9mm Parabellum Bullet、結成19周年祝う9年ぶり武道館を“ライブハウス”空間に バンドの過去・現在・未来を見せた一夜
あと、普段と違ったのは、サポートギターは、武田将幸(HERE)と爲川裕也(folca)のどちらかだが、この日は12曲目「The Silence」と13曲目「One More Time」のあいだのかみじょうちひろ(Dr)のドラムソロまでは武田将幸、それ以降は爲川裕也、という分担制だった。それくらいではないか。
「この会場はいちばん大きいんだけど、いちばん9mmが近く感じるライブにしようと思います」
最初のMCで、菅原卓郎はそう言った。そして中盤以降は、何度も「ライブハウス武道館」という、氷室京介の有名なセリフを借りて、MCやアジテーションを行った。
滝 善充(Gt)のギターも、中村和彦(Ba)のベースも、かみじょうちひろのドラムも、武道館で映えるように、ではなく、ライブハウスと同じように鳴るために、音が作られている、演奏されている、そのように感じた。
クリアに整理されたのとは真逆の、鳴った瞬間に四方八方に飛び散っていくようなジャンクで凶暴な音が、武道館を満たし続ける。そして、その音と共に、菅原卓郎は、端正な言葉を叙情的なメロディに乗せて放ち続ける。たしかに、いつもの、ライブハウスでの9mm Parabellum Bulletのライブだった。
後半、菅原は、「みんな、9mmのことを発見してくれて、ありがとうございます」と、感謝を表した。そして、「武道館、最高なんだけど、その次のライブも最高じゃないとまずいよね。ですから今年最高のライブは、次の帯広になり、その次の函館になり、リキッドになり――」。と、今日が“到達点”や“一区切り”ではなく、“通過点”であることを、あらためて言葉にした。なお「リキッド」というのは、『19th Anniversary Tour』の最終公演である、12月19日の東京LIQUIDROOMのワンマンのことである。
その日のライブは、さすがに“今日でゴール”という空気になるだろうか。ならないんだろうな、きっとその日も“通過点”なんだろうな、と思う。コロナ禍になってもいち早くオンラインライブを行うなどして、足を止めなかったバンドなんだから。
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