中島美嘉が届ける、自分自身を愛することの大切さ 殻を破るきっかけになったル・ポールとの出会い
「自分を愛しなさい」という言葉の意味がわかった瞬間
――作詞は中島さん、作曲は橋本幸太さんとのコライトになっていますね。制作は具体的にどう進んでいったんですか?
中島:まず、いただいたトラックの上に自分から出てきた歌詞とメロディを乗せていきました。私の場合、すべてではないけど歌詞とメロが一緒に出てくることが多いんですよ。今回は頭の〈We are all stars !!!〉の部分がまず出てきて。そこをいろんな声で歌い、重ねていくことで「楽しい曲になりそう!」っていう手応えがあって。そこから歌詞は流れに沿って書いていきましたね。同じテーマで一度全部書ききったんですけど、なんかパンチが足りないと思ったから全部書き直したりもしました。
――歌詞にはル・ポールさんの名言がたっぷり散りばめられていますよね。『ル・ポールのドラァグ・レース』を観ている人はニヤリとする部分が満載で。
中島:ニヤッとしてもらえたら嬉しいですね。英語で書いてるところは、ほぼル・ポール様の言葉をそのまま使わせてもらってます。私がル・ポール様のことを本当に尊敬していて、本気でこの曲を作ったことを感じてもらいたかったので、彼女の言葉は一文字も変えたくなかったんですよ。
――ル・ポールさんの言葉は、日本語に訳すとニュアンスを感じるのが難しい部分もあったりしますよね。
中島:うん。「これ、どういう意味なんだろう?」って思われる部分もあるとは思いますけど、日本語に訳すと固くなってしまうところもあるので、あえてそのまま書きました。その分、サビはすごくわかりやすい言葉を選んだので、この曲で伝えたいテーマはきっと伝わってくれるんじゃないかな。その上でル・ポール様の言葉が気になった人は、いろいろ調べてもらえたらより深く曲を楽しんでもらえるとは思います。
――タイトルになっている〈We are all stars !!!〉というフレーズが象徴的ですけど、すべての人が“自分こそがスターだ”と思いながら生きていけたら最高ですよね。
中島:そうですね、私は本気でそう思っています。みんなそれぞれがスターだと。いらない人は誰一人として世の中にいないです。元々、私は自分のことを無だと感じていたわけなので、偉そうには言えないんですけど。
――いや、でも今の中島さんは自分自身を愛し、自分らしく生きることを貫いているわけで。どうしたらそう生きられるようになりますかね?
中島:私はずっと人のために何かすることを最優先にして、自分のことは後回しにしていたんですよ。でもある時、勇気を出して逆転させてみたんです。自分の好きなことをまずやってみる。そうすると、それが伝わって上手く物事が進むことがあるし、自分の気持ちも楽になるってことに気づいたんですよね。
あとね、これは別にスピリチュアルな話じゃないんだけど、自分の身体は後々、神様にお返しするものでしょ? だから、ちゃんとした形で返すべきだと思ったんですよね。私は昔からお母さんに「借りたものはキレイに返しなさい」ってずっと言われてきていたんです。ペンでも何でもいいんだけど、借りたものが汚れてしまったら新しいものを買って返すとか、お洋服を借りたらクリーニングをして返すとか。それと一緒だなって思ったんですよね。いつか返す時のために、自分のことをキレイに、大事にしなきゃなって。そこで初めてル・ポール様がよく言う「自分を愛しなさい」という言葉の意味がわかった気がしたんですよね。
クイーンを意識したビジュアルのきっかけ
――なるほど。サウンドについても聞かせてください。今回、EDM的なアプローチを持つダンスチューンにしたのはどうしてだったんですか?
中島:最初、「夏にシングルどう?」っていうアイデアをチームからもらった時に、夏っぽいダンスサウンドがいいかなと思ったんです。みんなで「わーい!」って騒げる曲って今まであんまりなかったから。アレンジに関しては橋本くんと一緒にスタジオに入ってやっていきましたね。「ここをこうしましょう」「ここにこういう音を足したいです」みたいな意見をいろいろ言わせてもらって。
――中島さん的にアレンジで特にこだわった部分はどこですか?
