北山宏光、野心に駆り立てられた男の覚悟 「乱心-RANSHIN-」に表れる音楽を楽しむ姿勢

 実際、これまで北山は多くのものを背負ってきた。エンターテイナーとして、グループのリーダー的な存在として、事務所の中堅を担う者として……。もちろん、その重責を下ろし、身軽になって再出発する決断は簡単なものではなかった。人によっては、それこそ「乱心者」と見た人もいるかもしれない。だが、この楽曲を歌う彼の表情を見れば、今このタイミングでこそ必要なターニングポイントだったのかもしれないと思わざるを得ない。

 MVにも「海外からイメージしたアジア」な雰囲気が漂い、世界に向けて羽ばたいていこうという北山の気概を感じる。一方で〈4,3,2,1 宴だ〉とカウントダウンする姿に、グループ時代に披露してきた名シーンが交錯する瞬間も。アイドルとして走り抜いてきた日々があってこその今。それを大事にしたいという気持ちも見え隠れするようだ。

Digital 1st Single 「乱心-RANSHIN-」11.17 Now Streaming #北山宏光 #乱心RANSHIN #北山ちょいとご乱心 #宴だ

 本当ならば、アイドルとしての人生も生き抜いていくつもりだったのではないか。しかし、それこそ「転生」するまで待ってなんかいられなかった。「北山宏光」という人生を生きながらにして、もうひと暴れしたい。どうにか世界に爪痕を残したい。この「乱心-RANSHIN-」は、そんな野心に駆り立てられた男の覚悟がみなぎる一曲にも見えてくる。

 「I did Nothing. I Just Got Lucky.」とは、MVに登場した北山がまとったジャケットに刻まれた文字。これまではラッキーだっただけ。自分はまだ何も成し遂げていない。40歳という大きな節目を目前に、安泰よりも、もがきを選んだ。そんな北山が何を掴むのか、期待せずにはいられない。軽やかに表現を楽しむ北山に、思う存分新時代を「とおりゃんせ」とエールを送りたい。

※1:https://fnmnl.tv/2018/02/19/47697

※記事初出時、本文に誤りがありました。以下訂正の上、お詫び申し上げます。(2023年11月24日12:15、リアルサウンド編集部)
誤:リーダーとして
正:リーダー的な存在として

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