チョーキューメイ、圧倒的なボーカル&演奏力を体感 『LOVEの飽和水蒸気量』ツアーで発揮した無限のポテンシャル

 ギターロック、ファンク、ジャズ、ラテンなどのテイストを自由に取り込んだ音楽性、卓越した演奏テクニックに裏打ちされたバンドサウンド、そして、ボーカル・麗(Vo/Gt/Vn)の圧倒的なボーカリゼーション。チョーキューメイは東名阪ツアー『LOVEの飽和水蒸気量』東京公演で、バンドとしての無限のポテンシャルを示してみせた。

 浮遊感が漂うSEとともに、れんぴ(Key)、藤井ごん(Ba)、空閑興一郎(Dr)がステージに上がる。続いて麗が登場し、横一列に並んだ状態で「孵卵」からライブはスタートした。ドラム、ベース、シンセによる洗練されたアンサンブルとエキゾチックな旋律が響き合い、観客はゆったりと身体を揺らし始める。さらに麗がギターを持ち、〈狭い狭いこの世界は私の箱庭なの〉と歌う「眠れる姫」へ。アカペラからはじまった「リンカーネーション」では麗がバイオリンを弾き、深遠な恋を描いた歌詞をーー美しいファルセットとともにーー際立たせる。「海の見える街へ。少女はこの海が大好きだった」という語りに導かれたのは、鮮烈な青春のイメージを映し出すアッパーチューン「She Side Blue」。冒頭4曲だけで、このバンドが持つ豊かな音楽性と高い演奏能力がはっきりと伝わってきた。

麗(Vo/Gt/Vn)

 
 「『LOVEの飽和水蒸気量』ツアーの東京公演にお越しいただき、ありがとうございます! こんなにたくさんの人が来てくれてうれしいです!」という麗のMCを挟み、今年1月にリリースされたEP『LOVEの飽和水蒸気量』の楽曲が続けて演奏された。

 心地よいファンクネスを感じさせるベースラインを軸にした「心を照らせ!」では、麗の強靭でしなやかな歌声が高らかに響く(麗がバイオリンを弾いた間奏の“キメ”もカッコいい)。 空閑、麗のツインボーカルによる「溶けた魔法」は、夏の爽やかな風を想起させるサウンド、〈一生このままでいいよ 二人きり〉というラインが有機的に結びつき、疾走感に貫かれた「燃え尽きろ君の命」では曲が進むにつれて歌のテンションが上がり、“夢に向かって突き進みたい”という強い意志が真っ直ぐに伝わってきた。クラシカルなピアノからはじまる「最終列車で君に会いにゆく」は、巧みなコード構成や転調を取り入れたポップチューン。ロマンティックな恋愛をモチーフにした歌詞を含め、チョーキューメイの高いポップセンスが感じられる楽曲だ。

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