Uniolla、4人の持ち味が“新鮮なバンドマジック”ヘ 音楽性の広がり&日本語の美しさが活きた充実の2ndアルバムを語る

Uniolla、4人のバンドマジック

UniollaとLOVE PSYCHEDELICO、歌詞の成り立ちの違い

――「容赦なく美しい朝」は、ライブで聴いた時にもすごく感銘を受けたのですが、トレモロアームを用いたシューゲイザーっぽいギターサウンドが個人的に刺さりました。

深沼:実際は、それこそケヴィン・シールズが憑依したようなギターをもっとたくさん重ねていたのですが、ミックスがあまりにも大変で(笑)。最終的にこの形に落ち着きました。むしろこのくらいの方が、メロトロンも活きるしちょうどいいと思う。楽曲に関しては、もともとは古い日本の歌を意識したというか。音符をあまり刻まずに大きなゆったりとしたメロディを心がけています。歌詞も、それに合わせて全て日本語にしました。「果てには」にも通じる、今後もUniollaで挑戦していきたい方向性の一つではありますね。

KUMI:もともとUniollaは、「Mellowhead featuring KUMI」名義から始まったわけだけど、なぜ私がMellowheadに惹かれたかというと、日本語の美しさからなんです。LOVE PSYCHEDELICOでは日本語の美しさというより、英語をベースとした音の響きを重視しながら言葉を選んでいるけど、Uniollaで深沼くんが書く歌詞は、日本語じゃないと成り立たないようなところがあって、そこがすごく好きなんです。

――この曲の歌詞にある〈本当のあなた/全てはわからない/あなたじゃないから/どこまでいっても/それでも何か分かち合えたら/それでもどこか繋がって/許し合って〉という世界観は、どこから来るものなのでしょうか。

深沼:もしかしたら、お寺で生まれ育ったことが自分の死生観みたいなものに大きく影響しているかもしれないですね。他者と分かり合えるという前提で向き合うから、分かり合えなかったときに争いが起きたりするわけじゃないですか。強引に「分かり合おう」とすることで、お互いの「違い」を打ち消し合うのも違うと思うし。そもそも他者なのだから、全てを分かり合うことができないと認めてこそ、むしろその先に純粋な意味での“理解”があり、“平和”があると思うんです。そういう思いは、もしかしたら自分が書くすべての楽曲の根底に流れているかもしれない。

――なるほど。「Love me tender」は、福島出身である深沼さんが3.11(東日本大震災)以降に考えていることがテーマになっているそうですね。

深沼:3.11があり、コロナ禍があって、他にもいろいろな出来事が皆さん大なり小なりあって。これまで繰り返してきた、退屈だと思っていた何気ない日常がどれほど尊いものだったかに気づいたわけですよね。そういうことについて歌いたいと思ったし、アルバム全体のテーマとしてもふさわしいのではないかと思い、この曲をタイトル曲にしました。アレンジ面でも結構時間をかけましたね。バンドとしては一番躍動しているというか、林くんのベースもこの曲が一番派手だよね?

林:そうですね。

――「まぼろし」は、夢の中で思いついた曲だとか。

深沼:はい。サビの途中で拍子が変わるとか普通はあり得ないんだけど、夢の中で思いついて面白かったのでそのまま採用しました。曲を作って、KUMIに仮でちょっと歌ってもらったらものすごく苦労したみたいで。「なにこれ!」ってクレームがきた(笑)。

KUMI:そうそう(笑)。「ちょっと歌ってみるよ」と言って試してみたら「あれ? どこから入ったらいいの?」みたいな。

――(笑)。聴いていると、そんなに難しく聴こえないのに不思議な曲ですね。

林:そうなんです。ベースを弾きながらハモをやろうとするとめちゃくちゃ難しいんですよ。

岩中:ようやく慣れてきたけど、気を抜くと拍子がズレてしまうので油断禁物の曲です(笑)。

深沼:でも、演奏を聴くと楽しそうなんだよね。結局2テイクしか回さなかったし。まあ、NAOKIくんが音決めにめちゃくちゃ時間をかけるので、演奏できる時間がそもそもすごく限られているんだけど(笑)。

