King & Prince、両A面シングル『Life goes on/We are young』がミリオン記録 2曲に共通する力強く前向きなメッセージ
一方で「We are young」は、ゆったりとしたテンポ感の上で繰り広げられる優しいメロディが印象的な一曲。作詞家のいしわたり淳治が手掛けたこの曲の歌詞は、〈選んだ道がきっと/君の背中を押すよ〉とストレートに聴き手を励ましている。
この曲の特徴は、〈躓いて傷つくのは/見えない明日へと踏み出すから〉や〈迷う時は険しい道へ/今日よりも若い日は来ないから〉といった一節にもあるように、現在感じている痛みや迷いを“ロジカル”に肯定している点である。躓くのは踏み出しているからであり、迷うのは若いからだと。苦しみや葛藤を感じるのは、当然のことなのだと諭している。
そしてこのメッセージを分かりやすく象徴しているのが2番の〈We are wrong, we are wrong〉というフレーズだ。おそらく「youngとwrongって似てるよね」という発想からスタートしたと思われるが、その視覚的〜聴覚的なアイデアを、一曲の“ロジカル”な歌詞へと落とし込み、最終的にはその曲を“今最も歌うべき存在”に当て書きしている。そうした論理性と必然性がこの曲には備わっていると感じた。
今回の両A面は、ある意味で近いことを歌っている。どちらの歌詞にも「躓く」という言葉が使われており、それを乗り越えて未来へ進んで行こうという力強く前向きなメッセージだ。
だが、その表現方法は大きく異なる。聴くだけで理由もなく明るくなれるというのも確実にポップミュージックの持つべき機能の一つだし、後者のようにある種論理的に聴き手を説得し、エンパワーメントするのも音楽の持つべき役目の一つ。
その2曲を、元々は2つのユニットから結成されたKing & Princeという二面性を持ったグループが、今しかない絶好のタイミングで歌い分けているのが痛快なのである。