シユイ×ryo(supercell)『機動戦士ガンダム 水星の魔女』EDテーマ対談 “しがらみからの脱却”を目指して引き出された歌の個性

「第2話を見て『水星の魔女』のために作られた曲だと確信した」(シユイ)

ーーシユイさんはどうでしょうか? もちろん世代も含めて、何もかもryoさんと異なる触れ方だったと思いますが。

シユイ:伝説のアニメ、という印象でした。家族が好きだったので、実家には『ガンダム』のプラモデルがあったり、シールなどもあったような気がします。もともと自分自身が、機械やメカ系に苦手意識を持っていたこともあり、自分には馴染みのないものだと思っていました。

ーー実家にはファンの方がいたんですね。

シユイ:(エンディングを担当すると決まって)父がものすごい喜びようでした。毎日インターネットで調べて、ワクワクしながらアニメの放送を待っていたようで、少しは親孝行になったのかなと。なので、今回のメジャーデビューについては、家族に報告した時が一番印象に残っています。

ーー身の回りのお知り合いの皆さんの反応などはどうだったんですか?

シユイ:友達にはあまり言っておらず、特に近しい人のみに伝えました。みんな喜んでくれて、発売されてから「CD買ったよ」と報告してくれたりして、すごく嬉しかったです。

ーー実際に『水星の魔女』をご覧になった感想はどうでしたか?

シユイ:私の勝手にイメージしていた『ガンダム』像が、全くいい意味で裏切られたと思いました。学園ものだとしても、『ガンダム』といえばメカが前面に打ち出されているものだと想像していたんです。しかしキャラクターは全員個性的でかわいいし、かっこいいし、ガンダム・エアリアルもスタイリッシュでなんだかきれい……という印象になったんです。学園ものではありながらガンダムシリーズのよさである対立構造を持ったストーリーもしっかりとあり、夢中になりました。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』ガンダム・エアリアルPV

ーーその作品内でご自身が歌うエンディング曲が、アニメーション映像とともに流れた際には、どんな感慨があったのでしょうか。

シユイ:まだ「君よ 気高くあれ」の流れない第1話を見た段階でも、エンディングテーマにぴったりの楽曲になったと感じていました。そして、ついに第2話で楽曲が初解禁された時は、テレビの前で息もできずに、一人で呆然と聴いていましたね。〈君よ 気高くあれ〉というフレーズがアニメの心臓部分にピッタリとはまったと言うと大げさかもしれませんが、あの時に「この曲は、まさしくこの『水星の魔女』のために作られたのだ」と確信しました。

ーーこの曲を具体的にどう歌ったかについても聞かせてください。難しかった部分などはありますか?

シユイ:速いテンポの中で、さらに次の瞬間には全く曲調が変わっているようなスピード感のある展開が特徴の楽曲なので、正直言って全部が難しかったです。その中でも、Bメロの前の〈大丈夫だって嘘ついて〉の部分は特にリズムが複雑で、なかなか歌えずに苦労しました。

ーーなるほど。ほかに歌唱のポイントとなった箇所はありますか?

シユイ:盛り上がりどころでもある〈その声轟かせ〉というパートは、私自身一番好きな歌詞でもあるので、毎日毎日叫んで練習を重ねました。ここの歌詞は、私のメジャーデビューという一生に一度のタイミングに最もふさわしく、これからのシユイの指標とも言える一節だと感じています。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』エンディング映像(ノンクレジット)|シユイ「君よ 気高くあれ

ーーそもそも、今回のメジャーデビューについて、毎日どのように感じて過ごしていたんですか?

シユイ:メジャーデビューの決定から、あまりにもあっという間に事が進んでいったこともあり、実は今も実感が湧いていないくらいです。とにかく新しいことの連続で、周りのスタッフの方や、以前よりシユイを知ってくださっていたリスナーの方々の盛り上がりに置いていかれそうで。自分の力で掴み取ったメジャーデビューというよりは、周りの皆さんと一緒に築き上げた結果、という印象です。支えてくださった皆様には、いくら感謝しても足りないように思います。

ーーそうした中で挑んだレコーディング作業は、どんなものでしたか?

