2023年上半期、全米チャートではHIPHOP作品の首位獲得なし 国内で示す存在感は?

 2023年上半期の全米シングルチャート“Billboard Hot 100”および全米アルバムチャート “Billboard 200”では、双方ともHIPHOP作品が首位を獲得していないということがわかった(※1)。

 2022年の“Billboard 200”では、当年6月時点でガンナ『DS4Ever』や、リル・ダーク『7220』、タイラー・ザ・クリエイター『Call Me If You Get Lost』などHIPHOPでは6作品が首位を獲得している。

 これまではメインストリームとされてきたHIPHOPやR&Bだが、Billboardのレポートでは2023年上半期に首位を獲得していないことには様々な要因が考えられるとされており、全米におけるHIPHOPの市場シェアが、2022年度の27.8%から26%とゆるやかに低下していることや、音楽リスナーの増加に対してHIPHOPやR&Bの伸び代が少ない傾向にあることが指摘されている(※2)。

 HIPHOPを追い抜き、2023年上半期に首位を獲得したのは、TOMORROW X TOGETHERのミニアルバム『The Name Chapter: TEMPTATION』、カロルG『Mañana Será Bonito』や、モーガン・ウォーレン『One Thing at a Time』、Stray Kids『★★★★★(5-STAR)』などだ。

 一方でHIPHOPやR&Bは、昨年リリースの21サヴェージとドレイクによる『Her Loss』などが“Billboard 200”で上位にチャートイン。“Billboard Hot 100”ではトップ10内にランクインしたのはわずか6曲で、近年急成長を遂げるK-POPやラテン系音楽と比較すると、やや存在感が薄まった。

 上述のTOMORROW X TOGETHERはコロナ禍を経てファンクラブイベント、ワールドツアーを加速度的に開催し、デビューから4年でチャート首位を獲得している。

 先に挙げたBillboardのレポートではHIPHOPやR&Bには、K-POPのようにファンベースを重視した若いアーティストが減少していることも指摘されており、またリスナーはストリーミングサービスなどを利用して、これまで触れてこなかったジャンルも聴くようになっているではと考えられる。そして、HIPHOPやR&Bが再びチャート首位に返り咲くには、2020年代のトレンドであるダンスミュージックを取り入れ、かつて猛威を振るっていたクラブシーンへ回帰することだという考察もなされている。

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