NEWS、アルバム『音楽』続編で14作連続1位獲得 “愛され歌謡”のツボを押さえたヒロイズムによる楽曲

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2023-03-27/

 3月最終週付けのオリコン週間アルバムランキング。10位圏内すべてが初登場となるフレッシュな顔ぶれで、その中にはスマホゲーム『バンドリ!ガールズバンドパーティ!』の新バンド・Morfonica、アニメ『銀魂』の第5弾ベストアルバム、2.5次元ミュージカル『刀剣乱舞〜江水散花雪〜』から誕生したユニット・刀剣男士 formation of 江水散花雪など、多種多様な顔ぶれが。音楽ランキングであると同時に、どんな企画やコンテンツの支持層がCDを購入しているのかがわかる内容でもあります。

 そういうチャートによく知ったグループの名前があると安心します。1位はNEWS。EP『音楽 -2nd Movement-』は10.8万枚のセールス。1stから数えて14作連続1位獲得というのは、KinKi Kidsと並ぶ歴代3位タイの記録だそうです。

 タイトルが示すように、今回の『音楽 -2nd Movement-』は昨年登場したアルバム『音楽』の続編。3人体制となって初となるアルバムで真正面から『音楽』に向き合った彼らの、さらなる続きが感じられる7曲入りです(通常盤)。オープニングは加藤シゲアキの言葉を松たか子が朗読したインタールードで、これは前作にも効果的に散りばめられていたもの。松たか子の柔らかな声で響く〈これからも歌い続ける。僕の内側に、音楽がある限り〉との言葉は、3人の意思表示でもあるのでしょう。

NEWS - 「音楽」 -AFTER BREATH- Digest

 重要なのは、NEWSにとっての音楽が、長く愛される普遍性と大衆性、一緒に歌いたくなる楽しさや明るさを持ったスタンダードポップスであること。伝統のジャニーズ歌謡……と言いたいところですが、いまや方向性はひとつではないので、ここは「カラオケで歌うのが最高に気持ちいい熱唱ソング」と呼びましょう。凝ったミュージカル風、派手なロック調、応援歌や王道のバラード。どれも全力の歌唱が印象的。決して新しいわけではないですが、音楽はそこだけを基準に選ばれるものではない。初めて聴くのにどこか懐かしい、なんだか知っている温度や匂いが感じられる。これは優れたポップスの条件のひとつです。

 音数を最低限まで削ぎ落とし、巧みなフロウでグルーヴを作り、囁き声、濁音と破裂音(たとえば「Da」や「Pa」の連呼)で耳を惹きつけていくK-POPスタイルの楽曲は、もちろんトレンドだけあって超クールです。ただし、子供から大人までが口ずさんでしまう歌謡曲に欠かせないのは、耳に残るメロディであり、華々しいアレンジであり、問答無用にアガるテンションの高さだったりします。『音楽 -2nd Movement-』は後者を完璧に押さえている。時代に沿って変化するジャニーズグループも少なくない中で、これは少々驚きの路線でした。

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