五条院凌、カバーからオリジナルまで豊かなアプローチで魅了したツアー初日 涙ながらに観客に感謝伝える場面も

 夏らしい黒の浴衣に衣装替えをすると、ステージ上手に鎮座するキーボードの元へと移動し、インストとともに演奏する場面も。EDM調のリズムトラックが印象的な「INFERNO GATE~煉獄の門~」、手拍子を求めながら爽やかなメロディを鳴らした「ENDLESS SUMMER」と続け、ピアノコンサートでありながらもトラックの迫力と疾走感のある演奏で一段とダイナミックに届けた。

 ライブ終盤、五条院は現在の活動への思いを口にした。五条院凌としての活動前、大きな壁に直面しピアノに触れられなくなった苦しい時期のこと、そんな時期を経て久しぶりにピアノに触れた際に一音で感情を晴れやかにした美しい音色の記憶。そしてピアノと一緒に生きていこうと決意した彼女が今ステージに立っていることへの感謝。「悲しいこと、悔しいこと、切ないこと、自分ではどうすることもできないこと。そういうことの多い世に感じておりますが、みなさまこれだけは忘れないでいただきたいです。私の音は、ずっとみなさまのお傍にございます」。涙ぐみながらそう締めくくった五条院に、客席からは大きな拍手が送られた。

 そんな音楽への、そしてファンへの思いを反映したという「Lento e cantabile」、「おLOVE」、「echo」を続けて披露し、切なくも優しいフレーズがじっくりと届けられると、ラストスパートは再びアッパーな楽曲を続ける。ツミキによるボーカロイド曲「フォニイ」のカバーを華やかに弾き盛り上げると、「ウ"ィ"エ"」をリミックスした「OVIE」に続き、五条院の「おスタンドおアップなさって」という一言で立ち上がった観客。会場は一体感に包まれ、「CASTLE~迷宮の城〜」で大団円を迎えた。

 アンコールではオーディエンスとの交流も楽しみながら、学生の頃に好んで聴いては救われたという中森明菜「難破船」のカバーを演奏。最後は「Rose Waltz」で優雅に締めくくり、ツアー初日を終えた。

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TikTokやYouTubeを通じて人気を得てきたピアニスト・五条院凌。その優美かつ壮大な演奏やアレンジは多くの人の心を掴んでお…

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