たかやん、あれくんらも駆けつけた堂村璃羽初のワンマンツアー東京公演 ゼロ距離のアットホームなライブが作る“居場所”
「アットホームなライブを味わいたい人はまた来てください!」
「Riu Doumura 1st Oneman Tour」の東京公演が8月7日に渋谷Veatsで開催され、その終盤、堂村璃羽はスタンディングのフロアを埋めた観客にそんなふうに語りかけた。
なるほど。たしかに“アットホーム”という言葉が相応しい1時間40分だったと思う。曲と曲のあいだでは、観客が何の躊躇もなくステージの堂村に彼が失くした財布のことや髪型について話しかけ、堂村もごくごく当たり前のように、場合によっては友達と話しているようなざっくばらんな調子もまじえつつ、それに応え、普通に会話が成立していたり、鼻をかむためにティッシュを求めた堂村にスタッフよりも先に最前列の観客が「鼻セレブ」を手渡したり――。そんなところに、あらためてファンと堂村の距離の近さを感じずにはいられなかった。そして、堂村は歌いながら、観客のほぼ全員が向けているスマホの一つひとつに手を振り、指ハートを含め、さまざまなジェスチャーを返し続けたのだ。
ちなみに、堂村の姿を撮っているスマホの前に、自分の手で作った半円を観客がかざしているのを見て「何をやっているんだろう」と不思議だったのだが、そこに堂村がやはり自身の手で作った半円を重ねると、スマホ上ではハートマークになるということに気づいた時、何を今さらと言うなかれ、筆者はちょっと感動してしまったのである。
実は「アットホームなライブ」云々と言った時、堂村は「いかにもライブライブしたライブをやっている人たちからしたら手抜きしていると思われるかもしれないけど」と前置きしたのだが、すでに書いたとおり、最大限、観客とのコミュニケーションに努める彼の姿を見て、手抜きをしているなどと思う人はまずいないだろう。
それどころか、セットリストの作り方や後述する演出から、堂村にとって最大キャパとなるこの日のライブを、彼が自らのキャリアにおけるマイルストーンのひとつにしようと考えていたことは明らかだった。
そんな見どころ満載のライブは、今年2月、自分の音楽事務所を設立した時に立てた新たな誓いを歌った「BLUE」からスタート。「今日は声を出していいので、よかったらたくさん聞かせてください」「(観客とのコール&レスポンスの後)30点ぐらいの声量ですね、600人ぐらいいるらしいんですけど(笑)。楽しめますか?」「OK、いこう!」。そこから、「もしも僕が死んだらこの世界は変わるんだろうか」「生きる」「そばにいる」とリスナーに寄り添ってきた曲の数々を繋げてから、「みんなで歌いたい曲を持ってきました!」と披露したのが、今年1月30日にリリースされた5thフルアルバム『夜景』のリード曲「Prima Stella」だ。なぜ、堂村がこの曲をみんなと歌いたかったのか。それはいつしか自分についてしまった、いわゆる“セフレソング”のイメージを脱却するために彼が新たに挑んだ純愛ソングだからだ。
「全員デカい声で歌ってほしい、声のチェックするよ。『Prima Stella』歌える!?」「ほんまに? 楽しむ準備できてるか!? いけんの!?」「いこうか!」――「Prima Stella」を披露する前のコール&レスポンスをまじえた煽りが功を奏したのか、観客のシンガロングが響き渡る。しかし、その盛り上がりはまだまだ序の口に過ぎなかった。
「懐かしい曲とか、ライブでこれ聴くことないだろなってマイナー曲とかも歌いたいと思って、いろいろ持ってきたんですよ」「ここから怒涛の過去曲、および諸々ラッシュなので、覚悟しておいてください!」
観客の期待を確実に煽るような予告をしてからの中盤は、「Clockwork feat. uyuni」「空想世界 feat. uyuni」「冬夏橙 feat. 平葵」「君が君を愛せるように feat. PARED」の4曲を、それぞれの楽曲にフィーチャーしたuyuni、平葵、PAREDといったシンガーたちを実際にステージに迎え、掛け合ったり、ハーモニーを重ねたり、なかなか見ることのできない貴重な共演を披露して、観客は歓喜の声を上げる。それだけでも十分に記憶と記録に残るライブになったと思うが、この日の堂村は徹底していた。