バッド・バニー、BLACKPINK……非英語圏アーティストの躍進が目覚ましいコーチェラ 世界的フェスのラインナップ傾向も

 日本時間の1月11日に『Coachella Valley Music and Arts Festival』(以下、『コーチェラ』)のラインナップが発表された。カリフォルニア州インディオのコーチェラバレーで開催される世界屈指の音楽フェスティバルであるが、今年は4月14日〜16日、4月21日〜23日(現地時間)まで世界から多くのアーティストがパフォーマンスを披露する。バッド・バニー、BLACKPINK、そしてフランク・オーシャンがヘッドライナーを務める2023年の『コーチェラ』であるが、今年のラインナップからわかることを紹介したい。

 まず感じるのが、ヘッドライナーのグローバル化であろう。ヘッドライナー3組のうち、バッド・バニーとBLACKPINKは非英語圏のアーティストである。2019年にも出演したBLACKPINKは、K-POPアーティストおよびガールズグループ初の『コーチェラ』ヘッドライナーであり、歴史的快挙となった。バッド・バニーはスペイン語の音楽を世界的に広めたアーティストとして讃えられており、2020年と2021年にはSpotifyで最もストリーミングされたアーティストになった。また2022年には4thアルバム『Un Verano Sin Ti』をリリースし、同年の『Apple Music Award』でアーティスト・オブ・ザ・イヤーを受賞、主要海外メディアの年間ベストでも上位に数多く選出されているほか、来たる『第65回グラミー賞』では最優秀アルバム賞にノミネートされている。

BLACKPINK - ‘Pink Venom’ M/V
Bad Bunny - Tití Me Preguntó (Video Oficial) | Un Verano Sin Ti

 また、2日目にはBLACKPINKの次にスペインのロザリアの名前が挙がっている。ロザリアは2022年にリリースした3rdアルバム『Motomami』が高く評価されており、2019年にはスペイン語で歌うアーティストとして初めて『グラミー賞』最優秀新人賞にノミネートされた。2022年は英語圏以外の音楽が世界で活躍した年であり、Apple Musicの2022年に最も再生された楽曲ランキングでも、トップ100のうち非英語圏の音楽が21曲ランクインした(※1)。2021年に比べて2倍以上の数になっており、今年の『コーチェラ』ではその流れが反映されている。

ROSALÍA - SAOKO (Official Video)

 3日目にフランク・オーシャンがヘッドライナーを務めることもあり、新作をリリースするのではないかと考えているファンも多いようだ。2016年に『Blonde』をリリースして以来アルバムをリリースしていないフランク・オーシャンであるが、その間も根強い人気を誇っていることがわかる。フランク・オーシャンは2017年以降、公でパフォーマンスを行っておらず、2020年に『コーチェラ』でヘッドライナーを務める予定であったがパンデミックの影響で開催がキャンセルとなった。2021年にはフランク・オーシャンが2023年のヘッドライナーを務めるという異例の発表があった。

 今年の傾向として、ヒップホップのアーティストが例年よりも少ないという印象を受けている音楽ファンも多いだろう。そんな中で、2022年にリリースしたアルバム『It’s Almost Dry』が高評価のプシャ・T、アンダーグラウンドシーンで巨大なファンベースを持つ$uicideboy$、エイ・ブギー・ウィット・ダ・フーディ、メトロ・ブーミンなどのヒップホップアーティストがラインナップの2列目に登場しているほか、ラトー、ドーチ、フロー・ミリ、ノーネーム、グロリラなど女性ラッパーの存在も目立つ。

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