中島:いい感じのギラギラ感と言いますか。聴いてて楽しくなるキャッチーさが欲しいと思ったんですよね。あと言い方が難しいんですけど、ちょっと古い感じ。ちょっと前のクラブっぽい音になったらいいなというイメージがありましたね。昔ならこういうサウンドは避けてた気がするんですけど、今はこんな感じもいいかなって。
――サウンドにマッチする輝度の高いボーカルもいいですよね。バラードを歌う時の憂いを感じさせる歌声とは明らかに違うアプローチだと思います。
中島:とにかく楽しく歌った感じですね。おっしゃっていただいたように、明るい声を出すことはすごく意識しました。まぁ、後で声を結構加工しちゃったので、あんまりわからないかもしれないですけど(笑)。この曲が持つ楽しさがボーカルからも伝わったら嬉しいです。
――あと今作では、クイーンを意識した中島さんのビジュアルも大きな話題を呼んでいます。これ、ヘアメイクには相当時間がかかったんじゃないですか?
中島:4時間くらいですかね。クイーンをやろうっていうのは私が思いついたことで。今やすごい存在になっているZutti(Mattia)さんとGYUTAEさんとお知り合いになれたので、今回お願いしたんですよ。こういうビジュアルをやる上で、ギャグになってしまうのが一番イヤなことだったんですけど、お二人はそのあたりをちゃんとわかってくださっていて。いい形で、思いきりやっていただくことができました。「中島美嘉の存在を消すくらいメイクしちゃってください」って冗談っぽく言ってたんですけど、結果的にはあんまり消えなかったですね。これだけがっつりメイクしても。
――インパクトはありますけど、中島さんだとわかりますもんね。
中島:ZuttiさんもGYUTAEさんも「なかなか消えない」って言いながらやられてました(笑)。私のツラが強いんでしょうね。中島美嘉のツラは残りました。
ーー言い方(笑)。
中島:ツラ残りです(笑)。ZuttiさんとGYUTAEさんにはMVでもお手伝いしていただいて。超楽しんで撮影した作品になっているので、その映像からもいろんなことを感じて、その人ごとの勇気になってもらえたらいいなって思ってます。
――そして、8月10日から全国ツアー『MIKA NAKASHIMA CONCERT TOUR 2023 YOU』がスタートしましたね。
中島:体力がもつのだろうか……(苦笑)。前回のライブでは私の歌いたい曲をたっぷり聴いていただいたので、今回はもう真逆にして、みなさんから募ったリクエストを元にセットリストを考えました。リクエストのすべてには応えきれないのが申し訳ないんですけど、投票の多かったものを中心に構成しているので楽しみにしていてください。私も思いきり楽しみながら歌いますので。
■新曲情報
「We are all stars」
8月9日(水)リリース
作詞:中島美嘉
作曲:中島美嘉・橋本幸太
ダウンロード/ストリーミング
https://smar.lnk.to/Nqd2so
■ツアー情報
『MIKA NAKASHIMA CONCERT TOUR 2023 YOU』
愛知 8月20日(日)名古屋市公会堂 大ホール
開場16:15 開演17:00
広島 9月2日(土)東広島芸術文化ホール くらら 大ホール
開場16:15 開演17:00
大阪 9月3日(日)COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
開場16:15 開演17:00
茨城 9月9日(土)水戸市民会館 グロービスホール(大ホール)
開場16:15 開演17:00
埼玉 9月10日(日)狭山市市民会館 大ホール
開場16:15 開演17:00
福島 9月17日(日)いわき芸術文化交流館アリオス アルパイン大ホール
開場16:15 開演17:00
宮城 9月18日(月・祝)トークネットホール仙台(仙台市民会館) 大ホール
開場16:15 開演17:00
※東京公演は8月10日に終了。
<チケット券種>
●グッズ付チケット(グッズ付き / 全席指定)12,000円(税込)
●グッズ付ペアチケット(グッズ・ポストカード付 / 全席指定)24,000円(税込)
●ペアチケット(ポストカード付 / 全席指定)19,800円(税込)
●全席指定:9,900円(税込)