クリープハイプ、声と音楽で体感するバンドの軌跡 細部にまで“らしさ”が詰まった10周年記念展示会レポ

 さらに進むと、部屋の片隅にゴミ箱が。蓋を開けてみると、中からメンバーも存在を知らなかったというデモ音源が聴こえてくる。レアものを発掘し耳を澄ませるという、胸が高鳴る仕掛けだ。

 同じ部屋には冷蔵庫や電子レンジ、薬缶や照明、扇風機など、様々なオブジェクトが置かれているが、それら全てからクリープハイプの声を聞くことができる。「声を冷やす」と書かれた冷蔵庫を開ければ、中から「しらす」が聞こえてくる。「声を温める」と書かれた電子レンジを開けると〈君は電子レンジより電子レンジだな〉と歌う「コンビニララバイ」が流れる。これまで日常にある身近なものを用いて歌詞を描いてきたクリープハイプだが、そんな歌詞が実際の物体と連動して聴こえてくる経験は新鮮だ。さらに薬缶から聞こえてくるのはお湯を沸かしたときの音を尾崎が真似たもので、扇風機も同様に羽が回る音を尾崎が真似たものという、ここでしか聞けない声もある。

 さらにキャビネットの引き出しには「恋と愛の違い」「小川幸慈が誰にも言えない秘密」「長谷川カオナシがのど自慢に出た時に歌いたい曲」などとラベリングされており、その引き出しを開けることでラベルに対しての回答を聞くことができる。家電やキャビネットのあるこのブースは展示全体の中でも人が多い印象があったが、引き出しを開けて耳を澄ませることで自分だけが秘密を聞いているような体験ができるのも魅力的だ。

 その部屋を後にすると、なにやら受話器や笠のようなものが多数ぶら下がっているブースにたどりつく。受話器を持ち上げて耳に当ててみると、まるでメンバーが電話応対してくれるようなリアクションを見せ、笠を被ると尾崎の歌声が降ってくるのを体感することができる。

 さらに歩を進めると、メジャーデビューしてからの10年で尾崎がライブで口にした「ありがとう」の数々を聞きながら、その歴史をたどることができる。10周年記念イベントということもあり「ありがとう」の軌跡に温かい気持ちになるが、展示にはまだ続きがある。

 最後の部屋に足を踏み入れると、数々のメガホンと「声に撃たれる」の文字が。PUSHのボタンを押してみると、メガホンから4人それぞれの声で「余計なお世話だよ、ばーか!」と言われる。感謝で終わらないこの展示にはクリープハイプの4人が持つ茶目っ気のようなものも表れているようで、この終わり方に彼ららしいと微笑んだファンも少なくないのではないだろうか。

 ここで展示は終了だが、物販コーナーにてグッズの販売もある。ここにも声の仕掛けはあって、PayPayにて支払うと決済完了のボイスが尾崎の声になっているという。

 クリープハイプの歌声から話し声までを存分に浴びることができる『クリープハイプの声をシャワーのように浴びる展』。これから展示に向かう方は、隅々まで工夫が凝らされている展示物とともに彼らの“声”を存分に楽しんでいただけたらと思う。

■イベント期間
『クリープハイプの声をシャワーのように浴びる展』
2023年2月11日(土)〜 2023年2月26日(月)11:00-20:00
※2023年2月15日(水)は休館日
※入場は閉場時間の30分前まで
※最終日は18:00閉場

営業時間は感染症防止の観点から変更となる場合がございます。詳しくは名古屋PARCOのホームページをご確認ください。
名古屋PARCO公式サイト:https://nagoya.parco.jp/

PARCO GALLERY(NAGOYA)(名古屋PARCO 西館6F) 名古屋市中区栄3-29-1
入場料:1,000円(税込)
※入場特典としてメンバーの撮り下ろし音源コメントにアクセス可能なQRコード入りの「ポチ袋」付きです。(※チケット1枚と引き換えに1枚配布します。種類はお選びいただけません。)

※入場は予約制です。詳しくはチケット販売サイトをご確認ください。
※小学生以下無料
※株主優待含む割引対象外
●チケット販売:https://eplus.jp/creephyp_exhibition/
2023年1月21日(土)12:00より上記URLにて先行抽選販売開始
※受付期間:2023年1月21日(土)12:00~1月25日(水)23:59

主催
PARCO/UNIVERSAL MUSIC
企画制作
PARCO/CHOCOLATE
機材協力
YAMAHA

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