日向坂46、四期生12人が全力で挑んだ『おもてなし会』 初々しくも垣間見せた“背中を押すアイドルとしての姿”

 また、今回の『おもてなし会』では、けやき坂46時代からの伝統パフォーマンスを先輩メンバーから継承するというコンセプトが存在していた。マーチングドラムに、カラーガード、ダンスパフォーマンス。言わば先述したミニライブも、れっきとした継承の一つである。さらには私服ファッションショー、いきなり即興劇まで。合宿でバラエティの研修として大喜利に挑戦していた四期生は、まさに日向坂46に憧れて入ってきた新世代。この日は、石塚と清水、岸帆夏と宮地、小西と正源司のペアが2分間の芝居を披露していた。印象的だったのが石塚と清水の即興劇にコメントを求められた際の平岡海月の一言。お題には「英語しかしゃべれない場所」という条件が入っていたものの、緊張していた2人はほぼ日本語のまま芝居を進めてしまっていた。本人たちを含め、おそらく観ているほとんどの人が気になっていた部分を、「吹き替えになっていたということで」と優しくフォローしていたのは、年長者であり四期生のまとめ役というのが見えた一幕だった。

 もう一つ、心に残ったのが公演終盤のメンバー一人ひとりの挨拶のなかで、正源司が話した「どんなアイドルになりたいか」への答えだった。人生は選択の連続であり、迷っている人はたくさんいる。彼女自身もそうだった。「背中を押していけるアイドル。私はそういう時に、隣に誰かがいてほしかったんです」と正源司は、会場のおひさまに語りかける。過去、彼女にあった出来事はドキュメンタリーの中で明かされているが、だからこそ正源司は一貫して苦しい思いをしている人の背中を押して、一緒に手を繋いで前を向いていけるようなアイドルになりたいと誓う。2月14日で16歳になったばかりの正源司。加入当初から抜群のセンスや価値観を発揮してきた彼女は、日向坂46に新たな風を吹かせてくれる予感がする。

 一方で厳しい目線で言及すれば公演中にミスが目立っていた部分も多々あり、先述した一人ひとりの挨拶でもほとんどのメンバーが泣き出してしまうのは初々しさが残るところ。捉え方を変えれば、感情が豊かになった12人がそれほどまでにこの『おもてなし会』に向けてレッスンを積み重ねてきたという証拠でもある。

 〈似てるような 全然似てない〉四期生12人は、これから日向坂46の32人としての一端を担っていくこととなる。空色、さらには虹色が人それぞれに思い浮かべる色が違うように、四期生が加わったことで日向坂46もまたグループが持つグラデーションを深めていくはずだ。

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