CYNHN、女子流、フィロのス、リリスク、STU48……『アイドル楽曲大賞2022』体制変更や時流を追い風にできたグループが上位に

7位 超ときめき♡宣伝部「STAR」

超ときめき♡宣伝部 / 「STAR」Music Video

宗像:去年「すきっ!」がTikTokでバズった後に上手く導線を引いてファンを増やしていき、10月には幕張メッセ 幕張イベントホールでのワンマンライブを成功させた。ここまで順調な広がり方は珍しいと思うんですよね。その魅力の広げ方、ファンの掴み方がうまくいっているグループだと感じます。

岡島:インディーズ部門の1位であるFRUITS ZIPPERがまさにそういう形になっていますが、コロナ禍以降でライブの動員力を上げていく方法論がなりたたなくなってきたところでSNSを上手く使っている、規模感が上がっているのを感じます。

8位 わーすた「マッシュ・ド・アート」

わーすた(WASUTA)「マッシュ・ド・アート」(Mash’d Art)

ピロスエ:これはMVについての話ですけど、動画編集画面をそのまま映すような演出はモーニング娘。’22「Chu Chu Chu 僕らの未来」のMVにも見られたんですよね。10代、20代ぐらいの子たちにとっては、TikTokなどのSNSで自分で編集して動画をアップする文化が当たり前になっている。2022年の表現方法として、そういったカルチャーがリアリティの一つとしてあるんだろうなと思いました。

ガリバー:2021年の大晦日に坂元葉月さんが卒業して4人になってからは、特段目新しいことをやっているとは感じなかったのが正直な印象ですが、この曲はアルバム『我々はネコである。』のリード曲なんですよね。毎年『アイドル楽曲大賞』の上位に曲が入ってくるのは、わーすたのすごいところだと思っています。

10位 私立恵比寿中学「ハッピーエンドとそれから」

【MV】私立恵比寿中学「ハッピーエンドとそれから」

12位 私立恵比寿中学「ヘロー」

【MV】私立恵比寿中学「ヘロー」

18位 私立恵比寿中学「Anytime, Anywhere」

【MV】私立恵比寿中学「Anytime, Anywhere」 【リリックビデオ】

宗像:石原慎也(Saucy Dog)さんが書いた「ハッピーエンドとそれから」は、アイドルがシャッフルビートを歌うことが最高に気持ちいいですね。「Anytime, Anywhere」は、JACKSON 5 「 I Want You Back」を踏襲しているかのような、軽やかなソウル。そして「ヘロー」もソウルで、僕の好きな曲を書いてくれてありがとうって感じですね。

岡島:2022年4月に柏木ひなたさんの“卒業”が発表されて、12月に幕張イベントホールで卒業式が開催され、その翌日のライブから桜井えまさん、仲村悠菜さんを加えた新体制でのエビ中が本格的にスタートしています。メンバーの入れ替えが起こった、グループとしては激動の年という印象です。

ガリバー:柏木さんの卒業に並行して15歳の若いメンバーが2人入った。曲調も新メンバーに合わせたりしてもおかしくはないですけど、「ヘロー」とか全くその兆しがないのが、エビ中の軸のブレなさを表していて素晴らしいと思いました。

14位 ウマ娘 プリティーダービー「うまぴょい伝説」

ピロスエ:『アイドル楽曲大賞』ではその年の『TIF』に出たグループはとりあえず全部ノミネートリストに入れているんですよ。『TIF』には多様なアイドルが出演している。「インディーズ部門よりメジャー部門の方が5曲挙げるのが難しい」というようなツイートをよく見かけるんですけど、そういう人がなんとか選ぼうとしてリストを見た時に知っている1曲として「うまぴょい伝説」に入れた人が意外と多くて、そんな票が積み重なっての14位になったんじゃないかな、と予測しています。

ーー「うまぴょい伝説」の最初のリリースは2016年ですが、『ウマ娘 プリティーダービー』では定期的に発売されている『WINNING LIVE』シリーズに毎回ボーカル(CV)違いの「うまぴょい伝説」が収録されています。

17位 乃木坂46「Actually...」

乃木坂46『Actually...』

ガリバー:2022年は坂道グループ全体としても17位がランクイン最上位となりました。坂道グループに関してはグループ外に波及する力のある曲が出る年はちゃんとランキングに上がってくるんですよね。2020年には乃木坂46の「I see…」が3位に入っていました。2022年は、坂道グループの実情として楽曲の魅力を外に打ち出せていなかったと思っています。ファンの母数が多い乃木坂46が「Actually...」で、センターとしても、サウンド面でも実験的なことをしようとしたんだけれど、5期生加入の際の騒動により当初のMVが公開されない等、正当な評価はされなかった。結果として、この17位に落ち着いているのは面白いなと思っています。これは後ほどの、LE SSERAFIMとかNewJeansの話に繋がってくると思うんですけど、いまさらではありますが真面目に楽曲に力を入れないと、今の坂道グループの相対的なポジションというのは案外あっという間に危うくなる可能性があると思います。2023年のリリースとしては、まずは櫻坂46の「桜月」がありますが、乃木坂46でいうと齋藤飛鳥さん、秋元真夏さんが卒業して、本格的に3~5期生以降のグループになっていく。目まぐるしく音楽シーンは変わっているので、曲をしっかりしていかないと取り残されてしまうんじゃないかと危惧しています。

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