シユイ:とにかくプレッシャーが大きかったこともあり、野球部に入った気持ちで毎日狂ったように練習していました。そのせいか、レコーディングでは体が緊張してしまって、ものすごく苦戦しました。特にサビはキーも高く、ファルセットで歌う部分も多いので、声が全然出なくて焦り、またさらに声が出なくなる……という無限ループを繰り返してしまいました。

ーーryoさんやスタッフからは、どんなディレクションがありましたか。

シユイ:ディレクターさんから「いつも通りに歌えばいい」と言っていただけたことで、気持ちが少し楽になった記憶があります。ryoさんからは、途中のラップ調の語りのようなパートを特に念入りにディレクションしていただきました。今までそういった歌い方をしたことがなかったので、このパートは新鮮な気持ちで歌いました。私の声の個性を引き出してくださったように感じます。

ーー一方でryoさんは、メロディ全体をどのように際立たせようとしていたのでしょうか? そしてボーカルであるシユイさんには、どんな方針でのディレクションを考えていましたか。

ryo:重視した点はリズム感ですね。子音の立たせ方や長さの持たせ方はいつも通りですが、細かいところまで注視しています。歌録りに関してはシユイさん専属の方がディレクションされていて、自分は少しレコーディング現場を見学させてもらったようなものでした。けど、その時にシユイさんとディレクションの方のコンビネーションを見てビビりました。この令和の時代において、こんな体育会系な歌との向き合い方があるなんて!……と(笑)。この調子で、シンガーとして、アーティストとして、さらに飛躍していくことを期待しています。

ーーシユイさんは、メジャーデビューを経て、今後はどのような活動をしていきたいと考えていますか?

シユイ:今は学生ですが、学校を卒業したらより一層活動に力を入れられるのが楽しみです。また、音楽への理解を深めるべく勉強したい、知りたいという気持ちがあって。音楽について一つひとつ学びつつ、それをお仕事にも活かしていけたらいいなと思っています。今は細い骨組みのようなシユイというアーティスト像を、いずれ大きな存在になれるように、これから丁寧に肉づけしていくようなイメージでやっていけたら理想です。

ーー特に『水星の魔女』は、リスナーや視聴者からの反響も大きい作品ですから、励みになりそうですね。

シユイ:YouTubeのコメント欄や、シユイのTwitterにもたくさんの方が楽曲の感想を寄せてくださっています。特にYouTubeのコメント欄は、実はモーニングルーティーンのように毎朝皆さんのコメントを見に行っています。たくさんの方が、元気や勇気をもらっていると前向きな感想を送ってくださるので、私はそのコメントに元気と勇気をもらっています。アニメ本編も毎週すごい盛り上がりで、リアルタイムで視聴者の方と感想を言い合うのが楽しくて仕方ありません。

ーー視聴者の皆さんと一緒に作品を楽しむ感覚なんですね。

シユイ:一人のアニメファンとして好きなキャラのファンアートを描いたり、自分の配信で「これからどうなるんだろうね〜」と話したりしています。アニメの話が進むにつれてだんだん物語に深みが増していき、「君よ 気高くあれ」がよりベストマッチしてきているように聴こえる、という感想もいくつかいただきました。この楽曲に込められた意味が『水星の魔女』の行く末に寄り添い、高め合っていくように進んでいったら、とても嬉しいです。

■リリース情報
シユイ『君よ 気高くあれ』
2022年11月9日(水)CDリリース
配信:https://smar.lnk.to/S12jas

・期間生産限定盤:1,800円(税込)
CD+DVD/アニメ描き下ろしデジパック仕様・ジャケットイラストポスター封入
<Disc 1 CD>
1.君よ 気高くあれ
2.Mercury
3.君よ 気高くあれ (Instrumental)
4.Mercury (Instrumental)
5.君よ 気高くあれ (TV Size)
<Disc 2 DVD>
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Non-Credit Ending Movie

・通常盤:1,320円(税込)
<CD>
1.君よ 気高くあれ
2.Mercury
3.君よ 気高くあれ (Instrumental)
4.Mercury (Instrumental)

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』 ©️創通・サンライズ・MBS

■アニメ概要
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』
放送情報:毎週日曜午後5時~
MBS/TBS系全国28局ネットにて放送中
企画・制作:サンライズ
原作:矢立 肇/富野由悠季
監督:小林 寛
シリーズ構成・脚本:大河内一楼
キャラクターデザイン原案:モグモ
キャラクターデザイン:田頭真理恵/戸井田珠里/高谷浩利
メカニカルデザイン:JNTHED/海老川兼武/稲田 航/形部一平/寺岡賢司/柳瀬敬之
音楽:大間々 昂

〈キャスト〉
スレッタ・マーキュリー:市ノ瀬加那
ミオリネ・レンブラン:Lynn
グエル・ジェターク:阿座上洋平
エラン・ケレス:花江夏樹
シャディク・ゼネリ:古川 慎
ニカ・ナナウラ:宮本侑芽
チュアチュリー・パンランチ:富田美憂
プロスぺラ:能登麻美子
デリング・レンブラン:内田直哉

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