齊藤京子、山下美月……「アイドル×不倫ドラマ」の流行 “違反”を犯すギャップが魅力に

大島優子が『闇金ウシジマくん』などで挑戦した“アイドルらしからぬ役”

 筆者はインタビューなどで、アイドルが影のある役、悪役、深い事情を抱えた役などを「やってみたい」と答えるところに何度か立ち会ってきた。

 特に、役者志望のアイドルはこういった役を希望する傾向が強いように思える。影のある役は、「なぜそうなったのか」「どれだけつらい体験をしてきたのか」などかなり複雑なバックボーンをイメージしながら演じなければならない。その分、キャラクター的なインパクトも強く、観る者の印象に残りやすい。これらの難しい役を望むのは、アイドルたちが自分の今後を見据えているからではないか。

 たとえば大島優子はAKB48在籍時に映画『闇金ウシジマくん』(2012年)で借金返済に悩んだ末、出会い系の世界へ足を踏み入れる役を演じた(公開と同時期に公開されたAKB48のシングル曲「GIVE ME FIVE!」のMVでもそれに近い役に扮している)。この表現は適切ではないが、当時は彼女の演じた役がメディアなどで「汚れ役」と報じられた。大島は2010年公開の映画『スイートリトルライズ』でも、手当をもらって愛人関係を結んでいる女性を演じていた。いわゆる“アイドルらしからぬ役”の近年のパイオニアの一人である。アイドル時代、一筋縄ではいかない役を何度も経験したこともあり、役者として才能が開花した。

 「不倫」「浮気」は社会的に決して許されるものではない。場合によってはそれ相応の罰も下される。一方で不貞行為に身を委ねてしまうには、なんらかの事情もあるはず。それを考えて演じることで、キャラクターに奥行きが生まれる。演技として深みが求められる役は、アイドルとしても自分を磨く良い機会だ。普段の活動では表現できない新たな顔をアピールできるチャンスでもある。その点で「アイドル×不倫ドラマ」の作品は見どころが多いと言える。

※記事初出時、本文に誤りがありました。以下訂正の上、お詫び申し上げます。(2023年10月6日11:45、リアルサウンド編集部)
削除:10月よりスタートしたドラマ『インターホンが鳴るとき』(テレビ大阪ほか)では、NGT48のメンバーだった中井りかが既婚男性の浮気相手を演じている。

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