千秋が今、chiakiとして歌う意味 ポケビからソロ活動、「千秋の歌YouTube」開設や新曲「アオゾラ」に至るまで
「アオゾラ」で歌った“大切な人との出会いと別れ”
――「アオゾラ」には、どのような思いを込めたのでしょう?
chiaki:親友、家族、恋人、大切な人との別れは誰しも経験すると思うんですね。そこで、どんな人にでも訪れる“大切な人との出会いと別れ”という普遍的なテーマを歌詞にしました。曲中の主人公は、悲しい別れをずっと恐れていて、その瞬間が訪れた。でも生きていかなきゃいけない。生きているということは、別れる恐怖を乗り越えたということで。「あれ? 無敵になったんじゃん!」と気づいちゃった歌です。
――chiakiさんの人生観を投影した歌詞に、パッパラーさんの明るいメロディという、このバランスが絶妙ですね。
chiaki:曲作りはパッパラーさんにお任せしています。あくまで曲先なので、曲ができてから歌詞のテーマを考えていきますね。私とパッパラーさんは似ていて、完全なアーティストというよりは、職業アーティストみたいな。パッパラーさんは「こういう感じで」と言ったら、それを見事に取り入れた曲を作ってくれるんです。そこがすごいと思う。「どうにかして、俺の頭の中で鳴った音を作ってきたんだよね」じゃなくて、イメージを伝えたらそれを見事に曲にできる人なんです。
――今回はchiakiさんの新しい一面を見られたというか、力強くも悲しい泣きメロに心が持っていかれました。
chiaki:同世代の人からは「大事な人を思い出して泣いた」「亡くなったペットを思い出して泣いちゃった」「上京した人を思い出して泣いた」とか、とにかくみんな「泣いちゃった」と言ってくれて。すごくストレートな歌詞なんですよね。これまではchiaki節っぽい歌詞が多かったけど、今回は普遍的かつ大きなテーマなので、その分シンプルな歌詞になっていて。パッパラーさんも「こねくり回さないで、ストレートなのがいいよ」と言ってくれました。
――chiakiさんの音楽キャリアの中で、どういう位置づけの楽曲になりました?
chiaki:自分の区切りという意味もあったので、必然的に作らなきゃいけないモノだったと思うんです。長い通過点の曲とか、転機になる曲とかじゃなくて、作るべくして作った曲という感覚ですね。
――なるほど。chiakiさんにとって音楽はどういう場所になっていますか。
chiaki:昔と変わらず、私にとっては夢=歌なんですよね。歌うのが一番楽しい。20代のときから「夢を叶えよう」という授業を全国の小学校を回って話していたんですけど、私の中では夢が一番大事で。だから、そういう位置づけです。
――音楽以外のタレント業やデザイナーのお仕事については?
chiaki:バラエティは未だに楽しいし、需要がある限りやっていきたい。デザイナーはアイデアがどんどん出てくるので、「こういうものがあったらいいのに」というのが原動力になっています。「こういうのが欲しいな。探したけど売ってないな。どうして売ってないんだろう? こういう理由でないんだ。じゃあ私が作っちゃお!」みたいな。それが常に思いつくから、アイデアが止まらない限りやっていく。歌はお金になってもならなくてもやりたいことだから、ずっとやっていきたいです。とにかく全部楽しいんですよ。特にお仕事で悩んだり、ストレスになったことは1回もない。
――好きなことでも、辛くなったりしんどくなったりする瞬間が、僕はあるんですね。chiakiさんはそういうときってどうされています? というか、そういうことってありますか?
chiaki:本当にあったらやめてると思うんですよ。私はいろんなことをやってるから、やりたいことが分散されている。「今これをやると疲れるから、こっちをやろう」みたいな。嫌だなとかつまらないと思えば、すぐにやめちゃう。やめると言っても、引退とか撤退という意味じゃなくて。程よく力を抜いてる。今興味が向いてることをやるのが一番効率が良くて、力を発揮できると思うんです。やりたくないことをやっても面倒くさくなったり、相手に迷惑がかかったりとかもあるし、いい効果が出ないんだったら、無理はしない。「別のことに集中してから、またこっちをやろう」みたいにしています。そういうので勝手にバランスを取ってますね。でも、心の底からやりなくなくなったら迷わずパッとこの世界も辞めちゃうと思いますね。
――今、悩んでることってあります?
chiaki:(間髪入れずに)ないです。
――今というか悩みはずっとない?
chiaki:ずっとないです。この前、大事なネックレスを落としちゃったから早く見つからないかな? とか。そういう悩みはあるけど、でも悩みっていうか落としちゃったから見つかんないなっていう……それは悩みに入るんですかね?
――いやあ……(笑)。
chiaki:あとは何かの手続き。区役所に行って17時までに書類を出さなきゃいけないけど、でも今週は忙しいから行けないとか……それは悩みですか?
――悩んでいることを聞かれて、思いつくのがそれなんですね(笑)。
chiaki:そういうストレスはありますけど、仕事で悩んだことは本当にないかな。朝早く起きなきゃいけないのが続くと嫌だなと思うから、そしたら朝の仕事を入れなくするんですよ。それで仕事がなくなってもしょうがないんです。毎朝寝不足になって嫌だなと思いながら仕事に行くぐらいだったら、別にそれで仕事がなくなっちゃってもしょうがないと思ってる。でも、嫌なことをやらなくても済むように、いろんなことやっていたのもあると思います。注力できる場所が1つしかなかったら、それがなくなった時のことを考えて苦しくなるかもしれないけど、自分のやりたいことがいっぱいあるし、最悪お仕事が全部なくなっても趣味がいっぱいあるからいいやって。ある意味、保険なんですかね? とにかく分散してます。
――何十年もテレビ越しにchiakiさんのご活躍を見てきて、chiakiさんに対するイメージってずっと変わらなくて。まず悲壮感が一切ないんですよ。
chiaki:わー、嬉しい!
