米津玄師、Mrs. GREEN APPLE、新しい学校のリーダーズ、キタニタツヤ……なぜヒットソングは“青”なのか? 傾向と理由を分析

 “青”はその濃淡によってもイメージを広げ、リスナーにさまざまな景色を見せてくれる。YOASOBIの「群青」は、ダンサブルなトラックと合唱を交えたアグレッシブな曲展開のなかで、“好きなもの“と素直に向き合うことを高らかに歌い上げる。朝焼け間際の深い色合いの青色と何かが始まる予感を重ね、その眩いエネルギーを高めているのだ。

YOASOBI「群青」Official Music Video

 同じように、朝焼け間際をイメージした“青”の代表曲は、米津玄師「灰色と青(+菅田将暉)」だろう。こちらはストレートなバラードで、落ち着いた印象を与える。若き日々を振り返るような夏に紐づいた“青”に、“灰色”を加えることでそこに哀愁や悲しみがより漂う。しかし、最後に〈始まりは青い色〉と歌うことで未来への決意として結ぶという、歌詞のストーリーとタイトルが密接に繋がる美しい色使いだ。

米津玄師 - 灰色と青( +菅田将暉 ), Kenshi Yonezu - Haiirotoao(+Masaki Suda)

 また米津玄師には「Pale Blue」という楽曲もある。こちらは映画『ブルーバレンタイン』にもヒントをもらい(※1)、別れのなかで生まれる淡い恋心や恋愛のなかで抱く苦しさなど、両価的な感情を描いた一曲だ。〈友達にすら 戻れないから わたし空を見ていました〉という部分にほのめかされている、複雑に折り重なった感情を透き通った空の色で包み込む、独自の感覚が光る“青”の用い方である。

米津玄師 - Pale Blue / Kenshi Yonezu

 “青”は気分を鎮める働きのある副交感神経を刺激し、リラックス効果をもたらす色だ。“青”にまつわる楽曲の大半はジャケットビジュアルやMVも青で統一されることも多く、人は本能的にその落ち着いたトーンに惹かれやすいとも言えるだろう。遺伝子レベルに刻み込まれた情感を呼び起こすのが“青”という色彩なのだ。これからもアーティストたちは固有の解釈で“青”にまつわる楽曲を生み出し、我々をその情感に浸らせてくれるはずだ。

※1:https://natalie.mu/music/pp/yonezukenshi17/page/2

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