2023.08.15 19:00

大比良瑞希、新たな10年へと踏み出す野心あふれるステージ　新旧の楽曲を惜しみなく披露した『The Reminder』

文＝伊藤美咲、写真＝八重代晃矢

　また、「Eternal My Room」では大比良自身も気持ちが高揚し、曲の世界観に入り込んでいるようだった。芯のある大比良の歌声には求心力があり、まばたきをするのも忘れるくらい見入ってしまった。あっという間にライブ終盤。「早いもので、あと2曲。一緒に踊って最後まで楽しんでいきましょう」と投げかけ、ポップな「ダージリン」でラストスパートをかけていく。キャッチーなリズムに合わせてオーディエンスも身体を揺らすと、本編ラストを飾ったのは「アロエの花」。会場全体が一体となって〈フッフー〉と歌い、最後は盛大な拍手の中ステージを後にした。

　アンコールに応えバンドメンバーがステージに再び登場して音を出し始めると、大比良も姿を現した。披露されたのは、前日にリリースした最新曲「I WANNA 罠?」だ。軽快なメロディにエレクトロなサウンドも混ざった曲で、まさにこの時期にぴったりの爽やかなサマーチューン。後半のトラップ調のブレイクもとても気持ちよかった。ラストのMCでは「今日は10年分の音楽活動を振り返れるライブができて、みんなが集まってくれて、本当によかった。感慨深いなと思いながら1曲1曲歌いました。10年前の自分が思い描いていたことが叶っている部分もあるし、そうじゃないこともあるけど、自分の曲を振り返ってみると、いい曲いっぱいあるじゃんと思いました。私にしかできない音楽ができたからよかったなと思います。次の10年も、この気持ちを忘れずに野心を持って自分を信じて、みんなと音楽で関わっていきたいと思います」と挨拶。最後に、どんなことにも意味があるという思いが込められた「Everything gives me chance what I love it」をソウルフルに届けて、本公演は幕を閉じた。