乃木坂46・櫻坂46・日向坂46、卒業コンサートとセレモニーの違いは? 呼称の選択にも表れるメンバーの思い

 一方で、櫻坂46や日向坂46は通常のライブ公演の中で卒業セレモニーを行うケースが多い。特殊だったのは欅坂46(櫻坂46の前身グループ)長濱ねるで、2019年に『ありがとうをめいっぱい伝える日』と題した卒業イベントを開催。これまでの歩みを振り返るVTRや、長濱が2代目パーソナリティーを務めた『こちら有楽町星空放送局』(ニッポン放送)をステージ上で行ったほか、歌はこの日に初披露された新曲1曲のみだった。また、欅坂46のメンバーが登場しない、たった1人の卒業イベントだったことも異例と言えるだろう。

 欅坂46・櫻坂46で初めての卒業コンサートを行ったのが、渡邉理佐。改名したこともあり、欅坂46時代の楽曲をライブでやることは滅多になかったのだが、同公演では渡邉が参加したユニット曲を中心に多数披露。欅坂46・櫻坂46どちらのグループにおいてもアイコンとして活躍してきた渡邉だったからこそ、実現できたセットリストだったように思う。

 一方、欅坂46から櫻坂46とキャプテンを務めてきた菅井友香は、昨年の『2nd TOUR 2022“As you know?”』のツアーファイナルとなる東京ドームで卒業セレモニーを開催。本編は通常通りの内容で、アンコールの時に欅坂46の「Overture」が流れ、同時代の楽曲を2曲パフォーマンスした。菅井はステージ上で、櫻坂46としても東京ドームに立つという目標を定め、自身の中で(櫻坂46結成から)2年間はアイドルとして頑張ることを胸に秘めていたことを明かしていた。菅井のポジションからして、個別に卒業コンサート、もしくは卒業セレモニーを行うこともできただろう。しかし、東京ドームで櫻坂46の一員としてライブをまっとうし、最後に卒業セレモニーを行うことにこそ、彼女なりの意味があったのではないか。そこにはキャプテンとしての矜持を感じることができる。

 日向坂46から初の卒業セレモニーを行ったのが、渡邉美穂。内容は、普段の日向坂46のコンセプチュアルなものではなく、渡邉美穂のキャラに特化したライブだった。メンバーによる多数のメッセージ動画が流れ、そのメッセージにちなんだ楽曲を披露したほか、クイズコーナーの正解者が一緒に歌うなど、日向坂46らしいバラエティに富んだものだった。

 渡邉美穂と同期の宮田愛萌は、昨年のクリスマスライブ『ひなくり2022』の最後に卒業セレモニーを行った。体調面を理由に卒業を決め、全国ツアーの不参加が発表されたことで、このままファンの前に立たずに卒業の形もありえた。しかし、メンバーが運営に打診したこと、宮田からファンへ感謝を伝えたいという強い思いが、卒業セレモニーの実現に至った。ライブ終盤に時間を設け、黒いドレスを纏った宮田に向けて、同期のメンバーが彼女の好きな楽曲「君のため何ができるだろう」をアカペラで歌うなど、感動的な一幕を見ることができた。

 卒業コンサートと卒業セレモニー、二つの違いに明確な定義はないが、本人の意思がそこに含まれているのは明確だろう。7月19日に行われる影山優佳の卒業セレモニーはどんな内容になるのか。耳の不調によってライブ活動を続けることができなくなったことが卒業理由の一つになるため、影山がパフォーマンスを多く披露することは難しいだろう。しかし、特技と持ちネタが豊富な彼女なだけに卒業セレモニーとして公演を行うには申し分ない。きっと、彼女らしさ満載のライブになるのではないか。

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