Ado、Vaundy、エレファントカシマシ、女王蜂、Creepy Nuts、INI……注目新譜6作をレビュー

女王蜂「01」

女王蜂「01」

 繊細にして鋭利なギターのアルペジオから始まり、アヴちゃん(Vo)の強靭なボーカルとともに一気にスピードアップ。ずっしりとしたヘヴィネスとしなやかなグルーヴを同時に感じさせるサウンド、そして、現実とぶつかりながらも、0から1を生み出すことを諦めない意志を込めた歌が聴く者の感情を揺さぶりまくる。TVアニメ『アンデッドアンラック』(TBS系)オープニングテーマに起用された新曲「01」は、女王蜂の軌跡とも強く重なっている。核となるフレーズは〈抗うまま生きる不幸を受け入れるならば自由を探して〉。同調圧力という言葉が生ぬるく感じられるくらい抑圧の強い現代社会において、それでも抗い、自由を求めながら生きることの意義とは何か? ちょっと大げさな物言いではあるが、この曲にはその答えが刻まれていると思う。(森)

Creepy Nuts「ビリケン」

Creepy Nuts「ビリケン」

 いわゆるキックよりもさらにヘビーな低音を強調した、ジャジードリルを使う攻撃的なトラックと、いつ呼吸をしているのか不安になるほどの言葉を放ち続けるラップ。どこがバースでコーラスか、どこでハンドクラップを促すか、そういう発想を粉砕し、怒涛のスピードだけでリスナーを圧倒していく2分半だ。一度ノッたら曲が終わるまで絶対に休めない、悪魔的ハードコアテクノにも近い。これまでのイメージが大きく変わる新境地。ただ、相当ヤバいしスキルフルな曲なのに、どこか笑える余白が残っているのがいい。そこが二人のチャームポイントだったりする。R-指定の地元・大阪を舞台にしたMVには彼の仲間たちも出演している。(石井)

INI「HANA_花」

INI|'HANA_花' Official MV

 5thシングル『TAG ME』のリードトラック「HANA_花」は、タイトな4つ打ちビート、華やかなシンセサウンドを軸にしたダンスチューン。享楽的に盛り上がるだけの楽曲ではなく、真摯で普遍的なメッセージを込めることで、幅広い層にリーチできる楽曲に仕上がっている。歌詞の中心にあるのは、“あなただけの花を咲かせてほしい”という切実な願い。〈もう隠さないで自由になって咲き誇って〉というラインが象徴的だが、周囲の目や評価に惑わされることなく、本来持っている美しさ、素晴らしさを思う存分に表現してほしいという思いが真っ直ぐに伝わってくるのだ。シンガロング必至のサビのフレーズを含め、11月から12月にかけて行われる2度目のアリーナツアー『2023 INI 2ND ARENA LIVE TOUR [READY TO POP!]』でも大きな役割を果たすだろう。(森)

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