King & Prince、ベストアルバム『Mr.5』が4週連続トップ3圏内キープ “等身大”という言葉に寄りかからない美しさ

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2023-05-22/

 今週のアルバムランキング、13人アイドルグループ・GANG PARADEの最新作『OUR PARADE』が初の1位を記録しています。セールスは初週約2.9万枚、順位も売上も自己最高記録と、今後の活躍に期待が高まる数字です。ただし、この数週間のアルバムチャートを見ていると、本稿の主役はこの人たちに譲っておくのが妥当のようです。

 3位のKing & Prince『Mr.5』。4月19日に発売され、初週から120.4万枚(!)を売り上げたこの作品は、その後も2位→3位→3位と4週に渡りトップ3圏内をキープ。アルバムでのミリオン突破は彼らにとって初の記録となります。同時に、5月22日をもって岸優太、平野紫耀、神宮寺勇太の3名が脱退。つまりこれが5人最後の作品です。ファンたちのちぎれそうな気持ちが過去最高セールスに結びついたのは、せめてもの餞と言えましょう。

 『Mr.5』はKing & Prince初のベストアルバムで、DISC1にはデビューシングル『シンデレラガール』から最新の両A面シングル『Life goes on/We are young』まで、全16曲のシングル曲を収録。さらにはこのベスト盤のための新曲も1曲プラスされています。R&B/ヒップホップ路線、海外リスナーも意識した英語曲などにも挑戦してきた彼らですが、シングル集となると、さすが、これぞジャニーズ王道と唸るポップソングがものすごいクオリティで並ぶことになります。

 最初にあったのは眩しい笑顔と磨き上げられたスター性。さらには万人に開かれたポップネス。同時に時代を乗りこなすダンスのキレが備わっており、リリースを重ねるごとにスマートでエレガントな大人の表情を見せていく。まさにアイドルの理想型ですね。王道なのにベタな歌謡の印象があまりなかったこと、いつでもプリンスの風格を湛えていたことも、King & Princeを輝かせる要因であったと思います。

 さらに、これは太字で特筆しておきたいところですが、彼らの楽曲には、その名のとおり王子様と姫君の存在がありました。5人が振り付けや表情で王子っぽく振る舞うとき、聴き手はしっかりとお姫様気分を味わえた。性別で物事を測る時代ではないと怒られそうですが、いや、これ、単純に疑似恋愛的な「うっとり」感覚があったかどうか、という話です。元気が出るとか明るい気持ちになるとか、いわゆる応援歌とは似て非なるエネルギーのもらい方。尊い“推し”が、自分のために笑ってくれ、自分だけを特別に扱ってくれているように響く歌が、ここまで多かったかと痛感しますね。リアルかどうかは問題ではなく、綻びのないリアリティを作り上げる完成度の高さがすべて。等身大という言葉に寄りかからない美しさが、King & Princeの本懐だったのでしょう。

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