yama、初アコースティックツアー『夜と閃き』にて告げた新章開幕 ストリングス含む豪華編成で見せた進化
続くMCパートでは、『夜と閃き』というツアータイトルに込めた想いを語った。これまでyamaは『Versus the night』、つまり「夜(=自分自身)と対峙する」というテーマを掲げながら活動を続けてきた。これからも「夜」が重要なテーマであり続けることは変わらないが、2ndフルアルバム『Versus the night』のリリース、およびそれに伴うツアーを終えた今、その先の新しい章に向かっていくという。一人ひとりのファンと出会えたおかげで得られた生の実感を「閃き」と例え、その輝きが足元を照らしてくれるからこそ、新しい道を一歩ずつ歩んでいくことができる。『夜と閃き』という言葉に込められているのは、自分以外の他者と共に生きることの意義であり、ポップアーティストとして今まで以上に開かれた存在を目指すyamaの深い決意が伝わってくる。
そしてここからライブはクライマックスへ。勇壮なストリングスの音色によって原曲よりもグッと深みを増した「Lost」。そのアウトロから繋ぐ形で披露された壮大なバラード「光の夜」。鮮やかに躍動するアンサンブルに乗せて、ポジティブな生の実感を高らかに歌い届けた「世界は美しいはずなんだ」。時に声を昂らせ、震わせながら、全ての感情を剥き出しにするようにして鮮烈な歌声を響かせた「slash」。まさにハイライトの連続とも言うべき圧巻の展開だった。
この日のライブを締め括ったのは、新たな自作曲「ストロボ」であった。世の中とうまく折り合いをつける道を選ぶほうが幸せになれるかもしれない。それでも、幼心を閉じ込めることなく、何一つ諦めることなく、自分の好きな道を歩んでいきたい。yamaは力強くそう宣誓した。そして、この日ライブで初披露されたこの歌は、そうした決意を示すような強靭な響きを放っていて、また、果てしない高揚感をもたらすドラマチックな展開に胸が熱くなった。
『Versus the night』の季節を経て、『夜と閃き』へ。まさに新章開幕を告げた今回のツアーは、初のアコースティックツアーという本来の意味合い以上に、yamaの今後のキャリアにとって重要なものになったと思う。何より、yamaのシンガー&ソングライターとしての進化を証明するような感動的な公演であった。
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