=LOVE、≠ME、≒JOY合同コンサート『イコノイジョイ 2023』 3グループの進歩を確信する場所に

 =LOVE、≠ME、≒JOYによる合同コンサート『イコノイジョイ 2023』を観て、率直に感じたのは、昨年にも増してとんでもない情報量だなということだった。

 7月29日、30日に富士急ハイランド コニファーフォレストにて開催された『イコノイジョイ 2023』は、昨年の昼夜2公演から初の2日間開催となり、観客の声出しが全面的に解禁、初日は昨年の「ウォーターパーティー」から「うぉーたー&あわあわパーティー」に進化、会場の縁日にはサプライズでメンバーが登場と、屋台の焼きそば並みのてんこ盛り具合は、まさにフェスさながらと言ったところ。筆者は2日間の公演を配信で見届けていたが、びしょ濡れ、さらには泡だらけとなる現場での体験や3グループ総勢34人の姿を常に目で追っていたとしたら、その情報量に溺れてしまっていたかもしれない。

 2日間でのトピックは山のようにあるが、まず触れるべきは≠MEの7thシングル表題曲「想わせぶりっこ」の初披露だろう。開催の前日、突如YouTubeチャンネルに公開された「7th Singleについてお知らせ」という動画。プロデューサーである指原莉乃、これまでセンターを担ってきたメンバーの冨田菜々風が伝えるのは、新たなメンバーがセンターに立つということだった。今年6月にメンバー12人で立った日本武道館公演を節目にして、≠MEが新しい色を輝かせながら、大きなステージに向かってさらなる一歩を踏み出す。そのための決断であるということを伝えていた。グループにある背景やメンバーの思いはもちろん異なるが、=LOVEが2022年5月にリリースした11thシングル『あの子コンプレックス』にて、髙松瞳から佐々木舞香へとセンターが交代になったことを彷彿とさせた。≠MEにとってもそれほど大きな転換点だということだ。

 今回、新センターを任されたのは、鈴木瞳美。≠MEで唯一写真集を発売しているそのビジュアルやファンへの強めの「圧」=「愛」が知られている彼女だが、パフォーマンス力の高さ、そして夢に向かっていく思いの強さは誰にも負けない。指原の言う「この曲にしようって思った時に、ぱっと思い浮かぶ子がいた」というイメージの通りに、「想わせぶりっこ」は鈴木がセンターに立つのにぴったりな“あまあまラブソング”。〈てゅ てゅー♪〉のフレーズが印象的な表題曲としてはこれまでになかった曲調だが、〈超特急〉といった≠MEを象徴する歌詞に、落ちサビでは冨田が歌割りを担当していたりと、≠MEを形作る要素がふんだんに取り入れられていたりもする。『イコノイジョイ 2023』2日目での披露時にすでに感じた驚くような耳馴染みは、今後ライブ映えしていくことを予感させた。

 =LOVEに関しては、7月19日にリリースしたばかりの14thシングル『ナツマトぺ』の楽曲披露が大いに期待されていたポイントと言えるだろう。佐々木舞香と野口衣織の2人がセンターを務める「ナツマトぺ」は、野外コンサートのシチュエーションにぴったりな王道のサマーチューン。随所にインサートされている合いの手は、声出しが解禁となったこの日のために用意されたかのようなフレーズに化けており、メンバーも〈楽しみだったんだ だってイコノイジョイだもん!〉〈ペンライト持った?せーの カンパーイ!〉とライブ仕様に歌詞を変えていく。2日目の本編ラスト、花火が打ち上がる中で披露されたのがこの「ナツマトぺ」であり、初日の披露時には少し日が傾く景色の中で、曲内にもある〈エモーショナル〉を感じさせる空気感だったことも特筆すべき点だ。また、14thシングルからは初日に「ヒロインズ」、2日目には「だからとて」が初披露となった。特に自己紹介ソングとして誕生した「ヒロインズ」は、メンバーもかねてよりライブでのパフォーマンスを心待ちにしていた楽曲であり、組曲にも似た他己紹介のマイクリレーがこれからさらに板についていく未来を想像させた。

 ≒JOYにとって『イコノイジョイ』はことさら特別なステージだ。それぞれ『TOKYO IDOL FESTIVAL』が初お披露目のステージだった=LOVE、≠MEに対して、≒JOYは昨年の『イコノイジョイ 2022』が初めてのステージだったからだ。筆者にとって2日間を通して最も驚きを覚えたのが≒JOYのパフォーマンスであり、初日の「超孤独ライオン」や2日目の「≒JOY」、=LOVEのカバー「あの子コンプレックス」を筆頭にしてこの1年間での大きな成長を感じずにはいられなかった。びしょ濡れのステージを蹴り上げ水しぶきをライブ演出に用いた「超孤独ライオン」ではメンバー一人ひとりのセリフパートがリリース当初から格段にパワーアップしており、それはここまで一つひとつのライブを大事に、積み上げてきたことを物語っていた。配信を通しても聞こえてきた歓声は、そのことを讃美する声でもある。もはや貫禄すらも漂う「≒JOY」を経て、「あの子コンプレックス」ではMV再現のためこれでもかというほどに放射された霧がメンバーをずぶ濡れにしていく。センターに立った大西葵をはじめ、メンバーには緊張の色も見えたが、それでもその緊張を超えていく覚悟を感じさせる、見事なパフォーマンスであった。9月にはパシフィコ横浜 国立大ホールでの1stコンサート『初めまして、≒JOYです。』を控えている≒JOY。そのステージでも我々の期待を遥かに超えていくパフォーマンスを見せてくれるはずだ。

 改めてになるが、今年の『イコノイジョイ 2023』は初日が「うぉーたー&あわあわパーティー」、2日目が「シャッフルパーティー」というコンセプトのもと開催された。≠MEの本田珠由記が泡の放出される機械のスイッチを止め忘れてしまい、客席が“あわあわ”になっているところを≒JOYの江角怜音が救出したというエピソードが2日目に明かされていたが、初日にはほかにも鈴木瞳美と谷崎早耶による「サマーチョコレート」で、風向きが影響してか鈴木にだけ泡が降り注ぐというアクシデントもあり、現場ではそういった微笑ましいライブならではの出来事がほかにもあったかもしれない。

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