MyGO!!!!! 初のリアルキャストお披露目で迎えたターニングポイント 『バンドリ!』発の最新バンドが巻き起こした熱狂

 『BanG Dream!』(以下、『バンドリ!』)プロジェクトから生まれた、“現実(リアル)と仮想(キャラクター)が同期するバンド”MyGO!!!!!。これまではそのキャラクターのみが公開され、リアルライブではキャストが誰なのかは伏せられ、ステージ上も顔がはっきりとわからない中でステージが展開されてきた。4月9日にTACHIKAWA STAGE GARDENで開催されたMyGO!!!!!の4th LIVE『前へ進む音の中で』もアンコールまではそのスタイルに沿った形でライブが進行したが、YouTubeを通じて生配信されたアンコールにてその全貌が明らかになると、会場の空気は一変。幸福感と祝福の空気に包まれる中、バンドとして大きなターニングポイントを迎えたと同時に、新たな第一歩を踏み出すこととなった。

 MyGO!!!!!の単独公演として初の“声出し”解禁ライブとなったこの日。ステージの前に紗幕が下ろされた状態で公演はスタートする。雑踏をイメージさせる映像とSEが流れる中、高松燈(Vo)の朗読が始まり、その言葉の一つひとつが紗幕にも投影されていく。「声を抱えて生きる」という力強いメッセージはそのまま、オープニングナンバー「名無声」へとつながっていき、青いペンライトで染め上げられた会場に、前のめりで焦燥感の強いバンドサウンドが響き渡る。ボーカルの燈がやわらかながらも芯のある歌声を響かせる中、上手にリードギターの要楽奈、下手にサイドギターの千早愛音、その後方にリズム隊の長崎そよ(Ba)&椎名立希(Dr)が構え、力強いメッセージを鋭角的なバンドサウンドで支えていく。

羊宮妃那

 燈の「皆さんこんばんは、MyGO!!!!!です。今日はよろしくお願いします」を合図に「ティアドロップス」へと続くと、その荒々しくも繊細なバンドサウンドとともにバンドリーマー(『バンドリ!』ファン)の熱気は急加速。ギターソロでは楽奈&愛音の2人がお立ち台に上がり、パワフルなプレイを披露する。紗幕でステージが覆われているものの、その立ち振る舞いからメンバーの躍動感とライブを楽しんでいる様子は十分に伝わってきた。

青木陽菜

 2曲終えたところで、この日最初のMCが始まる。ここではサイドギターの愛音を中心にトークが展開され、各メンバーの自己紹介や観客への質問などで場の空気が和らいでいく。その流れから突入した「影色舞」ではダンサブルなビートに合わせて、カラフルでキラキラした照明が会場を照らし、サビではオーディエンスが手を左右に振って一体感を高めていく。かと思えば、続く「潜在表明」ではダークな照明の中、ポエトリー調のボーカルに乗せられた力強いメッセージとヒリヒリしたバンドサウンドで観客を圧倒。また、この日初披露の新曲「無路矢(のろし)」では燈と楽奈のツインボーカルが美しいハーモニーを奏で、壮大なアンサンブルに華を添える。エモーショナルな新曲の余韻に浸っていると、間髪入れずにアッパーな「二息歩行 (Reloaded)」へとなだれ込み、光と影を強調させた照明演出とともにこの日何度目かのクライマックスを迎えた。

立石凛

 再びMCを挟んだあとに、この日がライブ初披露のカバー曲「Henceforth」へ突入。伸びやかなボーカルに鋭角的なギターサンドが絡み合うことで唯一無二の世界観を構築すると、「猛独が襲う」ではバンドの放つ熱量がさらに加速していく。また、愛音が「最後まで皆さんの全力の声を聞かせてください!」と呼びかけると、疾走感の強い「swim」でさらに高揚感が湧き上がり、バンド初のオリジナル曲「迷星叫」でその熱量はピークに到達した。

 燈が「次が最後の曲です」と告げると、客席からはバンドリーマーの「えーっ!?」という声が湧き起こる。すると、彼女は「(両手で作った)バッテンと『えーっ!?』っていう声、ありがとうございます」と答え、会場は自然と柔らかな空気に包まれていく。そして、「エールを届けてくださる皆さんの想いがあって、私たちMyGO!!!!!は今ここに立てています。これまでとこれからの感謝の気持ちを込めて、この5人で曲を届けます」とメッセージを伝えて、本編ラストを飾る「音一会」がスタート。ドラムの立希が叩き出す激しい2ビートに乗せて、そよは流れるようなベースフレーズを重ねていく。その上で楽奈&愛音の激しくもメロディアスなギターが奏でられ、燈は時に独白のように囁き、時に感情を爆発させるように素直な歌声を響かせる。また、時には5人のボーカルが美しいハーモニーを生み出しながら、バンドリーマーに向けて〈ありがとう〉と感謝の気持ちを歌と演奏で届け、ドラマチックなエンディングを迎えた。

林鼓子

関連記事