リアルサウンド連載「From Editors」第18回:『僕の頭の中の落書きたち』をNetflix配信終了駆け込みで観た

 「From Editors」はリアルサウンド音楽の編集部員が、“最近心を動かされたもの”を取り上げる企画。音楽に限らず、幅広いカルチャーをピックアップしていく。

Words on Bathroom Walls | Official Trailer | In Theaters August 21

 本当であれば、現在開催中の『ガウディとサグラダ・ファミリア展』について書こうと思っていたのですが、タイミングが合わず、まだ行けていない……。ということで、今回はNetflixで8月6日、要は今日までの配信だったので駆け込みで観た『僕の頭の中の落書きたち』について。

 原題は『Words on Bathroom Walls』。あらすじとしては、「高校最後の年に精神疾患と診断された、才気あふれるひとりの少年。シェフになるという将来の夢を胸に、恋と完璧な自分のイメージを両立させようと葛藤してゆく」(公式引用)というもの。

 統合失調症を抱えたアダムが、ペルソナではない、本当の自分を受け入れていく過程が描かれるストーリーで、主題は少し重い印象はあるものの、描かれ方は結構ユニークな要素も多い。けれど、夢と恋と欠点、そのリアルな温度がたしかな没入感を与えてくれる作品でした。

 とはいえ、序中盤は若干だれる印象があるのも事実。それでも、アダムがアンディ・ガルシアが演じる神父(めちゃくちゃかっこいい)へ告解するシーンにはなかなか青春みを感じるし、終盤の“家族”が集まるシーンは特にいい。「I know you didn't sign up for this」とアダムに言われた義父のポールが「I'm not going anywhere」とすぐさま返す場面は、泣きそうになりました。宗教の落とし込み、母性の描かれ方、家族愛と恋愛の育み方、あとThe Beach Boys「Don't Worry Baby」の流れるタイミングも絶妙すぎる。

 そして、『25年目のキス』も続けて観たくなると思います。あと数時間で配信終了となりますが、ぜひ時間のある方は観てみてほしいです。

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