夏まゆみ お別れ会に矢口真里、大島麻衣ら参列 「もう一度お会いして、抱きしめてほしいです」 

 モーニング娘。やAKB48ら300組以上のアイドルと芸能人を育ててきたダンスプロデューサー・夏まゆみが6月21日に亡くなったことを受け、8月28日に『夏まゆみ 魂に出会う会(お別れ会)』が開催された。お別れ会には、ハロー!プロジェクトOGの飯田圭織、保田圭、矢口真里、市井紗耶香、AKB48 OGの大島麻衣、モーニング娘。'23の13期までのメンバー8名など、400名ほどの教え子や関係者が参列。生前の夏の人生と功績を振り返りながら、その魂に呼びかけるべく、各人がマイクを通してそれぞれの想いを語りかけた。

 『夏まゆみ 魂に出会う会』は、テルニューオータニ 芙蓉の間で開催された。夏は今年の3月1日、3年にわたる歳月をかけて執筆したという書籍『人はいつでも、誰だって「エース」になれる! 心とからだが輝く 72の言葉』(ビジネス社)を上梓。同会場はもともと、その書籍の出版記念パーティーの開催を予定していた場所だったという。

飯田香織

 夏のこれまでの歩みをスライドや映像で振り返った後に行われた、教え子や友人による夏への弔辞の場面では、まずは飯田と保田、矢口の3人が登壇。飯田は時折言葉を詰まらせながらも、夏がモーニング娘。の初期メンバーに対して「個性がバラバラで、意思が強くて、身長もバラバラで、まとまりのない君たちをまとめあげるのはとても大変。世界中を探しても、(それができるのは)私しかおらへんで」と語っていたエピソードを披露し、恩師への感謝の気持ちを述べた。

保田圭

 夏から「自分と闘うこと」を学んだという保田は、グループ卒業後に行ったソロでのステージを夏に褒めてもらったエピソードを懐かしそうに回想。誉め言葉が並び、“圭ちゃん”と愛称で呼んでもらった夏からの手紙を今でも宝物として大切に保管しているといい、「先生からいただいたたくさんの愛情や言葉を、これから大切に、後輩たちとつないでいきたいと思います。本当にありがとうございました」と涙をこらえながら、スクリーンに映し出された夏の写真に語りかけた。

矢口真里

  「夏先生、おはようございます」と語り始めた矢口は、両親よりも長い時間を夏と過ごしたことに触れながら「夏先生、ハロー!プロジェクトが25周年を迎えました。見てくれていますか。こういう大切な年はいつも一緒に過ごしてくれていた先生だったので、今年は会えると勝手にワクワクしていました。もう一度お会いして、抱きしめてほしいです」と、大粒の涙を流しながらコメント。そして、育ての親・夏まゆみとして2人で食事をしたり、さまざまな話がしたかったと、募る想いと感謝の気持ちを語った。

パパイヤ鈴木

 続いて、40年来の同志だというパパイヤ鈴木が、夏への想いをマイクを通して語りかけた。夏と2人でさまざまな話をしたことを振り返りながら、自身の振付をよく褒めてもらったことに言及し、「あれ、本当にうれしくてさ。あれからまたいろんな振付をやったんだよ」と、友人同士の会話を楽しんでいるかのようにコメント。「これからも日本のエンタメ業界を見守っていてください」「もしこれから先、僕が振付で悩んでいたら、こっそり助けてね。よろしくお願いします。じゃ、またね」と、終始あたたかな雰囲気で、夏にメッセージを伝えた。

大島麻衣

 AKB48 OGの大島麻衣は、この日のためにしたためたという手紙を朗読。もともと夏に憧れていたという大島は、AKB48のメンバーとして合格後、夏からダンスのほかにもステージに立つ際の心得やアイドルとしてのすべてを丁寧に、厳しくも愛のある言葉で教えてもらったと語った。そして、夏からもらったメールの数々を大切に保管しており、今でも節目節目で読み返していると明かし、「いつも感謝。冷静に、丁寧に、正確に。夏先生にいただいたこの言葉をモットーに、日々生きています。大島麻衣をつくっていただき、ありがとうございました。ずっとずっと大好きです」と、涙で声を震わせながら語った。

市井紗耶香

 この日、夏に以前褒められたという白いシャツと黒のパンツ姿で登場した市井は、「先生に教えていただいたひとつひとつ、25年たった今でも、この体の中にしみ込んで、決して消えはしません」と、前方スクリーンの夏の姿を見つめながら凛とした声で語りかけた。そして、「夏先生は今も胸の中に生き続けています。どうぞこれからも、遠くから、近くから見守っていてください。夏先生、本当にありがとうございました」と、夏を偲んだ。

モーニング娘。’23

 さらに、モーニング娘。’23の譜久村聖、生田衣梨奈、石田亜佑美、小田さくら、野中美希、牧野真莉愛、羽賀朱音、横山玲奈も、偉大な恩師の死を悼んだ。今回はグループを代表して石田が夏への想いをコメント。石田は2011年のオーディションで夏と出会った際のエピソードに触れ、「人よりは踊れるからと安心していた私に、『モーニング娘。になったらもっと広い世界を見ることになる。あなたはまだまだ全然だ』って、私の鼻を折ってくださいましたね。それからずっと、もっとうまくなれる、もっと表現できると自分を試し続けて」と、現在の石田の原点となった夏の言葉があったことを明かした。そして、「これからも限界はないんだと、ブレークスルーし続けるモーニング娘。をつないでいきますので、どうか見守っていてください。夏先生、大好きです。本当にありがとうございました」と、大きな感謝の気持ちを語りかけた。

 また、中山美穂からは手紙による夏へのメッセージが到着。今年3月の再会を機に、夏とこの先の夢や未来への想いを分かち合っていたという中山は、彼女の強くあたたかな人柄が感じられる思い出を語りながら、「強くて優しくて、かっこよくて、あかるいなっちゃん。これからもずっと、私の胸の中でなっちゃんは笑っています」「ゆっくり休んでね。大好きだよ」と手紙を結んだ。

山本リンダ

 さらに、会の中盤では、山本リンダがメディアの個別取材に応じた。山本は「もっといろいろなことを教えてもらいたかった」と話し、夏について「一人ひとりの才能を活かすことを、本当に想っていらっしゃる方。深く包んでくださる方だと思います」「ダンサーとして魅力のある人。とても素晴らしい方が早くに逝ってしまった。すごく残念です」と、巨匠の死を悼んだ。

 『夏まゆみ 魂に出会う会(お別れ会)』は17時まで開催され、献花台への献花も行われた。夏と所縁のある人物が次々と献花に訪れ、夏の魂が宿った言葉を振り返りながら、その存在の大きさとあたたかさ、愛情深さを感じる時間となった。

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