anoの音楽によって心が動く理由 ライブでも貫かれた「僕は僕のままで戦う」という揺るがぬスタンス
この日最後のMCパートで、anoは、ライブでファンと直接会って同じ時間を共有できる喜びを伝え、これからも自分のことを応援してくれるファンに向けて「後悔はさせない」と力強く宣言した。特に強く印象に残っているのが、「僕は僕のままで戦う」という深い覚悟を宿した言葉だった。anoは、多くの観客と同じように、日々生きづらさを抱えながら、時に傷を負いながら生きている。それでも彼女は、「僕は僕のままで戦う」という揺るがぬスタンスを貫き続けている。そうしたanoの姿は、日々を生きる私たちにとって大きな救い、希望になる。それこそが、anoの音楽によって心が動く理由であると強く感じさせてくれる感動的なMCだった。
「一緒にもっといろんな景色を見ましょう」と未来へ向けた言葉でMCを締めくくり、本編のラストナンバー「SWEETSIDE SUICIDE」へ。懸命にアコースティックギターをかき鳴らしながら届けられたその歌は、まるで目の前の友人に優しく語りかけるような親密さを感じさせるものだった。アンコールでは、新曲「鯨の骨」を披露。無垢な輝きを帯びた歌のメロディが、重厚なバンドサウンドの中を泳いでいくようなライブパフォーマンスで、時おり、声を震わせながら切実な想いを轟かせる瞬間が何度か訪れ、その度に強く胸を打たれた。今回のライブは、「次会う時までは生きてください!」「また会おうね!」という言葉で締め括られた。これから先、anoが見せてくれる次の新しい景色への期待が膨らむような、とても素晴らしいライブだった。
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