「昔の神サイを彷彿とさせる」という声がちらほらあった

ーー今回のレコーディングは、バンドの一発録りだったんですよね？

柳田：そうなんです。ベーシックレコーディングは、みんなで同じスタジオのブースに入って「せーの」でやりました。今まではグリッドにガチッとはめ込む感じでレコーディングしていたんですけど、今回はバンドのグルーヴに重きを置いて、かなり人間味あふれるアンサンブルになったと思っています。

　実は、レコーディング前のプリプロで、亀田さんが「BPMを少し上げておいた方がいいかも」とおっしゃったんですよ。なぜかというと、打ち込みのデモでは「ちょうどいい」と感じたテンポでも、生の演奏に置き換えてみるとかなり遅く感じるらしくて。レコーディング前に色々スタジオで試してみたんですけど、「やっぱり元々のBPMが、一番この曲にしっくりくるかも」と思って結局変えなかったんですね。そしたらボーカルレコーディングの時に、演奏がめちゃめちゃ遅く聴こえて（笑）。その演奏に合わせて歌うのはなかなか大変でした。

吉田：一発録り、なかなか大変でしたね。特にギターのサウンドメイクに時間をかけたんですけど、最終的にはオクターバーを駆使した特徴的なリフが作れたと思っています。ギターソロも、色々と試しながら何テイクも重ねていく中でブラッシュアップしていきました。亀田さんも、1音1音の細かいニュアンスまで一緒にこだわってもらい、納得のいく仕上がりになったと思っています。

黒川：今回、自分的には音圧のあるドラムサウンドを録ることがテーマでした。亀田さんと最初にスタジオに入った時、フロアタムを一発、ドン！　と鳴らした時に柳田とマネージャーさんがめちゃくちゃびっくりしてて、「何かが爆発したのかと思った」と言われたのが自分的に「うまくいったな」と思えた瞬間でしたね（笑）。レコーディング中も、亀田さんがノリノリで聴いてくれていたので、ちゃんとベストを尽くすことができたのではないかと。演奏もすごく褒めてもらえて自信にもなりました。

桐木：レコーディング前に黒川とスタジオに入り、「あーでもない、こーでもない」と色々試行錯誤をしていた成果がちゃんと出せたのかなと思っています。これ、言葉でうまく説明できるか分からないんですけど、あまり理論にこだわらずに感覚的に弾くことを目指しました。例えばコードがCだったとして、そこに合う音の中からフレーズを組み立てていくのではなく、自分の感覚で「この音がいい」と思ったら、理論上間違っていてもあえて弾くようにする。実際にやってみるとものすごく難しかったのですが、今の段階でのベストは尽くせたと思いますね。

黒川：ちなみに僕は、〈グラグラグラ目眩を邁進〉と歌う展開メロのリズムパターンが我ながらめちゃくちゃ好きで。シンバルが裏でずっとシャンシャン鳴っているんですけど、それをやろうとすると叩き方がカッコ悪くなるんです。でも、それを見た桐木が、「分かりやすくていいよ」と言ってくれて。

ーー最初におっしゃっていたように、すでにドラマで流れていますが反応や手応えはいかがですか？

柳田：第1話が終わった直後、ファンの方からのメッセージや感想をチェックしたら、「昔の神サイを彷彿とさせる」という声がちらほらあって。僕的には全然そんなつもりはなかったんですけど、作っている側とそれを受け取った側の感覚は、微妙に違うのかもしれないですね。

吉田：実は、俺もこの曲「昔の神サイっぽいな」と思ったんですよね。地元の友達にもそう言われて、自分でもどこがそう思わせているのかよく分からないんですけど、当時のエッセンスが入っているのかもしれない。

ーー現在、この曲を含むニューアルバムの制作中だとお聞きしました。どんな内容なりそうですか？

柳田：シングルで言うと「六畳の電波塔」以降、「カラー・リリィの恋文」や『冬の大三角形』と題してリリースした「キラキラ」「朝靄に溶ける」「夜間飛行」、そして今回の「修羅の巷」が収録され、それ以外にも新曲が入るので、前作『事象の地平線』と同様にバラエティ豊かなアルバムになると思います。相変わらずいろんなアーティストやプロデューサーさんとコラボも続けていて、例えばRin音くんやasmiちゃんのように、バンド以外のフィールドにいる人たちと、いい化学反応を生み出してきたのがめちゃくちゃ楽しくて。「神サイらしさ」みたいなものをさらに広げることが出来るアルバムだと思うので、楽しみに待っていてほしいです。

ーーアルバムを携えたツアーが秋にスタートしますが、最後に意気込みを聞かせてください。

柳田：神サイとして初のホールツアーになるので、見せ方などはしっかり考えたいと思っています。単独だと昨年7月にLINE CUBE SHIBUYAでホールライブを経験しているので、そこで掴んだ「戦い方」を踏まえつつ、よりクオリティの高いパフォーマンスを見せられたらいいなと。神サイは広いステージが似合うバンドだと自負しているし、前回のZeppツアーとはまた一味違う見せ方をしていきたいと思っています。僕ら、ツアーごとに全く違う景色が見せられるバンドを目指しているので、今回もぜひ期待していてください。

■リリース情報
神はサイコロを振らない
Digital Single「修羅の巷」
TBS系日曜劇場『ラストマンー全盲の捜査官ー』挿入歌
4月30日（日）Digital Release
https://kamisai.lnk.to/shuraPR

■ドラマ情報
TBS系日曜劇場『ラストマンー全盲の捜査官ー』
放送中
出演：福山雅治　大泉洋　永瀬廉（King & Prince）　今田美桜　寺尾聰　吉田羊　上川隆也　ほか
脚本：黒岩勉
https://www.tbs.co.jp/lastman_2023_tbs/

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