――いつまでも、明るさと少女らしさを兼ね備えている感じで。今日お話ししても、自分が見てきた印象のまま。
chiaki:ふふ、ありがとうございます。
アイデアを独り占めするんじゃなくて、みんなにあげたい
――この人間性はいつ形成されたと思います?
chiaki:小学5年生のときです。
――そんな明確に分かっているんですね。
chiaki:小5のときの担任の先生が、私のことをひいきにしてくれたんですよ。逆に、それまでは先生にあまり好かれていなくて。特に小1のときは、私と背丈が同じくらいの友達、えっちゃんといつも一緒にいたんですけど、2人でいると先生が「今日もえっちゃんは可愛いね! それに比べて……」と言われたり、一緒に絵を描いても「えっちゃんは本当に上手! (chiakiを見て)何これ? 下手くそ!」と言われたりして。そこから4年生までは、意地悪なことはされていないですけど、別に好かれてもいなくて。だけど小学5年生になったら、女性の若い音楽の先生と出会って「今日は笛を練習しましょう! 見本でchiakiさんやってみて」と言ってくれて。私が演奏できることを知ってくれていたんですね。で、いざ吹いてみたら「上手い!」と褒めてくれた。それまで運動神経は悪い、みんなよりも小さい、勉強も普通。目立つことも得意なこともなかったけど、音楽の先生が「私は指揮をやるからね。chiakiちゃんはピアノ弾けるでしょ? 明日までに伴奏の練習をしてきてくれる?」とどんどん私に自信をつけさせてくれて、気づけば今の感じになりました。
――それ以前は?
chiaki:4年生までは通知表に「大人しくて、引っ込み思案で内向的。授業中に答えが分かっていても手を挙げないから、もうちょっと活発になるといいですね」と書かれていたのに、5年生ぐらいから「授業中に落ち着きがなくてうるさい。他の生徒の邪魔になることがあります」ってまるっきり違うことが書かれていたんですよ(笑)。
――自分の輝ける場所が見つかって、それで性格も変わったんですかね。
chiaki:親以外の大人に認められたのが大きかったです。それによってクラスのみんなも「chiakiってすごいんだね!」と褒めてくれて、自己肯定感みたいなのが外に出たんだと思います。それまでは頑張っても先生に褒められないし、なんか埋もれちゃってる感じ。だけど、音楽の先生が光をくれたんですよね。
――ちなみに、これから叶えたい夢や目標はありますか?
chiaki:音楽で食べていけるとはあまり思っていなくて。パッパラーさんは音楽だけで食べていけている人だけど、私はそうじゃないと思う。でも好きなことだからやっていきたいし、自分の好きなことで生きていきたい。人生100年のうちの半分は過ぎてるから、誰かのために、とかあんまりやりたくないこととかじゃなくて……今までもそんなに我慢してないけど、もっとですね。海外に住みたいなと思ったら、1年くらい海外へ行けちゃうような環境が大事。それには経済力もそうだし、時間も確保しなきゃいけないので、自分のやりたいことに力を注いでいきたいです。デザインの仕事で言うと、「ハローサーカス」のように、自分の周りにいる専業主婦の人たちがもっと輝ける場所を作りたいです。社会貢献と言ったら大げさだけど、いっぱいアイデアがあるし、それを使って周りの人が夢を叶えられるようになったら、と思っています。アイデアを独り占めするんじゃなくて、みんなにあげたい。それで「夢が叶った」とか「楽しい」ってみんなが思うようになったら嬉しいです。前は自分が頑張りたいとか、「このアイデアは誰にもあげない!」みたいに思っていたけど、逆になってきました。
――利他的になってきた。
chiaki:そう、周りの力になりたい。でも全員に対してじゃないです。ファンの人や私のことが好きな人には「好きでよかった」と思ってもらいたいし、私のことが嫌いな人は私もずっと嫌い(笑)。これでいいんです。私のことが好きな人だけに優しくしたい(笑)。
――その発言もめちゃくちゃchiakiさんって感じがします。自分にも他人にも素直というか、無理をしていないですよね。
chiaki:固執しないんです。ずっと入りたかった芸能界だけど「嫌なことがあったら、やめちゃいなさい」と親も言っていて。私も絶望するようなことがあったら「今日やめます!」と言っちゃえばいいや、って。いざとなったらやめられる、と常に思ってる。だからストレスがなかったのかも。「自分の居場所はここしかないから、絶対しがみつかなきゃ」と思っていたら悩んでいたかもですけど、そうじゃない。やりたくないことをどうしてもやらなきゃいけないとなったら、やめようと。そういう覚悟ができているから、何も怖くないんです。
■リリース情報
「アオゾラ」
配信日 : 2023年7月7日(金)各配信サイトより順次配信
iTunes、レコチョク、Apple Music、LINE MUSIC、spotify など
https://lnk.to/AOZORA
千秋(chiaki)公式Instagram:https://www.instagram.com/chiaki77777/
千秋(chiaki)公式YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC2BWLmYnqL_kkiAEp93UWkg
パッパラー河合公式Twitter:https://twitter.com/papalakawai
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