堂村璃羽、なぜ“人を救う曲を作りたい”と願うのか? 会心の一曲「夢の続き feat. ゆう。」と最新EP『夢の続き』を語り尽くす

堂村璃羽、“人を救う曲を作りたい”という願い

セフレ曲のイメージもあるけど、「byebye」も「lost love」も純愛を書きたかった

堂村璃羽(写真=西村満) 撮り下ろし インタビュー

――8月11日にはその「夢の続き feat. ゆう。」を含む4曲入りのEP『夢の続き』をリリースするわけですが、「夢の続き feat. ゆう。」がまずあって、その曲とカップリングするならどんな曲がいいかを考えて「lost love」「EGOIST」「PM1:12」を選んだのでしょうか?

堂村:その時に作っていた曲の中から気に入っているものを入れただけです。なので、全然統一感のないEPになりました(笑)。EPのタイトルを『夢の続き』にした理由も4曲に共通点がなさすぎて、リード曲をそのままタイトルにしただけなんです。それくらい、いろいろな4曲が入っています。

――たしかに、曲調という意味では、4曲それぞれにばらけましたが、「EGOIST」と「PM1:12」の2曲は“夢”というテーマでは共通しているのではないでしょうか?

堂村:うーん……「EGOIST」は“夢”というよりは、妄想とか、自分に言い聞かせるとか、モチベーションというものがテーマになっていて。「PM1:12」は、最後だけ強がっている表現が出てきますけど、それ以外は、ただただ日常を歌っているんですよ。

――なるほど。最初、ラブソングの「lost love」だけ違うのかなと思ったのですが、全曲、違うテーマを歌っているわけですね。「lost love」は、友人が失恋したことをきっかけに作ったそうですが、失恋を受け入れて前に進むことが大事なんじゃないかということを歌っているんですよね。

堂村:そうです。その人といると、相手に依存してしまって、関係性も悪くなるし、周りにも迷惑がかかるから、別れを自分から告げる男の子の目線の歌ですね。

――3月にリリースした「byebye」も付き合っている女の子に依存している男の子の歌でしたね。

堂村:「byebye」は、失恋ソングを作りたくて作ったんです。でも「lost love」は、失恋した友達のために作りたくて作ったので。「lost love」のほうが、シチュエーションもしっかり描かれていて、かつ明らかに男の子のほうから振ったとわかる描写もあるので、内容的にはより鮮明になっていると思います。

――「lost love」の男の子から振ったというのは、曲のモデルになった友人の――。

堂村:実体験です。

――そうなんですか。いや、男の子から振るっていうのは、堂村さんなりのメッセージなのかなと思ってました。それにしても、その友人、よく自分から振ることができましたよね。

堂村:本当ですよ。漢だと思います(笑)。 

――そこがこの曲のいちばん伝えたいところなんですよね?

堂村:そうです。自分から振ってるけど、気持ち的には失恋なので、そういう部分も伝えたいと思いました。“堂村璃羽”っていうと、センシティブなセフレ関係の曲というイメージがあると思うんですけど、「byebye」も「lost love」も、純愛を書きたかったんです。

――『夜景』の「Prima Stella」もそうでしたね。

堂村:ワーナーミュージックから最初に出した「そばにいる」というシングルから、ずっと純愛です(笑)。セフレ楽曲ももちろん作っていこうと思っているんですけど、STUPID GUYSというユニットで出した「偽愛」という曲がバズってから、そういう楽曲が増えすぎちゃったので、そういう曲を書くモチベーションは以前よりも下がりましたね。

堂村璃羽(写真=西村満) 撮り下ろし インタビュー

――それで純愛をテーマに書き始めた、と。3曲目の「EGOIST」は某有名サッカーアニメのストーリーを友達から聞いたことが、曲を作るきっかけになったそうですね?

堂村:僕はそのアニメを観たことがないんですけど、“自分のエゴを大事にしている奴が強いんだ”という内容らしいです。この曲を作ったそもそものきっかけは、『VALORANT』という5対5の対戦ゲームなんですよ。簡単に説明すると、エージェントという4つの役割があって、その中で先頭に立つ人は、1対1の撃ち合いに勝つスキルを持っていないといけないんですけど、その先頭に立つことの多い友達が、ある時めっちゃボコられてしまって。ゲームが終わったあとも、ずっと「マジ俺弱すぎる」みたいなツイートをしていたんです。しまいには「エゴイストにならなきゃいけない」という、あまりにも中二病すぎるツイートをしていたもんだから、みんなで笑っていたら――その友達が某有名サッカーアニメが大好きなんですけど――“エゴイスト”がそこからみんなの口癖になってしまって(笑)。「俺、マジ、エゴってくるわ」とか「もっとエゴるわ」とか、みんなで言うようになった流れで作った曲です。だから、冒頭から〈俺がやらなきゃ誰がやんだって〉って、1対5でも相手を全員倒すくらいの勢いで歌い始めるモチベーションソングですね、これは。

――前半のリリックはヒロイックですけど、中盤、自分の弱さを曝け出すところが興味深いと思いました。

堂村:僕、『少年ジャンプ』がめっちゃ好きなんですけど、ジャンプのマンガが原作の映画って、一度負けたところから再挑戦するストーリーが多いじゃないですか。その負ける部分に当たるのが中盤なんですよ。自分の弱さを曝け出したうえで「それでもやるぞ」って、また冒頭のリリックに戻る。「やってやるぞ」って始まって、ボコボコにされて、無理だ無理だってなるんですけど、反骨精神から頑張って修行して、パワーアップして返り討ちにする。そういうジャンプ映画みたいなストーリーの感情のグラフを曲として表現してみました。男の子だったら、小学生の時にヒーロー妄想をするじゃないですか。それを前半のリリックに詰め込むことで、自分を鼓舞して。でも、やっぱり人間なのでメンタルがやられる時もあるけど、また立ち直るという曲なので、本当にアニソンにしたいくらいです。誰か使ってくれよって思いますね(笑)。

――『少年ジャンプ』がお好きなんですね。

堂村:毎週読んでます。

――そういうところもさっき話題に出た男気に繋がるのかなと思いました。

堂村:ジャンプは漢気です(笑)。中でも『NARUTO -ナルト-』『ONE PIECE』『BLEACH』が好きなんですよ。

――実際にお会いするまでは、おっしゃっていたようにセフレソングのイメージが強かったので、すごくクールな人なのかなと思っていたんですけど。

堂村:一生言われると思います。「そんなに喋るんだ!」って(笑)。もちろんずっと喋ってるわけじゃないですけどね。静かな時は静かですけど、関西人なので仕方ないですね。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる