MUCC、アルバム『新世界』を完結させた全てが濃厚なステージ 『新世界 別巻』発売記念公演をレポート
ライブ中盤となった「別世界」では、レコーディングにも参加したSakura(gibkiy gibkiy gibkiy/Rayflower/THE MADCAP LAUGHS/ZIGZO)がコンガ奏者として加わり、トライバルかつフリーキーなアンサンブルでオーディエンスを陶酔させる。また13曲目「R&R darling」後半からはCalmeraのメンバーを中心としたホーンセクションが参加し、続く「HOTEL LeMMON TREE」も含め、ダンサブルなビッグバンドで楽しませる。
そこからライブのエンディングに向かいながらメタルモードへと切り替わったMUCC。スモークが勢いよく吹き上がるステージでメタリックナンバーで攻め続ける。フロアにはヘッドバンギングと拳ばかりという壮観な景色が広がった。
そして本編のエンディングは『新世界』と同じように、「いきとし」と「WORLD」。安心できない世界情勢の中で過ごしながら作ったのが『新世界』でもある。不安な思いも悲しみも疑問も歌詞には反映されている。非現実味を楽しめるライブという場でありながら、MUCCがその2曲で映し出すのはリアルな今と未来に向けたメッセージ。「いきとし」では音源では最後に〈拝啓 50年後の僕たちはまだ争っていますか?〉と言葉にしていたが、この夜、逹瑯が発したのは「いつか、世界中に明かりが灯りますように……」という心からの願いだった。そして「WORLD」では、オーディエンスも言葉のひとつずつを噛み締めながら、共に願うように両手を広げる。新たな夜明けを意味する太陽型のレーザー照明が、MUCCとオーディエンスらの表情を輝かせてもいた。
「久しぶりにやる『新世界』の曲、おっかなくね? ヒリヒリ感がたまらん」
アンコールに応えて登場した逹瑯は、そう言いながら、本編も終わってホッと一息ついた様子。改めてSakuraとCalmeraを呼び込んで、全員参加のゴージャスな演奏で「XYZ.」をまず披露した。そこから「爆弾」で攻めたと思えば、予定外の「蘭鋳」でオーディエンスを狂喜させる。そしてラストはオーディエンス一人ひとりに心を込めて「終の行方」を感動的に聴かせた。
約2時間、濃度と密度、激しさと楽しさなど、全てが濃厚なステージとなった。すぐにでもおかわりしたいところだが、MUCCは2023年、25周年記念ツアーの第二弾を始め、様々な趣向のライブやツアーを行なう。楽しみは満載だ。
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