ZIPANG OPERA、挑戦の2年目を振り返る 最新テクノロジーで広がる世界観への手応えも
ZIPANG OPERAが11月3日、新デジタルシングル「Get Over」をリリースした。この日は彼らにとってデビュー2周年を迎えた記念日。多忙なメンバーが集まり、決して絶えず動き続けたとはいえない彼らだが、この1年は2ndアルバム『風林火山』の発売や有観客&全世界配信の単独ライブ開催、Web3プロジェクトとして最新テクノロジーを使った配信“XR LIVE”やNFTアートの販売など、実験的でユニークな活動が目立った。
2周年の記念日に発表された「Get Over」は、四季をテーマとした、耳心地の良いBPMで歌われるバラード曲。壮大なストリングスや珍しいspiのラップパートなども聴きどころである。3年目に踏み出したZIPANG OPERAの佐藤流司、福澤 侑、心之介、spiはそれぞれ今何を考えているのか。アルバムリリースとともに「出航」した船の現在地について、メンバーに聞いてみた。(小池直也)
「3〜4年目は取り組んできた施策の芽が出る年に」(心之介)
――アルバム『風林火山』リリース以来のインタビューとなります。思えば4月の品川ステラボールでの単独ライブの時にNFTでの取り組みなどを宣言されていました。
spi:その後、Web3プロジェクトも本格的に始まったのですが、初めて使ったDiscordで生配信をやったら、参加してくれるANCHOR (アンカー/ファンの総称)が多くて回線がパンクしてしまうなんてこともありましたね(笑)。侑くんがWeb3についての講座動画を出してくれたりもして。
福澤 侑(以下、福澤):講座動画は自分でもいまだに何度も見直して頭に入れています。それだけWeb3は奥が深いんですよ。イメージではわかるのですが、細かい質問にぱっと答えるのは難しい。でも可能性しかないのは間違いないです。
――そして早くもデビュー2周年となりました。
佐藤流司(以下、佐藤):早かったのかな……。活動自体が多いわけでもなかったので、もう2年経ったのかと。今はレコーディングをして次に備えているところです。
spi:ここまでスタッフを含めて空中分解せずに2周年を迎えたことがありがたい。今は、みんな心(心之介)以外の3人が特に忙しいんですよ。今同じ現場に侑くんが入っているのですが、連絡2〜3回取ったきりでしたし(笑)。
福澤:「もっとライブをしてほしい」という声も多いですが、2年目は新しい挑戦をしていく年だったのかなと。信頼しているスタッフさんやANCHORの皆さんには感謝です。周りの方の助けのおかげで活動できていると思います。
心之介:表で動くことは少なかったですが、僕は公式YouTubeで、弾き語りで曲を披露する企画「Guitar with SINg」を始めました。3年目、4年目は取り組んできた施策の芽が出るような年になれば嬉しいですね。
「予定調和ではないライブの面白さを、どう2次元に組み込むか」(spi)
――先日行った「XR LIVE」(リアルとデジタルを融合した『ZIPANG OPERA TALK & LIVE』)の感想も知りたいです。
佐藤:とにかく新しかったですね。仕組みの部分はお任せして、自分はライブでのパフォーマンスに全力でした。無観客ライブ的な感覚もありましたが、映像をリアルタイムで確認しながら没入できるのは「XR LIVE」ならではでした。
福澤:新しいことに参加するのはZIPANG OPERAらしいところだと思います。ライブが少ない分、「XR LIVE」などは有効に使いたいですね。使い方や見せ方をブラッシュアップしてお届けできれば良いですね。
心之介:国内で取り組んでいる例もほとんどなく、数少ないライブのなかでも刺激的なものでした。アーカイブを観て「新しいな」と思う反面、今回のバーチャルもすごかったのですが、次回はさらにバーチャルを進化させたものをお見せできればと思いました。
spi:エンタテインメント界で色々な実験が重ねられていて、マイケル・ジャクソンがMVで革命を起こす前夜みたいな雰囲気だなと感じます。その正解を模索しているようなライブになった気がしますね。
佐藤:正直、賛否両論でしたが、新しいことを始める時って色々あると思います。やっている我々でさえ理解できていないところもありましたし(笑)。浸透するまではこんな感じなのかなと。地動説を唱えたコペルニクスも大変だったと思いますよ。
――「自分のアバターがWeb3上にいる」というのはどういう心境ですか?
佐藤:一番のメリットは「場所を選ばない」ということではないでしょうか。今はアーティストが群雄割拠のなかで、ライブ会場も取り合いになっています。場所の制約がないという意味では仮想空間でのライブは強みだなと思いました。
心之介:ZIPANG OPERAは中国をはじめとしたアジア圏のファンも多いんですよ。「XR LIVE」の時も海外の方からのコメントがリアルタイムでありました。読めない言語も結構多くて、色んな国の方がいたと思います。これも仮想空間でのライブの醍醐味かもしれません。
spi:僕は生のライブが一番いいと思っています。自然発生的で予定調和でない、舞台上の人間が何をしだすかわからない、というのがライブの面白さ。この要素をどう2次元に組み込むかと考えたらAIしかないんじゃないかな。人間から見たらAIが生命体っぽく感じられるようになってきたので、佐藤流司、福澤 侑、心之介、spiのAIと好きに会話ができて、その声が我々というのが着地点なのかなと思いました。