クレナズム、春から夏への移り変わりを選曲で表現 代官山UNITで迎えたワンマンツアーファイナル

 さらに、本ツアーではこの時点で音源化されていない楽曲たちも届けられた。5月31日リリースの新曲「夏日狂想」を含む3曲で、共通しているのは“夏”をテーマにしていること。新曲の前には、セミの鳴き声や時計の針が進むようなSEが流れており、曲と曲の繋ぎにもライブの世界観に没入できるような工夫が見られる。既存曲と新曲を織り交ぜた、一夏を巡るようなセットリストで会場を沸かせた。

 後半ではライブ用にアレンジされた楽曲も披露。まずは、音源よりもポップにアレンジされた「velvet rain」。しゅうたが刻むドラムに合わせて、フロアからは手拍子が沸き起こる。次に、クボタカイをフィーチャリングし話題となった「解けない駆け引き」を重厚感のあるバンドアンサンブルで届けた。力強い演奏で観客を魅了すると、続く「鯨の鳴き声」では背面のスクリーンに星空が浮かび上がり、一気に幻想的な雰囲気に。低音が重く響くベースと、ノイジーなギターがつくりだす浮遊感のあるサウンドに、観客は静かに聴き入っていた。

「みんなが会いに来てくれるから、私たちは覚悟をもって音楽を続けていけます。あなたに届きますように」

 そう萌映が告げた後、ギターの轟音を合図に「ふたりの傷跡」へ。ここからはMCを挟まず、宇多田ヒカルのカバーである「SAKURAドロップス」、クレナズムの代表曲とも言える「花弁」と、畳みかけるように曲が披露されていく。気づけば、季節は再び“春”へと戻ってきたようだ。

 本編ラストに演奏されたのは「わたしの生きる物語」。新年度が始まって2カ月というこのタイミングで、〈この季節になると思い出す/わたしは情けないってことを〉という歌詞に自分を重ねた人も多いのではないだろうか。そんな人たちの気持ちを代弁するように、萌映は感情のこもった歌声を会場に響かす。アウトロでは激しく点滅する照明の中で、4人が大きく体を揺らしながら演奏。轟音が会場を満たすパフォーマンスでステージに幕を下ろした。

 アンコール無しの90分。ライブが終わり会場を出た18時半頃、図ったように暮れなずむ空が私たちを迎えていた。終演後には『秋のバリよかワンマンツアー2023』の開催も発表したクレナズム。新曲が豊富に盛り込まれていた点からも、今後の展開を期待させるライブだった。次の季節に彼らはどんな姿を見せてくれるのだろうか。

■セットリスト
1.さよならを言えたかな
2.月のようで
3.杪夏
4.ひとり残らず睨みつけて
5.新曲1
6.ヘルシンキの夢
7.夏日狂想(新曲)
8.積乱雲の下で
9.velvet rain(アレンジver.)
10.新曲2
11.夜に溺れて
12.解けない駆け引き(アレンジver.)
13.鯨の鳴き声
14.ふたりの傷跡
15.SAKURAドロップス
16.花弁
17.わたしの生きる物語

■リリース情報
3カ月連続リリース “クレナズムのなつやすみ”
第1弾シングル「夏日狂想」
5月31日(水)リリース
配信:https://orcd.co/kajitsukyoso

■ライブ情報
台湾ツアー
7月8日(土)台北 The wall live house /w ゲシュタルト乙女
7月9日(日)高雄 WAREHOUSE /w ゲシュタルト乙女

『秋のワンマンツアー クレナズム秋のバリよかワンマンツアー 2023』
10月21日(土)仙台 enn 2nd
10月28日(土)広島SECOUND CRUTCH
10月29日(日)大阪 Live House ANIMA
11月3日(金・祝)高松TOONICE
11月5日(日)福岡BEATSTATION
11月11日(土)名古屋 ell FITS ALL
11月12日(日)渋谷WWWX
11月18日(土)札幌PLANET

開場16:15/開演17:00

チケット:スタンディング ¥3,500(税込・ドリンク代別・整理番号付)
オフィシャル最速先行受付 : 5月27日(土)19:00〜6月11日(日)23:59迄
一般発売:7月22日(土)12:00〜
https://eplus.jp/culenasm/

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