岩中:いろんな現場でレコーディングしましたけど、NAOKIさんが一番音決めに時間をかけますね。バスドラの音決めだけで1時間くらいかかるから、その間ずっと踏みっぱなしだったりして(笑)。だからこそ、これだけ素晴らしいサウンドになっているので、全く問題ないんですけど。

ラスト1曲で見せる、伸び伸びと爽快に演奏するUniollaの姿

――「No wrong answers」は、スタジアムロック風味のシンプルな楽曲です。

深沼:スタジアムで、特効がドーンと打ち上がる中で演奏したくなるような。アナログレコードを作りたかったからアルバムは10曲入りにしようと思っていて、「あと1曲書かなきゃ」と思っていたら浮かんできました。他に候補曲が4つくらいあって、最終的にトーナメントを勝ち抜いたのがこの曲です。

――Uniolla結成の時は、深沼さんが90年代に聴いていたCherry Red Recordsやél Recordsのサウンドにインスパイアされたとおっしゃっていましたが、「No wrong answers」はそれとは対極にあるサウンドですよね。こういう楽曲が生まれてきたのは、ライブを重ねていく中で「大きなところで演奏したい」という気持ちも芽生えてきたから?

深沼:いや、単純にこういう曲を作ってみたかったんですよ。例えば冒頭曲「The 1st chapter」は、ものすごく繊細なことをギターでやっていて。ほんの少しだけアームに触ったり、カッティングのニュアンスもかなり細かいところまで詰めたりしているんですけど、そういう曲だけじゃなくて、速弾きとか思いきりやっているUniollaがあってもいいかなと。今回は、前作よりもバラエティに富んだアルバムで、いろいろなことを試してきたのもあって、最後に伸び伸びと演奏したくなったところもあるでしょうね。作ってまずKUMIに聴かせたら「これは次のアルバムでいいんじゃない?」と言われて(笑)。

KUMI:そう。次のアルバムがイメージできるくらい面白い路線だなと思ったから、今作に入れちゃうのはもったいないと思ったんだよね。「3rdアルバムはハードロックで行こうよ!」って(笑)。

――アルバムの最後に入っていることで、次作の予告っぽくも感じます。本作を経て、これからやってみたいことは?

深沼:自分が作詞作曲したアルバムとしては、この『Love me tender』が自分の生涯を通しても傑作だと思っているんです。これ以上の作品を作るのはきっとものすごく大変で、それを考えるのは面倒くさいんですけど(笑)。でも「No wrong answers」も「The 1st chapter」も、もし一人でやっていたら思いつかない楽曲なんですよ。やっぱりUniollaはバンドだから、メンバーのことを想像しながら書くからこそこういう曲が生まれてくる。そういう意味では、今までもそうだしこれからも「バンド」として楽しみながら音楽を作っていきたいですね。

KUMI:1stと2ndを作ってみて、やっぱりUniollaには「バンドのマジック」があるんだよね。バンドって「やりたい」と思ったからってできるものではないし、ただ人を集めてきてもバンドになるわけでもない。結成してからどんどんバンドらしくなってきているし、まだまだたくさんの可能性が広がっていると感じているから、Uniollaがこれからどうなっていくのか自分たちでも楽しみですね。

※1:https://realsound.jp/2021/09/post-869507.html

Uniolla『Love me tender』
Uniolla『Love me tender』

■リリース情報
Uniolla『Love me tender』
2023年7月5日(水)リリース
【通常盤】CD:¥3,520(税込)
【生産限定盤】LP:¥4,851(税込)

配信&ダウンロード
https://jvcmusic.lnk.to/Lovemetender

購入リンク
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A027032/VICL-65838.html

<収録曲>
01. The 1st chapter
02. 嘘はないはず
03. It’s just the time
04. So am I
05. Leap (Alternate Mix)
06. ララ
07. 容赦なく美しい朝
08. Love me tender
09. まぼろし
10. No wrong answers

■ツアー情報
『Uniolla Tour 2023 “Love me tender”』
7月25日 大阪・Music Club JANUS
7月26日 愛知・新栄シャングリラ
8月1日 東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

チケット一般発売中
https://l-tike.com/uniolla/

オフィシャルサイト

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