継続こそがKen Yokoyamaだ それぞれの夢と歴史を共有した初の日比谷野音公演
本人も驚き気味に語っていたが、30代に入って始めたKen Yokoyama名義でのバンド活動は、来年でなんと20年目を迎えるそうだ。どのバンドよりも活動期間が長くなったKen Yokoyamaでのステージ。南、Jun Gray(Ba)、松本”EKKUN"英二(Dr)の安定したプレイは今のところまったく不安要素が見当たらない。メンバーと共にいる心地よさと野音のロケーションを満喫しながら笑う横山は、心底幸せそうに見えた。そこにお山の大将の危うさはなく、同時に、キラキラした多幸感もないのだった。
「いつまでやれんのか。いつまで生きてんのか。次会えるかわかんない。思ってることは言わないといけない歳になっちゃったよ」
こんなMCを受けての本編ラストナンバーは「While I’m Still Around」だ。社会的メッセージでも、パンク的反骨心でもない、ただ音楽家として感謝の気持ちを綴るのが今の境地。すべてが終わったあと、ステージから見て左側、右側、そして中央と、3回に分けて客席に深々と頭を下げていた横山の姿が忘れられない。やんちゃな一面、熱血漢な一面、戦略家の一面。いろいろな顔を持つ人ではあるが、ここまで謙虚な姿を見せたのは初めてではないか。コロナでの停滞や突然の訃報など、素敵じゃなかったことはいっぱいある。ただ、生きていて、こんなふうにライブで心を通わせることができて、次も会おうと信じて約束できる今がまだある。だからやっぱり、こう思うしかなかった。Ken Yokoyamaをずっと見続けてきてよかった。