mothy_悪ノP&Mitchie Mが『初音ミクシンフォニー2023』高音質CDを体験 オーケストラの再現性に驚き

 初音ミク16周年を記念したオーケストラコンサート『初音ミクシンフォニー2023』サントリーホール公演が初めてCD化される。

 初音ミクを中心としたVOCALOID楽曲をフルオーケストラで演奏するコンサート『初音ミクシンフォニー』。サントリーホール公演は全曲フルオーケストラ生演奏のみで行うプレミアムコンサートとなり、今作は高音質CD「SACD」(※1)での収録が行われた。

 初音ミク16周年をお祝いした初演奏曲や定番曲に加え、ボカロ人気物語音楽である「悪ノシリーズ」15周年を記念した悪ノシリーズ豪華ロングメドレー「悪ノ交響曲」を公演全編高音質で収録したデジパック仕様のCD2枚組豪華盤。『初音ミクシンフォニー2023』サントリーホール公演演奏曲に加え、「悪ノシリーズ」の作者「mothy_悪ノP」によるボカロ書き下ろし新曲も収録する。

 リアルサウンドでは、mothyと『初音ミクシンフォニー』と縁の深いMitchie Mの対談を企画した。サウンドスタジオにて今作を視聴してもらい、高音質CD「SACD」の聴き心地を体験。それぞれが『初音ミクシンフォニー』に寄せる思いと共に、お互いの楽曲に対する印象や高音質CDの感想を聞いた(編集部)。

音の解像度が違うので、生楽器の艶や生々しさが感じられる(Mitchie M)

mothy、Mitchie M
左からmothy、Mitchie M

――さっそくですが、通常音源とスーパーオーディオCD(SACD)を聴き比べてもらいました。まずは率直な感想から聞かせてください。

mothy:高音質というとエッジが効くというイメージもありますが、むしろ丸くなっているというか、なめらかな感じがありました。このスタジオの空間が一回り大きくなって、響きが豊かになったような感覚ですね。

Mitchie M:イントロのパイプオルガンを聴いて、別の曲かと思うくらい音が違って驚きました。通常の音源も十分素晴らしいんですが、SACDと比べると少し平面的というか。すごく高域まで伸びているので、その場で演奏を聴いているような空気感や奥行きが感じられる。拍手の音も違うから臨場感がありますよね。音楽にあまり詳しくない人でも、十分に違いがわかると思います。

――後ろでなっている音もクリアに聴こえますね。

Mitchie M:音の解像度が全然違うので、生楽器の艶や生々しさが感じられますね。例えば「ハイレゾ」のような高音質について語られることって、プラセボ効果かなと思うようなところもあったので、やっぱり全然違うんだなと思いました。

mothy:音の分離がすごくわかりやすくなっていますよね。それぞれの楽器がちゃんと立っていて、変にバラバラにもならず、うまくバランスが取れていると思います。

Mitchie M:家で聴かれる方は、ある程度音量を出して楽しんでもらうと、より違いが分かりそうですね。初音ミクが好きな方には音響マニアの方も多いと思うので、絶対に喜ばれると思います。サントリーホールの公演に来られたり、興味を持たれている時点で、音響にこだわっている方も多いのかなと。

――お二人は、本作に収録されているサントリーホール公演を生でご覧になっています。比較してどうですか?

mothy:もちろん完全にそのままというわけではありませんが、かなり生音に近い感覚です。いや、本当にすごいですね。これだけの音響システムがなくても違いはきちんとわかると思うので、ぜひ聴き比べをしていただきたいです。

Hatsune Miku Symphony 2020〜5th Anniversary〜2020.09.21 at SUNTORY HALL / 悪ノ娘~悪ノ召使(mothy_悪ノP)

――さて、サントリーホール公演は映像もボーカロイドの歌唱もなく、非常にクラシカルな構成のコンサートです。「悪ノシリーズ」の15周年を記念した「悪ノ交響曲」も演奏されましたが、mothyさんは実際にご覧になってどうでしたか。

mothy:自分の楽曲はこれまでも演奏していただいているのですが、少しずつアレンジも変わっていて、年々クオリティが上がっていることに感動していて。クラシックとしての見せ方以上に、初音ミクの楽曲を演奏することに対しての見せ方がどんどん洗練されていて。これだけの曲数をメドレーでやってもらえて、本当にありがたいです。

Mitchie M:mothyさん以上にオーケストラの合う曲をかける人はいないんじゃないのかなと。本当にオーケストラとの相性がバッチリで、この公演のクライマックスだったと思います。

――冒頭にもあったように、サントリーホールにはパイプオルガンが備えられていて、荘厳な音色が楽曲に映えていましたね。

mothy:実は、パイプオルガンは原曲でそこまで使っている楽器ではないんですよ。生演奏はできないので音源を使うのですが、なかなか他の楽器と合わせるのが難しくて、ボーカル曲だとなおさら使いづらかったり。でも、今回のアレンジでは元から入っていたんじゃないかと思うくらい、まったく違和感がなくて。普段は使っていても壮大な楽器というより、旋律で聴かせる感じなので、会場全体に響き渡る感覚に感動しました。

――Mitchie Mさんの「Birthday Song for ミク」も大盛り上がりでした。原曲はボーカロイドたちが賑やかなセッションが魅力ですが、オーケストラではこうなるのか、という楽しさがありました。

Mitchie M:本当にアレンジャーさんがすごい。それに尽きますね。アンコール直前という演奏順もあって、すごいテンポ感というか、盛り上げるところを盛り上げて、みたいな強弱があって。初音ミク16周年を祝うのにこんなにぴったりのアレンジをしてもらって本当に感無量でした。

――Mitchie Mさんといえば「神調教」でファンからはお馴染みですが、ボーカルがないことで楽曲自体の良さがあらためて伝わりました。mothyさんはどう聴きましたか。

mothy:ノリのいい楽曲なので、オーケストラでそれが再現できるかな、と思って聴いていたのですが、本当にうまくアレンジされていたと思います。オーケストラでノリノリになる、というのはあまりないことですが、ノリを殺さず、オリジナルのリズムの使い方の素晴らしさも感じられて。Mitchie Mさんの楽曲は、調声が凄すぎてボーカルに耳が行きがちなんですけど、あらためて音に集中することで感じられるものが大きかったですね。個人的にも青春時代のポップスを思い出す楽曲で、とてもいいなと思いました。

――お二人はボーカロイドシーンの黎明期から活動しているレジェンドで、どこかで共演していてもおかしくないと思うのですが、意外にも初対面だそうですね。

mothy:おそらく需要がお互い違うので、呼ばれるイベントが被らないんだと思います。ミッチーとモッチーでカタカナにすると名前も近いですし、リスペクトもしているのですが(笑)。

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