Ave Mujica、謎のベールに包まれたバンドが披露した圧巻のステージ 物語の序章を告げた初ワンマンライブを観て

 荘厳でミステリアスなコーラスで幕を開けたのは「Choir ‘S’ Choir」。映像を喚起させるヘヴィなサウンドと美しいメロディの融合が気持ちいい。聴き手を陶酔させるように繰り出される、キーボード担当メンバーによる艶やかなハンドアクションも魅力だ。続いてドロップされたのはCreepy Nutsの「堕天」。スカコア的なアプローチを盛り込むなど、アッパーなアレンジメントが施されたことで原曲の印象を大きく変えたカバーとなった。ラストに勢いよく叫ぶなど、ボーカルの人間味が垣間見えたのも印象的だった。

 ボーカルが華麗なギターソロを披露した激情ナンバー「神さま、バカ」に続いて、Roseliaのレパートリーからもう1曲、「PASSIONATE ANTHEM」のカバーをプレイし、ライブは興奮状態のままクライマックスへとなだれ込んでいく。ソリッドな演奏が光るヘヴィなメタリックナンバー「Mas?uerade Rhapsody Re?uest」では、ボーカルとギター、ベースの3人がフロントで激しいヘドバンを決める。それに呼応するように客席でもヘドバンの波が生まれていた。そして――少女のモノローグによる最後の幕間映像の後、ステージには黒いローブを脱ぎ捨て、MVで見せていたキャラクター衣装を纏ったメンバーが現れた。全員が物語を紡ぐように初めて言葉を発し、キーボード奏者から各メンバーの“仮初め”の名前が発表される。

ドロリス(Gt.&Vo.)

モーティス(Gt.)

ティモリス(Ba.)

アモーリス(Dr.)

オブリビオニス(Key.)

 ライブのラストに用意されたのは、バンド名を冠した初披露ナンバー「Ave Mujica」。耳をつんざくようなギターリフで聴き手を一気に惹きつけ、ヘヴィメタルの様式美を感じさせる破滅的な美しさを体現していく構成には、バンドとしてのアイデンティティが明確に注ぎ込まれているはずだ。アグレッシブなパフォーマンスで最高のエンディングを描き出したAve Mujicaの5人は、ギターのフィードバックノイズとオーディエンスによる大歓声が交じり合う中、無言でステージを後にしたのだった。

 5人のメンバー名が明かされたとは言え、最後まで仮面をつけたままでライブを終えたAve Mujica。その全貌はここから徐々に明らかになっていくのだろう。ライブ後には、彼女たちにとって初のフィジカル作品となるミニアルバム『Alea jacta est』が9月13日にリリースされること、そして来年1月27日に神奈川県・横須賀芸術劇場にて「Ave Mujica 1st LIVE」が開催されることが発表された。そう。この日の“0th LIVE”を経て、Ave Mujicaの“賽は投げられた=Alea jacta est”のだ。ここから始まるめくるめく世界にドップリとハマっていきたい。

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