は同番組で行われたポジション評価のうちダンス部門の課題曲のひとつになったことで注目を集めたのだ。ちなみに他の課題曲はLE SSERAFIM「ANTIFRAGILE」、INI「Rocketeer」、Kep1er「WA DA DA」と有名なものばかり。そんな中に「RUN RUN」をあえて入れたのは、難易度の高い踊りに挑戦させて闘争心に火をつけるのが目的だったからだろう。

𝐏𝐑𝐎𝐖𝐃𝐌𝐎𝐍, 𝐋𝐀𝐒 - [RUN RUN] Official Performance Video

 2022年12月に韓国でリリースされた「RUN RUN」は、LASが歌唱とサウンドメイク、PROWDMONがパフォーマンスを担当。K-POPの世界ではリズムを強調したダンスポップが受けやすい傾向にあるものの、この曲はリズミカルながらも優雅なメロディラインに比重を置いた作りで、男性の透明感のある歌声が耳を引く。『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』では、13人からなるPROWDMONの大所帯ならではのダイナミックなダンスを7人の練習生でどう表現するのかが見ものだったが、同時に視聴者が楽曲そのものに魅力を感じたからこそ、Spotifyのバイラルチャートでも好成績を残したのではないかと思う。

 ではこの曲を手掛けたLASとは何者だろうか。調べてみるとメンバーはAVINとSLAYのふたり。どちらも作詞・作曲・アレンジ、さらに楽器も弾けるとのこと。名前が広く知られるようになったのは、韓国で放送されたオーディション番組『Listen-Up』がきっかけだったようだ。2022年に放送されたこの番組は、シンガーソングライター同士で作曲(または楽曲プロデュース)の実力を競い合うもの。ここでPROWDMONと知り合い、何度かの共演を経て初のコラボレーションシングル「RUN RUN」を出した、というわけである。

IVE 아이브 'After LIKE' MV

 2人が歌唱しているLAS名義の初シングルは、2021年8月にリリースしたアコースティックポップの「Love, This」(ドラマ『わかっていても』挿入歌)。歌い手としてのキャリアは浅いが、曲作りの仕事は前年の2020年あたりから始めたようで、今のところそちらでセールス的に一番成功したのが、アレンジで参加したIVEの「After LIKE」(2022年)だ。

 他にも有名・無名を問わずたくさんの楽曲を提供しており、ひと通り聴いてみると、バラード、EDM、ロックなど、リズムがどんなに変わっても“主旋律はいつもきらびやかに”をモットーにしているのが、LASの特徴であり最大の魅力と言える。

[Prod. 라이언전&라스] 로켓펀치 (Rocket Punch) - Thanks to (리슨 업) [Listen-Up(리슨 업)] | KBS 220827 방송

 “彼らの曲で何かお薦めを聴いてみたい”となると、LAS名義では、(G)I-DLEのミヨンをフィーチャリングした「春の歌」(2023年)、楽曲提供およびプロデュース作では、前述の『Listen-Up』でガールズグループ・Rocket Punchが歌ったバラード「Thanks to」(2022年)だろうか。どちらもメロディの良さにぐっとくるナンバーだが、アレンジもかなりレベルが高い。特に後者は有名プロデューサーのライアン・ジョンが主導したと思われる、うねるベースが印象的なR&Bサウンドで聴きごたえがある。

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