瑛人、ライフスタイルの変化が音楽活動に与えた影響 結婚や育児……日常の風景からEP『らんちゅう』ができるまで

「じいちゃん、ありがとう」の気持ちを込めて作った「らんちゅう」

ーー3曲目はEITO&KAI名義で制作された「音波陽」。KAIさんとは旧知の仲なんですよね。

瑛人:はい。ファミリー的な存在なので、いつも俺の家にいますね(笑)。KAIはHOTDOGSっていうバンドを組んでいて、もう1人のメンバーであるMINORIを加えた3人で曲を作ったことは今までにもあったんですよ。でも今回はMINORIが旅に出ていなかったので、じゃあKAIと2人で作ろうっていうことになって。最初にセッションでサビの部分がパッとできて。そのイメージから朝の歌になりました。なので、タイトルも“音波陽(=おはよう)”に。

ーーKAIさんとのコラボによって、いつもとは違った瑛人さんの表情もたっぷり散りばめられている印象ですよね。

瑛人:そうですね。KAIとすり合わせていく中で引き出してもらったところもあったし、アレンジャーの陽平さんとのやり取りで引き出してもらったところもありましたから。この曲って、実はどんなアレンジでもハマるんですよ。実際、最初のセッションでは裏打ちのハワイアンっぽい雰囲気だったし、他にもかっこいいヒップホップ的なビートでも、レゲエサウンドでもハマる。今回は陽平さんがめっちゃかっこいいアレンジにしてくれましたけど、今後はまた違ったバージョンでライブしてみてもおもしろいかなって思ってますね。

ーー続いてはタイトルチューンでもある「らんちゅう」。おじい様への思いを歌った曲ですね。

瑛人:じいちゃんがいなかったら俺はギターをやっていなかった可能性が大きいので、自分にとってはすごく大きな存在なんですよね。実は俺の子供が生まれた半年くらい後に、じいちゃんが倒れてしまったことがあって。そのときに子供の顔を見せたらすごく喜んで、めっちゃ元気になってくれるんですよ。で、そんなことを嫁の母ちゃんに話したら、「だったらおじいちゃんの曲作りなよ」ってアイデアをくれて。音楽を聴くのが大好きなじいちゃんに聴いてもらうことを考えながら書いていったのが、この「らんちゅう」ですね。

ーーほぼワンメロで進行するシンプルな楽曲ですけど、だからこそ胸を打つ仕上がりになっていますよね。じんわりと心があたたかくなってきます。

瑛人:じいちゃんが聴いたときに、シンプルに喜んでもらえる曲にしようと思ったんですよね。だから悲しいとか寂しい雰囲気にはしたくなかったんです。書いている途中には、ちょっとそういうニュアンスを入れたほうがいいのかなと思った瞬間もあったんですけど、いやいやそうじゃないぞと。そこはけっこう自分なりに戦いましたね。ただただ、「じいちゃん、ありがとう」の気持ちを込めて作りました。

ーー5曲目の「Hey brother」はアメリカのビール「BLUE MOON」のイメージソングとして書き下ろされたそうですね。

瑛人:この曲は元々、横浜のギタリストの先輩である長崎真吾さんと作っていたものなんですよ。で、BLUE MOONのお話をいただいたときに、「あの曲が絶対合う!」と思って、そこからあらためて形にしていったんですよね。自分もアルバイト時代にBLUE MOONビールを注いだりしていたこともあったので、タイアップのお話はめっちゃ嬉しかったですね。

ーークレジットにはgnkosaiさんの名前もありますよね。

瑛人:そうなんですよ。ゲンキさん(gnkosai)はgnkosaiBANDのドラマーであり、詩人でもあるんですよ。で、俺は今、ゲンキさんと一緒にバンドもやっているので、この曲ではぜひ一緒にやりたいなと思って。作り方としては、歌詞の大半がゲンキさん、バックトラックが真吾さん、僕はサビとメロディのフロウを担当した感じでしたね。フロウに関してはゲンキさんも一緒に考えてくれたところもありました。

ーー仲間と過ごす楽しい時間を描いた曲が、気心の知れたメンツで作り上げられたっていうのは、非常に説得力がありますよね。

瑛人:そうですね。自分のこともよく知ってくれているし、俺自身、めちゃくちゃリスペクトしている先輩方ですからね。安心して、本気で楽しみながら制作することができました。

ーーラストの「あっちゅうま」もライブではすでに披露され、フロアを盛り上げている曲ですね。

瑛人:この曲は盛り上がりますね。ライブではめちゃくちゃありがたい曲(笑)。EPに収録するにあたっては、もうライブ通りにレコーディングした感じです。

ーー歌詞の内容に関してはどんなイメージで書かれたんですか?

瑛人:これは嫁と新婚旅行で沖縄、宮古島に行ったときに感じたことを書いたんですよ。夜の海で満月を眺めながら1人でタバコを吸っているとき、「なんだか時間があっちゅーまに過ぎてくなぁ」と思ってサビが浮かんだんですよね。同時に、いろんなものがすごいスピードで変化していくけど、カラダで感じるこの波風はきっと昔も今も、そして100年後でも変わらないんじゃないかなって思ったりもして。そこで思ったことを元に、家に帰った後、ギターを弾きながら形にしていきました。

ーーサウンドがめちゃくちゃかっこいいですよね。

瑛人:あー嬉しいですね。これは俺が横浜のアニキたちと最近組んだバンドで録ったんですよ。ボーカルに関してもライブでやっている通り、何も気にせず歌いましたね。ほんとにワンテイクだけツルッと歌って終わりました。ただ、この曲では自分でギターも弾いているので、そっちにはかなり集中しましたね。レコーディングでギターを弾くのは初めてだったので。メンバーのみんなが「頑張れ! 瑛人、頑張れ!」って応援してくれてました(笑)。

ーーこのEPを引っ提げ、9月16日からは『らんちゅう Acoustic Tour』がスタートしますね。

瑛人:前回、ギターを持って廻る「風旅」っていうライブをさせてもらったんですけど、そこから1年ちょっと経ったことで、前よりはちょっと上手くギターを弾けるようになった瑛人をしっかり感じてもらえるライブにしたいなって思っています。『らんちゅう』という作品を、ゆったりのびのびと味わってもらえる空間を作ろうと思っているので、楽しみにしていてください。

■リリース情報
New EP『らんちゅう』
2023年8月23日(水)
購入:https://lnk.to/Eito_0823EP
配信リンク:https://asab.lnk.to/eito_ranchu_st

■ライブ
瑛人『らんちゅう Acoustic Tour』
9月16日(土) 大阪・martha
9月22日(金) 岩手・SUNDANCE
10月20日(金) 神奈川・フロッギーズ
11月2日(木) 香川・sumus café
11月4日(土) 愛知・パラダイスカフェ
11月10日 (金) 福岡・LiveHouse秘密
11月19日(日)神奈川・横浜グラスルーツ[追加公演]

全自由 料金:¥3,500- (+order charge は会場毎に異なります )
チケット予約:瑛人オフィシャルサイトへ(https://eitoofficial.com/

関連リンク
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