ORANGE RANGE、ハイライトが何度も訪れたツアーファイナル 客席と一体になって作り出した美しく熱い集大成

 昨年9月に幕を開けたORANGE RANGEの全国ツアー『ORANGE RANGE LIVE TOUR 022-023 〜Double Circle〜』。半年以上にわたって開催されてきた同ツアーが、4月23日、東京・LINE CUBE SHIBUYAにてツアーファイナルを迎えた。筆者は、ツアー2日目のZepp DiverCity(TOKYO)公演にも参加したが、その時はまだ観客の声出しがNGとされていた。当時のレポート記事でも書いたが(※1)、その時に強く印象に残ったのが、HIROKI(Vo)が観客に向けて語りかけた「今回のライブに、+αでみんなの声が足された時、きっとものすごいことになりますよ。その日までもう少し、ORANGE RANGEらしく走っていきたいと思います」という言葉だった。そして、長きにわたるツアーを経て久々に東京に戻ってきた今回のツアーファイナル公演は、観客の声出しが全面解禁された中での開催となった。それ故だろうか。会場には、開演前から凄まじい熱気が込み上げていた。メンバーだけでなく、この日会場に集まったファンも、ずっとこの時が来るのを待ち望み続けていたのだ。

 オープニングナンバーは、今回のツアーの主軸となっている昨年9月リリースの新作『Double Circle』収録曲「恋はRock'n' Roll」だ。同曲の狭間にはRYO(Vo)による脱力感のある台詞が差し込まれるが、今回のツアーでは、毎回同じ台詞では飽きるということで、事前にファンから募集した台詞の中から厳選したものを各公演ごとに披露していた。なお、このツアーファイナル公演では、オリジナルの歌詞通りの〈弁当に刺身〉〈月イチで英会話〉などが披露されたが、台詞を募集した公募ガイドのページ(※2)では、ツアーファイナル用に選出された4つの台詞が紹介されているので、ぜひチェックしてみてほしい。

RYO

 続いて、同じく新作から「キリサイテ 風」へ。この曲は、ツアー開幕前から各地のフェスなどで披露されており、その時からすでにアンセミックな輝きを放っていたが、長きにわたるツアーを経たこともあり、その輝きとそこから生まれる会場の一体感がさらに増していたように感じた。今回、観客が自由に声を出せるようになったことも大きいが、この半年を通して、新作の楽曲たちが過去曲と同じような求心力を誇るようになったのは間違いないだろう。

HIROKI

 もちろん、セットリストを構成するのは新作の楽曲だけではない。彼らは今回も、観客が求めるアンセムの数々を次々と披露してくれた。観客の声が重なることで、約3年間のコロナ禍を乗り越えてやっと本来のライブパフォーマンスの形を取り戻した「以心電信」の爆発力は本当に凄まじかった。そして、前半戦のハイライトを担ったのは、今回のツアーの恒例である学生とのコラボコーナーだった。「イカSUMMER」では、国士舘中学校高等学校の吹奏楽部員8名が、ORANGE RANGEのバンドサウンドにゴージャスな彩りを加えてくれた。また、サビでは8名が腕を大きく上下に動かしながら、メンバーと共に観客を煽る一幕も。続く「おしゃれ番長 feat.ソイソース」では、日本工学院専門学校 ダンスパフォーマンス科の4名とのコラボが実現。この曲の狂騒感を、しなやかでありながらキレのあるダンスを通して表現する4人のパフォーマンスがとても美しい。この日限りの特別なコラボレーションを受けて、フロアから限りなく大きな拍手が送られた。

YAMATO

 ライブ中盤戦では、新作の楽曲が立て続けに届けられた。どの曲も、ORANGE RANGE流ミクスチャーロックの可能性を果敢に押し広げるような野心的な楽曲ではあるが、上述した「キリサイテ 風」のように、そうした楽曲たちが、ライブの場ではしっかりと開かれた表現として成立していて、フロアとの親密で深いコミュニケーションを生んでいるから凄い。きっと、長きにわたるツアーを通して観客と共に育んできた一体感が、これらの新曲を披露する上での自信に繋がっているのだろう。今回のツアーファイナルは、まさにその美しい集大成であり、その輝かしい成果に何度も魅了された。

関連記事