TOMOO、れん、ヤングスキニー、Skaai、DURDN……幅広い音楽性の5組が会場を魅了 『Spotify Early Noise Night #15』レポ

『Spotify Early Noise Night #15』レポ

 続いてはバックトラックのみで映像を背負ってパフォーマンスした、れん。1曲目は2021年リリースの初オリジナル曲「嫌いになれない」で、ジェンダーレスだが声量が上がると独特の迫力を纏う声に圧倒される。2曲目の「緋寒桜」から背景いっぱいに映像が投影され、女性視点と男性視点の歌詞の曲が作り出す演劇的なムードが特徴的である。ストーリーを声の表情で疑似体験させる力はアデルやSiaを想像させる部分もあり、19歳の男性シンガーソングライターというイメージをいい意味で裏切ってくれる。MCでは観客のリアクションがあるライブを喜んでいた彼だが、緊張感のあるライブスタイルゆえに最低限の発言ですぐ曲の世界に戻る。なとりのカバー「Overdose」をれんならではのセンシュアルな歌唱で聴かせたかと思ったら、ギターを弾きながらスケール感のあるミディアムロックチューン「最低」を歌い、軽々とジャンルを超えていく。ラストは4月リリース予定の新曲「変わりゆく季節」。命や生きることについて歌うこの曲は次のブレイクポイントになりそうな存在感を放っていた。

 緊張感のあるいいライブが続き、大トリのTOMOOが登場。なんと単独公演並みのホーン隊4人も含むフルバンドを率いた本格仕様だ。ホーンアレンジを加えたイントロからグルーヴィなポップナンバー「HONEY BOY」ではハンドマイクで大きなアクションを見せながら歌う。そして彼女のベーシックな音楽的な魅力が詰め込まれた「オセロ」と、いずれもTOMOO最大の特徴であるアルトボイスが明るい曲調にオリジナリティの筋を一本通す。MCでは何年も前から『Early Noise』に憧れていたと言い、初心を示す意味合いで「レモン」を披露。最近の楽曲よりグッとシンプルだが、洋楽的なエバーグリーンソングを作り続けてきた彼女の持ち味が伝わった場面でもあった。その後はセッションを挟み、ピアノプレーヤーとしての実力も垣間見せ、代表曲「Ginger」、そして、形にするのに時間がかかったという思い入れのある新曲「Cinderella」を3リズムとともに披露。重めのピアノリフが特徴的で、音をしっかり重ねていく壮大な楽曲だが、彼女の迫力のある歌声にはむしろ似合っており、心情と具体的な街の描写も際立ち、素晴らしかった。この曲があらゆる世代のリスナーの心を撃ち抜いていくだろう。

 冒頭にも書いたが、ジャンルの振り幅は広いものの、各々、パーソナルな個性が強いアーティスト揃いなだけに、訪れたオーディエンスは無意識で楽曲や世界観に魅了されていた様子。楽曲そのもので支持が左右されるストリーミング時代のヒットだが、ライブに触れることはさらにその先の豊かな循環を起こしていくはずだ。

■セットリスト
<DURDN>
1.WARUNORI
2.All of You
3.捨てたらいい
4.My Plan
5.忘れたいね

<Skaai>
1.BEANIE
2.Period.
3.Laws of Gravity
4.FLOOR IS MINE
5.HOMEWORK
6.I TASTE YOU
7.Nectar.

<ヤングスキニー>
1.コインランドリー
2.ゴミ人間、俺
3.美談
4.本当はね、
5.らしく

<れん>
1.嫌いになれない
2.緋寒桜
3.空っぽ
4.Overdose ※未配信
5.最低
6.変わりゆく季節 ※未配信

<TOMOO>
1.HONEY BOY
2.オセロ
3.レモン
4.Ginger
5.Cinderella

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