week dudus、小学5年生からスタートしたHIPHOP人生の転機 本名を冠した最新作『KAZATO』に込められた意志
今回の作品で遊びが仕事に切り替わった
ーーここからはEP『KAZATO』について伺っていきます。制作はどのように進めていったんですか?
wd:この『KAZATO』が一発目という意識で、改めて名刺代わりになるものを作りたいなと思ったんです。作り方は今までと同じで、たくさんデモを作ってそこから選んでいくような形にしました。最初に4、5曲入りのEPを設定した時に、だいたい5分の1か、4分の1くらいの数から選べたら良いなというのが自分の中にあって。なら25曲くらいはデモが必要なので、まずそれを作っていく作業ですね。デモもフリースタイルで録ったり、完全に宇宙語というか、フロウだけを入れたものもあるんですけど、そこからバランスを考えて絞っていきました。
ーー1曲目「One」はレイジっぽさも感じるビートですね。どのような想いを込めましたか?
wd:この曲はマジで幕開けって感じで。聴いてくれた人が「始まったな!」って感じてくれたら嬉しいですね。
ーー2曲目「KAKAKAKA」は首が振れるような曲ですね。歌詞には活動が始まった頃を思い出すような描写もあり、〈誇りも一旦掃除〉というラインなど初心に帰っているのが印象的です。
wd:自分はまだ若いですし、長い目で見たらまだまだ先がある。まだ始まっていないというくらいの意識なんです。あと今回の作品で、遊びが仕事に切り替わった感覚があって。
ーーそういった感覚になるきっかけがあったんですね。
wd:今までは自分たちの仲間と一緒に動いていたんですけど、今いるレーベルのチームで動く感覚になってから変わりました。以前は良くも悪くもというか、良いことでしかないとは思うんですけど、全然緊張しなくて。逆にそれで悩んだりしていたんですけど、今は良い緊張感がある。メリハリじゃないですけど、家で作って、外では緊張感を持っていられるし、音楽を仕事にしている感覚があります。曲を作っているときはもちろん遊びの延長線上で、その感覚は変えずにいるんですけど、曲を聴いてもらうのは大人なので。気楽には聴かせられないというか(笑)。
ーーちなみに事前にいただいている資料には、このEPを作っているときジム通いをしていたとありますが通い始めたのは最近ですか?
wd:去年くらいからですね。もともとそんなに体力がある方ではなくてライブで酸欠まではいかないですけど、途中で疲れてしまうことがあったんです。ライブの時間も長くなってきているし、まずは身体作りから始めようと思って。
ーーやはりライブの重要度は高いですか?
wd:重要ですね、気持ちを上げてくれます。お客さんが少ないところでライブする機会もこれまであったりしたんですけど、お客さんが多い、少ないは関係なく、単純にステージに立つとモチベーションが上がります。
ーー3曲目の「Life is Beautiful」はタイトル通りポジティブな一曲です。『グランド・セフト・オート・バイスシティ』(以下、『グラセフ』)を絡めたワードプレイも面白いです。
wd:『グラセフ』は僕より世代が若干上の人たちの間で流行っていたと思うんですけど、中学校の時とかはほぼ毎日やっていて。同級生とやるというより、オンラインでずっとやっていましたね。
ーーゲームもお好きですよね。
wd:最近だと『荒野行動』をずっとやっています。寝る前にやることもあるし、朝起きて一発目でやることもあって(笑)。良い時間になっているかはわからないですけど、リフレッシュにはなっています。それに歌詞が書けなくなることはザラにあって、そういうときは一旦作業をやめてゲームをやりますね。それからまた始めると、スルスル書けたりするんです。
ーーじゃあ息抜きだけでなくインスピレーションを刺激してくれるものでもあるんですね。ちなみにジムでのトレーニングもリフレッシュするタイミングにもなると思うんですが、トレーニングやゲーム以外に生活の中で重要な要素はありますか?
wd:うーん......セックスですね。
ーー(笑)。次の曲「CHANGARA」はタイトルから特徴的です。これは方言ですかね?
wd:方言なのかはわからないんですけど、他人に対して使うときは「役立たず」という感じで、小さいときから使っていた言葉ですね。親が結構口が悪くて、今では差別用語とされる言葉も普通に使うような人たちで。自分にもその影響があるかもしれないです。
ーー「CHANGARA」はアフリカンなノリがあって、これまでの代表曲の一つ「Skip To Ma Luuuu」を更新するような意識も感じました。
wd:それはめっちゃありました。ビートがここ最近で一番好きで、良い感じにできたなと思います。ビートの好みはもちろんあるんですけど、それを言語化するのは難しいんですよね。
ーーフロウの乗せ方もバッチリはまっています。
wd:自然とビートに一番合った乗せ方がそれでしたね。ラテン系というか、アフリカンな音楽は高校生くらいのころからちょくちょく聴いていて、最近になってめちゃくちゃ聴くようになったんです。ビートのウワモノを中心に聴きますね。
ーーUKドリルにも近い感覚があります。
wd:結構聴いているかもしれないです。SLが好きですね。